エピソードガイド１ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド１

28 裏の裏 The Psychic

【目的】ある投資家が極秘パテントを売る前に、航空会社の株を牛耳ることができぬようにすること
【指令】おはよう、ブリッグス君。写真の男アレックス・ローウェルは、大手投資信託の責任者であるが、今度スード航空の株の過半数を一手に収めるチャンスを得た。スード航空はＮＡＴＯの秘密兵器を生産している、ある国の会社であるが、ローウェルはその株券を横領、つまり自分名義にしてそれを持って我々の手の届かぬ南米へ移ったのだ。どうやら彼はスード航空の極秘のパテントを売ろうと考えているらしい。そしてそれを狙っているのが、非友好国の諜報員ヤン・ヴォーニッツである。
　そこで君の使命だが、ローウェルが極秘パテントを売り出す前に彼の意図を粉砕しスード航空を牛耳ることができぬようにすることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこの録音はスピーカーを元に戻してから５秒以内に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド＆アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: チャールズ・Ｒ・ロンドウCharles R. Rondeau
【ゲスト出演】
アレックス・ローウェル：バリー・サリヴァン（森山周一郎）Barry Sullivan as Alex Lowell
ヤン・ヴォーニッツ：ミルトン・セルツァー（和田文夫）Milton Selzer as Jan Vornitz
チェイス判事：リチャード・アンダーソン（森川公也）Richard Anderson as Judge Wilson Chase
バイロン・ミラー：ポール・マンティー（仁内達也）Paul Mantee as Byron Miller
エド：マイケル・パタキ（近石真介）Michael Pataki as Ed
パーティの女性：リタ・ダミコ　Rita D'Amico as Girl at Party
パーティの男性：エリック・メイソン　Eric Mason as Man at Party
政治家：シェプ・サンダース　Shep Sanders as Politician
【場所】①指令（媒体）：路肩に置いてあるスピーカー状のテープレコーダーを聞く
②舞台：南米のある国
【役割】ダン：指令の受領
ローラン：フランク・デーヴィス（ミラーの親分）
シナモン：ジャーネット・マンウッド（占い師）
バーニー：車に爆薬を仕掛けるのと屋敷のテーブルにマジックアームを取り付ける
ウイリー：フランク・デーヴィスの護衛（ミラーの死体を運ぶ）
チェイス判事：シナモンと一緒にパーティに参加
ミラー：スード航空の株が欲しいとローウェルに申し入れる
【道具】①マジックアーム：テーブルに設置し、株券をすり替えシナモンに渡す
②マジックミラー：中にバーニーが入る
③イカサマトランプ
【削除】（13分00秒）バーニーが車に細工しているところを見つかりワイヤー交換と言い逃れる
【見所】（16分00秒）シナモンがパーティ参加者に占いを披露し、その隙にバーニーが屋敷に侵入する
（24分00秒）車が爆発したことによりローウェルはシナモンの能力を信じるようになる
（28分20秒）ミラーの死体が発見され、ローランとウイリーが現れる
（31分00秒）犬がマジックボックスに向かって吠え、シナモンが気が散ると言い犬を追い払う
（34分30秒）バーニーがマジックアームをテーブルに設置し、トランプのすり替えを完了する
（36分00秒）バーニーが屋敷から脱出しようとするが、守衛に見つかり背後からウイリーが殴打する
（46分10秒）ローランは上のカードから取らなかったと主張し、株券を掴みマジックアームですり替える
（46分40秒）ローランはマジックアームで株券をシナモンに渡す
（47分40秒）株券のすり替えに気づくローウェルは、シナモンを追いかけるが、ＩＭＦは車で逃走してしまう
【疑問点】①シナモンが予言をする男女のことについて、事前に調査をしたか、あるいはＩＭＦの関係者なのかはっきりしない。
②車の爆発のメカニズムがわかりにくい。今までつながっていた線を切り、二つになった線の先端を接触させると爆発したように見える。
③トランプのイカサマについても見ていてわからない
【粗筋】まず、ミラーがローウェルにスード航空の株を８０００万ドルで売って欲しいと持ちかけるが、あっさりと断られる。その日のパーティにシナモンとチェイス判事が出席し、スード航空のパテントを売るなと釘をさす。シナモンが予言をしている間にバーニーが屋敷に侵入する。シナモンの予言が次々と当たるが、ローウェルは信用しない。しかし、爆発の予言が現実になったことにより驚く。警報機が鳴っている間にバーニーが部屋に侵入し、マジックミラーの後ろに隠れる。すっかり信用したローウェルはシナモンの予言に耳を傾け、そこへミラーの死体とローランとウイリーが現れ、再度株券を売って欲しいと持ちかけるものの、ローウェルが拒否すると、夜再度来ると言って帰っていくのである。シナモンはローウェルが株券を賭けてローランと勝負して勝つと予言するが、ローウェルは絶対ありえないことだと聞き入れない。その後、隠れていたバーニーがマジックアームの設置とトランプのすり替えを完了し、屋敷から脱出しようとするが、守衛に見つかってしまう。ウイリーの応援でバーニーは無事脱出することができる。守衛が倒されたことにより、何が盗まれたかをローウェルは確認するが、何も盗まれていない。おかしいと思ったローウェルはトランプを確認し、トランプが入れ替えられており、イカサマを発見したことにより、自分が勝つことを確信する。しかし、まだ不安が残るのか、ローウェルはシナモンの予言を聞き出し、自分が勝つことを完全に信じきるのだ。夜になって、ローランが再び現れ８０００万ドルで株を買うと言ってくるが、ローウェルは売らないときっぱりと断る。そこで、ローランは話をギャンブルに切り替え、ローウェルが天井知らずのギャンブル好きということを持ち出し、今から天井しらずのギャンブルをしようと誘う。これにはローウェルも話に乗り、ローランは８０００万ドル、ローウェルは株券全額を賭けることになり、ローウェルがカードを切っている間、ローランは小切手にサインをし、ローウェルも株券すべてに裏書きをする。そして、最後のカードは、ローウェルが下のカードを出し、ローランの負けになるが、いかさまを見ていたローランは下のカードから出したと言って株券を掴み、マジックアームの偽物とすり替え、テーブルの上に偽物の株券を戻し、本物はシナモンの手にマジックアームを操作して渡すのである。逃走中の車の中で、株を追いかけてローウェルが国境を越えると、株券横領の罪で９９年の刑が待っているとＩＭＦメンバーは笑いながら話すのであった。
【解説】第１シーズンの最後になる本エピソードでもダンは作戦に参加しない。ＩＭＦは３チームに分かれてローウェルを追い込んでいく。まず、小手調べとしてローランの部下役ミラーが株券の譲渡を持ちかけるがあっさりと断られる。シナモンはパーティの参加者に関する予言をして、次々と当ててみせる。バーニーはいつものようにいろいろな仕掛けをこっそりと工作する。そして、バーニーの工作した車の爆破、ミラーの死体の予言が当たると、さすがのローウェルもシナモンに一目置くようになる。しかし、ミラーの死体を抱えたローランとウイリーが、株券の譲渡を持ちかけてもローウェルは全く相手にしない。
　シナモンはローウェルが株券をかけて勝利すると予言するが、まだ、ローウェルは完全には信じない。しかし、屋敷に侵入して工作をしたバーニーが守衛に見つかり、ローウェルがカードのすり替えに気づき、イカサマ可能なことを知って、再度シナモンに自分の勝利の確認をする。
　その夜、ローランが再びやってきてローウェルが天井知らずのギャンブル好きとおだてて、ローランの８０００万ドルとローウェルの株券をカードで賭けることになる。ギャンブルの展開としては、「武器弾薬を渡すな」以来であるが、今回、ローウェルに大勝負をさせるに至った根拠は、シナモンの予言とカードのイカサマである。
　このギャンブルシーンのクライマックスでは、ＩＭＦの秘密兵器が大活躍する。バーニーがローウェルのカードテーブルの下部に設置した、回転式のマジックアームである。ローウェルが下からカードを出したのを見たローランが、"下のカードを出した"と叫ぶと同時に株券と小切手を掴み、マジックアーム上の偽物とすり替え、偽物をテーブルに戻すとともに本物はマジックアームを操作してシナモンの手に渡り、シナモンはそれを受け取ってバッグの中に隠すのである。