スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



38 両面陽動作戦 Charity
【目的】慈善事業の美名で着服した何百万に上る金を暴き、偽りの慈善事業に終止符を打つこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 その男は名前をエリック・ヘイガーといい、慈善事業という美名にこと寄せて莫大な金を集め、そのほとんどを勝手に着服し ている。そしてそのヘイガーを助け、詐欺の片棒をかついでいるのは彼の妻キャサリンである。近くヘイガーは病院を増築するという名目で、100万ドルの金 を集めようとしており、そのため富豪たちをフランスとイタリアの国境モンテインにある屋敷に招いて週末を過ごそうとしている。
 そこで君の使命だが、これまでにヘイガーが着服した何百万に上る金を暴き、偽りの慈善事業に終止符を打つことにある。例によって君もしくは君のメンバ ーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: バーニー・スレイターBarney Slater
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: マーク・ダニエルズMarc Daniels
【ゲスト出演】
エリック・ヘイガー:フリッツ・ウィーヴァー(中村正)Fritz Weaver as Erik Hagar
キャサリン・ヘイガー:ヘイゼル・コート(前田敏子)Hazel Court as Catherine Hagar
ベルーク:J.P.バーンズ J.P. Burns as Mr. Beruch
ベルーク夫人:リリアン・ショウヴァン Lilyan Chauvan as Mrs. Beruch
ウルフ:ジーン・デル・ヴァル Jean Del Val as Mr. Wolf
ルネー:リンダ・スー・リスク Linda Sue Risk as Renee
【場所】@指令(媒体):材木置き場の事務所にあるボストンバッグの中にあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:モンテイン(フランスとイタリアの国境)
【役割】ジム:リチャード・コーネル(精神科医師)→ジョージ・ハロウェイ
ローラン:マルセント電力社員→殺し屋
シナモン:アイリン・ボールドウィン(車椅子の大富豪)
バーニー:車に細工→マルセント電力社員
ウイリー:ウィリアム(運転手)→車に細工
【道具】@酸素マスク:ローランが火事騒ぎの中着用
Aビニール製風船:プラチナの延べ棒に見せかける
B車の部品の金型:プラチナ製のバンパーを作る
【削除】(17分10秒)花のセールスとキャサリンの会話中、ガスの元栓に細工するジム
【見所】(12分10秒)キャサリンにジムが偽物とばれ、警察を呼ぶと言われる
(20分30秒)シナモンが週末にいくら集まるかと聞くと20−30万と答えるヘイガー
(25分40秒)ヘイガーに銃を突きつけ、布団に火をつけるローランはキャサリンの依頼と言う
(32分00秒)キャサリンにこの週で会えなくなるとしょんぼり言い、金を返すジム
(36分40秒)プラチナの延べ棒を溶かして、車の部品を作り出すバーニーとウイリー
(42分10秒)キャサリンが医者と一緒にプラチナを持って逃げたとヘイガーに言うローラン
(44分40秒)税関でジムが急患で急ぐと言うがトランクを開けろという役人にキャサリンは心配する
(46分50秒)車の壊れた部品がプラチナとバーニーが言い、税関でヘイガーは逮捕される
(47分50秒)プラチナが風船だと知って、よくも騙したわねとジムに言うキャサリン
【疑問点】@キャサリンも夫と共謀して詐欺行為を働いていたにも関わらず、劇中ではキャサリンがどうなったかは触れられていない。
【粗筋】ヘイガーは今まで寄付金として集めた200万ドルもの金を騙し取り、銀行預金ができないため、ビリヤード台にプラチナを隠している。盲目の少女を使 って思ったより資金が集まりそうだと喜ぶヘイガーである。そこへシナモンが車椅子に乗る大富豪として訪れ、挨拶の最中、車のサイドブレーキが甘く、ヘイ ガーの車に追突させて壊してしまう。そして、ウイリーがヘイガーの車を修理工場に持っていき、バーニーとともに工作をする。ジムは精神科医コーネルとして ヘイガー邸に入る。ところが、キャサリンに偽者とばれて帰ろうとすると、キャサリンに気に入られて雇われることになる。一方、停電にかこつけて、電力会社 社員として屋敷に入るローランとバーニーは、ビリヤード台の下から穴を開け、プラチナを全部盗んでしまう。その後、ローランはヘイガーが昼寝をしているとこ ろへ押し入り、布団に火をつけキャサリンに殺すように頼まれたと言うが、反対にヘイガーからキャサリンを殺せと頼まれる。ガス漏れの部屋に監禁されてし まったジムとキャサリンは、強引にドアを抉じ開け脱出し、一緒に逃げようというジムの誘いに乗るキャサリンである。バーニーとウイリーは盗んだプラチナの 延べ棒を溶かして車の部品を作り、ヘイガーの車に取りつけるのである。ジムはキャサリンと一緒にプラチナを持って逃げたと見せかけ、ローランの報告によ りヘイガーが車で追いかける。ジムは国境を無事突破すると、見たいものがあると言って引き返す。そして、ヘイガーの車の前に止まっていたバーニーの車 が運転操作を誤り、バックしてヘイガーの車のバンパーを壊してしまう。あまりの壊れように驚くバーニーが、これはプラチナだと税関の役人に告げると、プラ チナを国外に持ち出そうとした罪でヘイガーは逮捕されてしまう。最後に、どのくらいの刑になるかしらとシナモンが聞くと、ジムが10年はみっちりと答え、ロ ーランがペテンはきかないと冗談を言うのであった。
【解説】このエピソードでは、慈善事業と偽って莫大な寄付金を集めてそのほとんどを着服しているという夫婦が登場する。IMFは彼らの偽善を暴くためにわ ざわざフランスまで飛ぶ。何もアメリカのエージェントが出向いて解決するような政治的問題でもなく、こういった詐欺事件はどこの国でもあるもので、そもそ も、管轄している警察の仕事だと思うのだが、余程IMFが暇なのか、IMFの任務の範囲についてつくづく考えさせられる事件である。
 この夫婦に対して取られた作戦は、IMFの常套手段であるが、二人の間に亀裂を生じさせるものだ。ジムは妻のキャサリンに色仕掛けで迫り、ガス漏れの 部屋に閉じ込められたのは夫の陰謀だと偽装する。一方、ローランは夫のヘイガーの就寝中に襲い、布団に火をつけキャサリンから殺すように依頼されたと 告白すると、反対にヘイガーよりキャサリン殺害の依頼を受ける。邦題の「両面陽動作戦」とはこのような意味でつけられたのだろう。
 ビリヤード台の裏に隠してあるプラチナの延べ棒をバーニーとウイリーが盗んで、ヘイガーの車のバンパーとして鋳造する。そして、ジムとキャサリンがプラ チナを全部持ち出したと見せかけて逃げる。これをローランがヘイガーに報告して、ヘイガーが二人を追いかけるのだが、国境でバーニーの車にぶつけられ て、税関職員よりプラチナを不法に国外に持ち出そうとした罪で逮捕させるのである。
 ストーリー全体が淡々と進行し、これといって緊張感が漂うシーンがなく、いくらか物足りなさが残るエピソードである。それと、夫のヘイガーの方は逮捕さ れて重刑に処されることが語られるが、共犯者の妻キャサリンについては、その後どうなるのか劇中語られないのは、いささか不満の残るところである。


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