スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



27 極秘情報を奪回せよ The Traitor
【目的】解読前に極秘情報を奪い返し、敵国に亡命した人物を合衆国当局の手に引き渡すこと
【指令】おはよう、ブリッグス君。エドワード・ヒューズはわが国の情報官であるが、反対陣営に寝返りを打ち、今その国の大使館に保護されている。これはヒ ューズが持っている極秘情報を我々が解読する寸前の出来事であり、彼はその情報を持って敵側に走ったのだ。情報の提供者はすでに死亡しており、ヒュ ーズ自身は解読法を知らない。というわけで、その国のヴィクター・ベルソンという暗号解読のエキスパートが大使館に向かって出発したが、大使館側にはベ ルソンの顔はわかっていない。
 そこで君の使命だが、相手が解読しないうちにその極秘情報を奪い返すとともに、ヒューズの信用を失墜させ、大使館から合衆国当局の手に引き渡すこと にある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このレコードは5秒以内に消滅 する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: エドワード・J・ラクソEdward J. Lakso
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: リー・H・カッツィンLee H. Katzin
【ゲスト出演】
ティナ・マーラ:アーサー・キット(北條美智留)Eartha Kitt as Tina Mara
ブラツネック:マラチ・スローン(島宇志夫)Malachi Throne as Ambassador Brazneck
エドワード・ヒューズ:ルーニー・チャプマン(緒方敏也)Lonny Chapman as Edward Hughes
コーラ:フランク・マース(中村正)Frank Marth as Koler
1階警備兵:ポール・ソレンセン Paul Sorensen as First Floor Guard
修理の男:ソクラテス・バリス Socrates Ballis as Maintenance Man
電報事務員:エド・マックレディ Ed McCready as Telegraph Clerk
ヴィクター・ベルソン:マイケル・ライMichael Rye as Victor Belson
【場所】@指令(媒体):ある倉庫内の部屋にあるレコードを聞く
A舞台:アメリカ国内の反対陣営の大使館
【役割】ダン:ゴーマン→タクシー運転手(ベルソンを大使館迄運ぶ)
ローラン:ベルソン(暗号解読専門家)→ナビッチ(憲兵)
シナモン:ゴーマンと大使館側に嘘の情報を流す
バーニー:オールウェザー暖房社の社員
ウイリー:オールウェザー暖房社の社員
ティナ:通風ダクトから大使館に侵入
【道具】@ティナの七つ道具:特殊ドライバー、ベッドマットを持ち上げヒューズがいないように見せるもの、警報機を作動させない鏡セット、金庫のダイヤルの 音を聞く道具、ドア止め
Aアンプル:体がだるくなり眠る
Bペンの形をしたマイナスドライバー
C無線機:バーニーとティナの通信用
D通風ダクトのスペア:中にティナが入る
E盗聴マイクを関知する化粧箱型センサー
【削除】(04分50秒)ローランがベルソンとして大使館に出向く
(09分40秒)金庫室を案内され、防犯システムを聞くローラン
【見所】(11分50秒)雑誌を通じ大使館内にスパイがいてヒューズが怪しいと言うローラン
(17分40秒)ウイリーの持った通風ダクト内に潜んでいるティナが大使館内に侵入する
(24分30秒)ローランの持参したアンプル剤でヒューズが眠くなったと言って部屋を出る
(26分50秒)ヒューズの部屋で工作をしていたティナが人の気配で作業を中止して隠れる
(32分20秒)鏡を組み立て金庫室に侵入しようとするティナ
(34分50秒)秘密書類を金庫内ですり替えた瞬間、ティナはいただきとバーニーに伝える
(36分10秒)ヒューズがいないことに怒るブラツネックは警備兵を殴りつける
(38分10秒)ベルソンに二重スパイ容疑のテレタイプが届きローランが逮捕される
(41分50秒)ヒューズが大使館から出たところをアメリカの警察が逮捕する
(46分50秒)ベルソンが現れブラツネックはローランを信用し、大使館から出ることができる
【疑問点】@ナビッチという憲兵が実際存在しているのか、本国からの憲兵本部からのテレタイプにどのように書かれてあったかは明らかにされていない。
【粗筋】ローランがアメリカを裏切って敵国に亡命したヒューズを大使館から連れ出す必要があるのかと聞くと、ダンは他の情報も漏れる心配があると答え る。シナモンがベルソンに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて眠らせているうちに、ローランがベルソンとして大使館に潜入する。ローランは大使館内に置いて ある雑誌の中に暗号化されたメッセージを見つけ、レオンホテルの411号室を調べるようにブラツネックに勧め、さらに、暖房機を壊す細工をする。暖房社の 社員に扮したウイリーが、中にティナを入れた通風ダクトのスペアを使い侵入させる。一方、ダンとシナモンは盗聴機が仕込まれたのを確認してヒューズが西 側の諜報員だという話をし、大使館側はダンをマークする。そして、ティナは金庫室の警報機を巧妙に出し抜いて秘密書類をうまくすり替える。極秘情報がな くなっていることに気がつくブラツネックは、ベルソンが二重スパイという報告を受け、ローランが盗んだと疑い逮捕してしまう。しかし、ローランは言葉巧みにヒ ューズの部屋にヒューズがおり、パスポートや現金を持っていることから、ヒューズに濡れ衣を着せる。そこで、ヒューズは状況が自分に不利と感じ、大使館 から逃げようとして外に出たところをアメリカの警察が待ち受けており、逮捕されてしまう。ところが、ブラツネックはまだローランのことを疑っており、自分がベ ルソンではなく憲兵のナビッチだとローランは本性をあかし、本物のベルソンは30分以内に大使館に来ると言う。予定通りベルソンが現れたことで、ローラン は晴れて解放されるのだった。
【解説】このエピソードでは、個性的な小柄な女性がIMFの任務に協力をして大活躍する。大使館のエアダクトが狭いために、彼女のような小柄な曲芸師を 必要とし、小道具も数々登場して視覚的にも楽しませてくれる。ベッドマットを膨らませてヒューズがいないように見せるもの、警報機を作動させないためのミ ラーセット、金庫のダイヤルの音を聞く道具などは、その斬新なアイデアに驚かされる。また、通気孔の内側から蓋を取る変な形をしたドライバーは後のエピ ソードでもバーニーによって使用される。
 シナモンは大使館に向かう暗号解読家ベルソンに睡眠薬入りコーヒーを飲まし、ローランがこれになりすまして大使館に入る。ところが、本物のベルソンに 二重スパイの容疑がかかり、ローランは逮捕されてしまう。しかし、ティナの協力もあり、ローランは言葉巧みにヒューズに濡れ衣を着せて、ヒューズが大使 館から脱出したところを米国の警察が逮捕するという結末である。
 このエピソードでは、IMFの作戦が複雑に入り組んでおり、それぞれの作戦がどう他の作戦に及ぼすかを注意深く見ていないと見逃してしまう。ティナとバ ーニーとウイリーの三人はダクトを通じて暗号書類をすり替える作戦、ダンとシナモンは敵が聞いているのを承知で、米国を亡命したヒューズが西側スパイで あることを仄めかし、大使館側にマークさせて揺さぶりをかける作戦、ローランはヒューズを米国警察に引き渡すことを目的とする作戦を展開する。


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