スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



53 恐怖のリモートコントロール Recovery
【目的】フェイル・セーフ・システムを取り戻すとともに米国亡命者を連れ帰ること
【指令】おはよう、フェルプス君。 昨夜、わが戦略爆撃機B52が鉄のカーテン内で墜落、その爆撃機にセットされたフェイル・セーフ装置がバツイア研究所に 押収されてしまった。研究所の所長はアメリカから亡命した物理学者シパードであるが、彼がこの装置の分解に成功すればフェイル・セーフ・システム即ちわ が国の偶発戦争防止システムの全貌を知られてしまう。
 そこで君の使命だが、フェイル・セーフ・システムを取り戻すとともにシパードを連れ帰ることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるい は殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは直ちに処分すること。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: ロバート・トッテンRobert Totten
【ゲスト出演】
シパード:ブラッドフォード・ディルマン(小山田宗徳)Bradford Dillman as Paul Shipherd
技術者:エミール・ジェネスト(早野寿郎)Emile Genest as Technician
ラソ:ピーター・コー Peter Coe as Laso
警備兵:ピーター・ヘルマン Peter Hellman as Guard
大臣:グレゴリー・ゲイ Gregory Gay as Minister
看護婦:ジュディー・レヴィット Judy Levitt as Nurse
助手:アート・スチュワート Art Stewart as Attendant
【場所】@指令(媒体):駐車場の事務所にあるオープンテープレコーダーで灰皿に入れると燃えあがる
A舞台:鉄のカーテン内の国
【役割】ジム:空軍大佐(B52パイロット)→マシーガー・レッグ(シュレッダー修理屋)
ローラン:チャールズ・ランウェイ教授(科学者)
シナモン:ジャネット・ランウェイ(科学者)
バーニー:ジム・ストーナー(アメリカ大使館員)
ウイリー:車のタイヤを狙撃→シュレッダー修理屋
【道具】@爆薬
A棒三本組み合わせたもの:シュレッダーを使用不能にする
Bスピーカー:ジムの声が近くから聞こえるようにする
【削除】(24分50秒)シュレッダーの故障で修理を頼む掃除夫
【見所】(07分20秒)技術者のコンピューターの指示方法に対しシパードは別の方法と言う
(18分40秒)バーニーが爆薬をOA機にセットする
(20分10秒)シナモンが既にシパードに人質に取られていたことがわかる
(23分40秒)内部を分解しようとするシパードを制止し、ローランは自分で分解しようとする
(30分00秒)シュレッダーの中に入るジムはダクトを上に這い登る
(35分20秒)ジムが針金を出して合図して、ローランが発作を起こして倒れる
(39分10秒)ジムがネジを抜いている間に技術者が研究室に戻り、ジムが殴り倒す
(40分40秒)ジムがフェイル・セーフ・システムの中味を持って再びダクトに戻る
(41分30秒)バーニーがシパードを殴り、シナモンが注射を打ち、ローランは仮面を被せる
【疑問点】@シナモンがシパードにどのようにして捕まったかは劇中で語られていない。
【粗筋】フェイル・セーフ・システムを開けようとする時、技術者はコンピューターの指示通りでと言うが、シパードは設計者の裏をかき、もう一つの方法でやる と主張する。そして、見事に開けることに成功するものの、どういう順序で中味を分解するか悩むのである。フェイル・セーフ・システムを間違った順番でボルト を外すと爆発する仕組みになっているのである。B52のパイロットが捕まったという知らせが入り、パイロットのジムから聞き出そうとするが、口を割らない。 そこで、シパードは設計者でもあるローランを呼び寄せ、シナモンを人質にして聞き出そうとする。しかし、ローランが返事をしないので、シパードが勝手に作 業しようとすると、観念してローランは自分で解体作業をすることになる。バーニーは大使館員として、ローランの付き添いとしてビルに入り、爆薬をセットして ボヤ騒ぎを起こした隙に、シュレッダーに異物を落として壊してしまう。修理会社員を装ってジムとウイリーが入り、ウイリーは下で見張り番、ジムはダクトを昇 って研究所までたどり着く。そして、針金を出して合図をすると、ローランが心臓発作を起こし、皆が研究室を出るのを確認してから、ジムは室内に侵入してフ ェイル・セーフ・システムの中味を奪って再びダクトに戻る。シナモンはローランが死んだと告げ、皆が部屋から出た後、隙を見てシパードをバーニーが殴り倒 し、シナモンが注射を打ち、ローランはシパードのマスクを着け、シパードにローランのマスクを被せる。そして、ジムはダクトを通じロープを使ってバーニーにフ ェイル・セーフ・システムの中味を引き渡し、それを車椅子に隠してシパードを引き連れてビルから脱出するのであった。
【解説】タイトルで使われている「リモートコントロール」についてだが、日本語では今や「リモコン」という略語になっており、本エピソードで使われる装置とは 違うニュアンスの言葉になってしまっている。もともと「remote」という単語は「遠隔の」とか、「遠い」という意味を持つ形容詞で、「リモートコントロール」を直訳 すると、「遠隔制御」ということになる。そういう意味であるとしたら、登場するアームユニットにぴったりの言葉となる。もともと、数十年前のテレビやステレオ の「リモコン」は、本体とケーブルで繋がっており、わざわざ機器まで歩かなくても、座ったまま遠隔操作ができるということを売り物にしていた。それが時代と ともに現在のようなコードレスに進化してきたのだ。当然のことながら、言葉も時代とともに変化するものなのだ。
 アメリカを亡命した人物を連れ戻して懲らしめるという任務は、第1シーズンの「極秘情報を奪回せよ」でも見られるが、当局とIMFは祖国の裏切者に対して は決して許さないという姿勢を貫くようだ。特に今回の米軍戦略爆撃機B52のフェイル・セーフ・システムを分解して、敵国に機密を暴露しようとしているシパ ードは許されないのである。
 IMFの今回取った作戦は、メンバーを表舞台と裏舞台の2チームに分ける。表舞台では、ローランとシナモンがアメリカの科学者夫婦という触れ込みで、バ −ニーはアメリカ大使館員としてシパードに接触する。ジムはB52のパイロットとしてフェイル・セーフ・システムの件でシパードに訊問されるが、何も答えず に釈放される。この後、ジムは裏舞台にまわり、ウイリーとともにシュレッダー修理屋を装いシュートから研究室への侵入を試みる。
 B52パイロットのジムから何も聞き出せなかったシパードは、シナモンを人質にローランにフェイル・セーフ・システムの解体を強いる。バーニーはボヤ騒ぎ の隙を見て、シュレッダーに異物を仕込み、シュレッダーの故障ということで、ジムとウイリーが登場してジムはシュートを昇っていくのだ。ジムの合図とともに ローランが発作を起こし、皆が研究室を出てからジムがフェイル・セーフ・システムを盗んで再びシュートに隠れる。一方、ローランの死を偽装してシパードを眠 らせた後、ローランがシパードのマスクを被り、シパードにはローランのマスクをつけて、シュート内でロープにつけたフェイル・セーフ・システムをバーニーが受 け取って、車椅子に隠して見事にIMFはフェイル・セーフ・システムとシパードの奪回に成功するという内容である。
 ところで、このエピソードではどんなに厳重に部屋のドアの鍵をかけていても、各部屋に通じているシュートから侵入してしまえば、部屋のドアの鍵なんて全 く役に立たないということを皮肉っている。日本では馴染みが薄いかもしれないが、海外の集合住宅では、室内にゴミを捨てるシュートが備わっているものが 多く、そこで捨てたゴミが下にあるゴミ小屋に置いてあるコンテナに収納され、ゴミの回収車がそのコンテナごと持ち上げてゴミを車内に取り入れるというスタ イルがよく見られる。ゴミの投入口が人間の入れるほどの大きさならば、そこから侵入してくる泥棒に十分気をつけなければならない。


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