スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



36 偽造紙幣マシン The Money Machine
【目的】奪われたお札の本物の紙を回収し、それを企む人物に再起不能の打撃を与えること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その男はウォルター・ダボリーといってアフリカにおける財界の大立者である。西側に友好的なアフリカの新興国ガレアにあ るダボリー証券はその国の経済に対して隠然たる勢力をもっている。先週ガレア紙幣に使う紙が偽造紙幣のベテラン、タゴールに強奪されるという事件が起 きた。タゴールの背後にはダボリーがいて、やがて偽造される紙幣を流す計画と思われるが、しかしダボリーがあまりにも大物であるため、容疑だけで逮捕 できぬという現状だ。
 そこで君の使命だが、奪われた紙を回収し、ダボリーに再起不能の打撃を与えることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺 されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは10秒後に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: リチャード・M・サカルRichard M. Sakal
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: ポール・スタンレイPaul Stanley
【ゲスト出演】
ウォルター・ダボリー:ブロック・ピータース(大塚周夫)Brock Peters as Walter DuBruis
タゴール:マイケル・シロー(湊俊一)Michael Shillo as Raf Tagoor
ギロー:ロックン・ターキントン(宮部昭夫)Rockne Tarkington as Paul Giroux
アントン:デーヴィス・ロバーツ Davis Roberts as Anton Bouchet
【場所】@指令(媒体):煙草の自動販売機でEMPTYのボタンを押すと取出口より小型オープンテープレコーダーが落ちる
A舞台:アフリカの新興国ガレア
【役割】ジム:偽造紙幣マシンの技師(組立から操作まで)
ローラン:デヴィッド・モーガン(株券の購入客・インク職人)
シナモン:ホームズ(カートン・ホームズの妻・株券の購入客)
バーニー:シーベルト医師→アンブリ銅山の情報をテレタイプする→偽造紙幣マシンの中に入る
ギロー:ガレア財務省役人
【道具】@偽造紙幣マシン:中にバーニーが入っていて紙を受取り、印刷されている紙幣を出す
Aコイン大の器具2個:シナモンのライターのスイッチにより紙幣のインクが溶けてしまう
【削除】(08分20秒)ギローがダボリーに借金の返済が1週間後だと告げる
【見所】(10分20秒)ユーロアフリカ株の買付けをダボリーに申し込むローラン
(13分20秒)ローランが突然てんかんの発作を起こして証券会社内で倒れる
(16分20秒)ローランの紙幣が偽造と判明する
(19分10秒)ローランの偽造紙幣は紙以外は完璧とタゴールが脱帽する
(32分00秒)偽造紙幣マシンの出来映えに感心し、本物の紙で印刷しろと言うダボリー
(35分30秒)ジムに銃を突きつけトラックごと奪おうとするダボリーにバーニーが発砲する
(43分40秒)ギローは金がないのに、800万ドルも株を買い占めてとアントンに威圧的に言う
(47分00秒)鞄の中で偽造紙幣のインクが溶けていることに気づくダボリー
【疑問点】@IMFが用意した偽札は、版についての説明がないが、タゴールが脱帽したことを考えると、本物の版を使っている可能性があるが明らかではな い。
A版を偽造しようとしたタゴールについてその後どうなったかは劇中では語られていない。
【粗筋】シナモンとローランはそれぞれ別に株券の購入客としてダボリーに接触する。ローランは突然てんかんの発作を起こして証券会社内で倒れる。ローラ ンを診察した医者のバーニーは警察に連絡した方がいいと勧めるが、自分の家に連れて行くとダボリーは言う。貨幣の持込許可証には497ドルしか記載が なく、株の購入代金として支払った50000ドルをどのようにして持ち込んだか興味を示すダボリーだが、それが偽造紙幣と判明する。シナモンは、アンブリ 銅山に25万ドルつぎ込みたいので、お金を都合つけてほしいとダボリーに頼むが、そんな大金を貸せないと断られると、シナモンは夫がアンブリ銅山に務め ていて、新しい鉱脈を発見したという情報を流すのだ。一方、ダボリーは偽札の出所をローランに聞き、コンピューターでリコピーすることを掴むのである。そし て、ダボリーは、偽造紙幣マシンがトラックの中にあるのを見て、その出来映えに驚き、本物の紙で印刷しろと指示するのである。800万ドルを明日までに印 刷しろとジムに手数料50万ドルの分け前で話がつくが、その後トラックごと奪おうとジムに銃を向けると、バーニーがトラックの中から出てきてダボリーの部 下に発砲し、ことなきを得る。翌朝、本物の紙とローランを連れてダボリーが再度やってきて、次々とお札が出来上がっていくのを見て、アンブリ銅山の株を1 7万株必ず押さえろとアントンに指示をするのだ。一方、ギローは金がないのに800万ドルもマージンによる思いつき買いをしている疑いで政府介入も辞さな いとアントンにプレッシャーをかける。早速、出来上がったお札を鞄に詰め、支払いの時間に間に合うダボリーだが、鞄を開けるとすべてのお札のインクが溶 けてしまっているのに気づくのである。アントンがそうとは知らずに、800万ドルの儲けですと報告をすると、800万ドルの支払能力もないのに儲けとは言え ないなとダボリーに皮肉を言うギローであった。
【解説】「偽造紙幣マシン」は偽札を扱ったものとして、本シリーズの最初のもので、今後も偽札を扱ったものはいくつか登場するが、このエピソードでは大掛 りな偽造紙幣マシンが登場する。偽造紙幣マシンとは名ばかりで、実はイカサマ機械である。ここまで大きな機械は「ダイヤモンド作戦」に登場するダイヤモ ンド製造機以来であるが、そのイカサマ度については、シリーズ屈指のものである。何と機械の中にバーニーが隠れていて、用紙が機械の中に入れられる と、バーニーが手作業で既に印刷済みの紙幣を代わりに出すというものである。見ているとまるでコントでもしているようだが、本人たちは真剣になってやって いるので、その面白さときたら筆舌に尽くし難い。
 証券会社の経営者ダボリーが紙幣の本物の用紙を手に入れて、版についてはその筋の職人に依頼するが、納期まで日数がかかる。そこへIMFがダボリ ーの前に現れ、偽造紙幣マシンを見せる。サンプルを見たダボリーと版の職人が出来映えに驚くことから、IMFの使用する版に関しては政府の協力を得て本 物を使ったと思われる。その結果、ダボリーはこの話に飛びついて本物の用紙を差し出す。
 一方、シナモンは今でいう偽のインサイダー情報をダボリーに流して、株式を大量に買わせるのだが、その代金のためのIMFが作ったお札をバッグの中に 入れる。そして、証券会社に着いてダボリーがバッグを開くと、お札のインクがすべて溶けてしまっており、株式の代金を払うことができなくなって破産してし まうのだ。紙幣の偽造で人を騙すことは珍しいことではないが、IMF流のやり方で紙幣偽造をやるとこうなるというのを見せつけるような印象の残るエピソード である。


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