スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



39 黒の壊滅命令(前編) The Council (Part 1)
40 黒の壊滅命令(後編) The Council (Part 2)
【目的】シンジケートの記録を手に入れ、それを関係当局に引き渡し、その組織に終止符を打つこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 写真の男は、フランク・ウェインといってシンジケートのボスである。彼の率いる犯罪帝国は、わが国経済のガンとなりつつ ある。彼は賭博を始めとする種々の社会悪を牛耳るばかりか、まともな事業にも広く手を染め、利益を上げている。最近ウェインはシンジケートの100億ドル に上る収益をスイスの銀行に預金する体制を整えたが、これはわが国がもつ金の国外流出を許すゆゆしき問題である。
 そこで君の使命だが、ウェインがその別荘に保管しているシンジケートの記録を手に入れ、それを関係当局に引き渡すとともに、ウェインとその組織に終止 符を打つことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動 的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: ポール・スタンレイPaul Stanley
【ゲスト出演】
フランク・ウェイン:ポール・スティーヴンス(高塔正康)Paul Stevens as Frank Wayne
ヴィトー・ルガーナ:ヴィンセント・ガーデニア(早野寿郎)Vincent Gardenia as Vito Lugana
ジミー・ビーボー:ニック・コラサント(宮川洋一)Nick Colasanto as Jimmy Bibo
アル・モーガン:ポール・ランバート(森乾太)Paul Lambert as Al Morgan
ドクター・リース:スチュアート・ニスベット(吉沢久嘉)Stuart Nisbet as Dr. Emerson Reese
ジョニー:ロバート・フィリップスRobert Phillips as Johnny
チーヴァー:ヴィック・ペリン Vic Perrin as Cheever
ジニー:ジョアン・スタレイ Joan Staley as Ginny
ジャック:エドワ−ド・シャネリー Eduardo Ciannelli as Jack Rycher
【場所】@指令(媒体):ある建物の2階にある録音スタジオにあるLPレコードを聞く
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:カール・デイリー(上院調査委員長)→ビーボー救出
ローラン:フランク・ウェインに変装
シナモン:ローラン変装の手伝い→整形外科医コーラ
バーニー:警察官→ビーボー救出
ウイリー:ビーボー救出→マンホールの取替え
リース:形成外科医→ビーボー救出→ウェインをローランの顔に整形
【道具】@隠しマイク:ウェインの部屋に仕掛ける
A人工呼吸器
B銃:実弾でなく血糊を弾に仕込んである
Cシリコン注入器:ウェインをローランにし、顔をふっくらとさせる
Dマスクを溶かす液
Eポータブルウルトラ洗顔器
Fマンホール:蓋が回転する
G車:運転席の下があき、マンホールに脱出できる
H三脚状で金庫のダイヤルを取り外す器具
I特殊小型カメラ:秘密書類の中味の写真を撮る
Jジムの背中
【削除】(前06分50秒)ビーボーが来たということで女を2階に上げ、秘密の話をするウェイン
(12分00秒)金庫をあけて秘密の書類を他の場所に移させるウェイン
(40分20秒)フランク・ウェインに訊問中、暴力を振るうジムをバーニーが制止する
(後11分50秒)ローランの髪を染めるシーン
(22分50秒)ジョニーがジムを殴るのを止め、追い払う
(25分40秒)ジョニーに車ごと消せと指示するローラン
【見所】(前07分20秒)ジムとバーニーの家宅捜索に対し、ウェインは弁護士を呼ぶ
(17分10秒)ウェインがナイフで脅して30万盗んだことを白状するビーボー
(20分40秒)ジョニーの前で自分の墓を掘り出すビーボーをIMFは様子を見守る
(23分50秒)ビーボーは完全に埋められ、もっても2分半とリースはジムに告げ時計を見る
(26分50秒)掘り出したビーボーを診断したリースは心臓の鼓動がないと言って蘇生を試みる
(33分40秒)ウェインの事務所の本棚裏にある金庫に秘密書類全部を隠す
(36分10秒)ジミー・ビーボーの死体をウェインに見せ、殺人容疑で訊問するジム
(41分20秒)バーニーがウェインにコーヒーを差し出した隙に銃を取られ、仲間に電話される
(44分50秒)ローランがウェインの背後から殴り倒し入れ替わる
(46分30秒)ローランがバーニーに発砲し、一味とともに逃走する
(後04分40秒)ここまでが前編の粗筋、ここから後編スタート
(15分20秒)シナモンの整形手術で全く別人に変わり、居合わせた仲間は驚く
(19分50秒)ジニーが現れ、ローランを見てウェインと気づかない
(25分30秒)デイリー(ジム)を車ごと消すようにジョニーに指示するローラン
(31分40秒)ローランが金庫のダイヤルを取り、本棚が降りずにヴィトーとアルが来てしまう
(34分30秒)金庫を開けて中から秘密書類を取り出し、写真に収めるローラン
(36分50秒)ジムの車が大爆発炎上してジョニーは見届けてから去るが、ジムはマンホールの中に逃げ込む
(38分20秒)デイリーを殺したことにより責めるヴィトーに、ウェインの指示だとジョニーは弁解する
(46分20秒)ローランとウェインのすり替えをエレベーター内で完了する
(47分20秒)ウェインはジョニーに射殺され、そこに警官がきてジョニーを射殺する
【疑問点】@エレベーターをシンクロさせて降下させ、エレベーター間の移動をしているが、エレベーター間には壁があり、スピードを落としているとはいえ、実 際には無理な話ではないだろうか?
【粗筋】ジムとバーニーは家宅捜索と言ってフランク・ウェインの屋敷に入るが、弁護士の知恵で帰るように迫られ、隠しマイクを仕掛けて二人はひとまず帰 る。その後、ジミー・ビーボーが30万ドルなくなったことについて追求される。スイスの銀行には240万ドルあるはずが、210万ドルしかないのだ。ビーボー はヴィトーからお金を受け取っているが、ヴィトーはそのようなことをする男でないということで、レシートも調べてあり、ビーボーは盗んだことを白状する。組織 の禁じ手が、命令違反、おしゃべり、盗みだとウェインはビーボーのポケットに白い薔薇をつけ、ジョニーに外へ連れていかせる。ジョニーはビーボーに自分の 墓を掘らせ、必死になって命乞いをするのを無視し、非情にもシャベルでビーボーを叩き倒して穴に落とし、土を被せて埋めてしまうのである。もっても2分半 だとリースはジムに伝えるが、ジョニーはその場をすぐに離れず、煙草をふかすのである。制限時間が差し迫ってくる中、ジムはウイリーに屋敷の方に向かっ て、石をできるだけ遠くに投げるように指示し、やっとジョニーはその場を離れる。ジムとウイリーは一生懸命になって土を掘り起こし、ビーボーを救出するが、 心臓は既に停止しており、注射、人工呼吸器、マッサージとあらゆる手を尽くして蘇生させる。ところが、生き返ったビーボーはIMFへの協力を拒むが、また 墓に戻したら、今度は誰も助けてくれないぞとジムが脅すと観念する。そして、ビーボーはウェインの癖や特徴をローランに教えるのである。ジムとバーニー はウェインに召喚状を見せ、ホテルの一室に連れて行き、ジミー・ビーボーの死体を見せ、殺人容疑でウェインを訊問する。弁護士はウェインが分署をたらい 回しにされているのではと心配するが、ヴィトーは各分署には犬がいて年間30万ドルも払っているのに全く消息が掴めないのはおかしいと言う。一方、バー ニーの隙を見てウェインは銃を奪い、バーニーに銃を突きつけて仲間に連絡を取るが、そこをローランが倒してすり替わる。連絡を受けたジョニーらが助けに来 て、ローランはバーニーを射殺してから逃げる。その後、ウェイン邸では、警官を殺して証人まで残してきたウェインに対し、組織の幹部たちは国外に逃げろと 忠告するが、ローランは国内に残ると言い張り、気まずい雰囲気になる。
 ローランは国外に逃げなくてもいい方法があると切り出し、整形外科医のシナモンを呼び、組織の幹部たちの見ている前で整形手術をするのである。その 出来映えに一部始終を見ていた仲間も驚く。そこへジムが入ってきて、ウェインには気づかないふりをして、皆にプレッシャーをかけるが、反対にジョニーに叩 きのめされて放り出されてしまう。ローランはジムを殺すように提案するが、ヴィトーとアルは反対して幹部会で決まるまでは勝手なことは許さないと釘を刺 す。そして、二人がいなくなってから、ローランはジョニーにジムを車ごと消すように指示を出してしまう。その結果、ジムが車の中からマンホールに逃げた 後、車は大爆発を起こす。このことでジョニーを責めるヴィトーとアルだが、ウェインに指示されたということを聞き、二人はローランに銃を向ける。しかし、ロー ランは文句があるなら幹部会にかけろと言い、1時間後に幹部会が開かれ、ローランは俺の好きにやるぞと宣言し、貴様たちの制裁を受けてたまるかと言っ て銃の引き金を引くが、弾が入っていない。幹部会の全員一致ということで、ジャックはローランの死刑を宣告するのである。IMFはエレベーター2基をシンク ロに移動させる細工をし、ローランとウェインを再度入れ替えるのだ。下にはジョニーが待っており、目の覚めたウェインは何が起こったか知る由もない。ジョニ ーはウェインを射殺し、死体を運ぼうとしているところへ警官隊が踏み込み銃撃戦となるが、ジョニーはあっさりと射殺されてしまうのだった。
【解説】CICビクタービデオから「スパイ大作戦 薔薇の秘密指令」というタイトルのビデオが出ているが、「スパイ大作戦」の全話を見たと自負する私にとっ て、最初、このタイトルを見た時には、まだ見たことのない「スパイ大作戦」があるのかと勘違いしてしまった。実は、このエピソードの前後編を纏めて劇場公 開用に編集されたもので、日本とヨーロッパに輸出された。ギャングものとしては、シリーズ屈指の出来映えであろう。
 このエピソードは劇場公開されたこともあり、娯楽性に富んでおり、いろいろな小道具やトリックが登場して見る者を非常に楽しませてくれる。ジムの背中の 偽物を車に取りつけて、敵が車に爆薬を仕組むが、ジム本人はその背中を残して車の下に開けた穴からマンホールに逃げた後に車が大爆発を起こし、敵は ジムの背中を見ているので、燃える車を見て殺害したと確信する。残念ながら、車の本当の爆発シーンは画面では見ることができず、惜しまれるところであ る。
 また、シナモンが整形外科医として、シンジケート一味の目の前で、敵のボスのマスクをつけたローランから、マスクを少しずつ剥がしていき、素顔のローラ ンにする整形手術を演じ、ローランが素顔で敵のボスに変装するという面白いシーンもある。ラストでは、二つのエレベーターをシンクロ移動させて、ローラン と敵のボスが入れ替わるというシーンもアイデアが素晴らしい。
 役者たちの演技も水準は高く、その中でも殺し屋ジョニーを演じたロバート・フィリップスは一際光っている。セリフはあまり多くはないものの、憎々しく恐ろし い雰囲気をうまく出している。ジミー・ビーボーという一味の金を猫糞した男に対して、一味は死刑を宣告するが、その執行はジョニーによってなされる。ジョニ ーはジミーに自分の墓を掘らせて、命乞いをするジミーをシャベルで叩いて、そのまま穴に落として生き埋めするのだ。それをIMFが見守っており、何とかジ ミーを助けようとするが、ジョニーは煙草を吸っていてなかなか立ち退かない。制限時間が2分半しかなく時計との睨めっこというシーンは緊張感に溢れてい る。


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