スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



54 密室の金塊 The Mercenaries
【目的】敵味方の区別なく掠奪して金塊に換える大佐を破滅に導き、金塊を取り戻すこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 その人物は名前をハンス・クリム大佐といって、アフリカにおける外人部隊の一指揮官である。新興国家のために闘うという のはほんの表向きで、その実クリム大佐は敵味方の差別なく掠奪を欲しいままにする軍隊ゴロなのである。そして掠奪したものをクリム大佐とその部下がす べて金塊に換え、これを司令部の金庫室に蓄えている。
 そこで君の使命だが、クリム大佐を破滅に導き、金塊を取り戻すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一 切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
監督: ポール・クラズニーPaul Krasny
【ゲスト出演】
ハンス・クリム大佐:パーネル・ロバーツ(小林昭二)Pernell Roberts as Colonel Hans Krim
グルナー少佐:スキップ・ホメイアー(中村正)Skip Homeier as Major Jan Gruner
カール:ボー・スヴェンソン(山田康雄)Bo Svenson as Karl
ゴルテ軍曹:ヴィクター・タバック Victor Tayback as Sergeant Gorte
【場所】@指令(媒体):路上に駐車してある車のダッシュボードの中にあるテープカートリッジを聞く
A舞台:アフリカの新興国家
【役割】ジム:神父
ローラン:アレックス・モーランド中尉
シナモン:神父の妻
バーニー:金を盗み出す→電話回線の細工
ウイリー:金を盗み出す
【道具】@拳銃:空砲は二発、三発目より実弾
A受信機:金庫内の発信機をジムが置き、その信号をキャッチして穴をあける
B発信機:球状で金庫の一番低いところ(中央)にころがる
C穴あけ機とパイプ:金の通り道に設置する
D防塵マスク:気化した金を吸わないようにする
E傘状ヒーター:2200度まで上げ金を溶かす
Fポータブル電源:ヒーターの電源供給
G金の延べ棒の鋳型:溶けてパイプを通ってきた金の液体を入れる
H三角形の金の破片:ローランが秘密の金の埋蔵場所を知っていると暗示する
I金の溶けた痕跡を消すコンクリート噴射装置
Jクレーン付トラック:盗んだ金の延べ棒を持ち上げて運ぶ
【削除】(03分30秒)反逆者の見せしめとして宙づりにされている囚人
(10分00秒)バーニーとウイリーが地下道で受信機を測る
(22分30秒)クリム大佐がローランを捕らえ、手にロープを掛けて吊るす
【見所】(05分30秒)ジムとシナモンがバイブルを積んだトラックで刑務所に入る
(13分30秒)金庫の中にある金の延べ棒を見て、ジムは球状の発信機をセットする
(21分00秒)金庫内の温度が2200度になり、金の延べ棒が溶け出す
(27分30秒)クリム大佐とキスをするシナモンを見たジムは、大佐に銃を突きつける
(32分50秒)吊り下げられているローランがカールに降ろしてくれと頼む
(37分50秒)ローランが大佐とカールを案内して金の在処を見せるが、射殺されてしまう
(41分40秒)大佐はカールを射殺し、シナモンを人質にジムにタンジールに行くよう指示する
(45分40秒)神父のトラックから大量の金が発見されたと大佐に報告するグルナー少佐
(47分10秒)金庫の金がなくなっており、グルナー少佐はクリム大佐を射殺する
【疑問点】@大量の金の行方については、恐らく税関をノーチェックで通過したと思われるが、その後の行方については劇中で語られていない。
【粗筋】敵の司令部にはローランが中尉として訪れ、秘密の埋蔵金の話を匂わす。ジムとシナモンは神父夫妻としてトラックでバイブルとバーニーとウイリーを 積んで司令部に向かう。途中で二人を降ろし、大量のライフルを持ちこみ、ジムはクリム大佐と商売の話を持ちかけ、金庫室の金の延べ棒を見て送信機をセ ットする。地下道に入ったバーニーとウイリーは受信機で穴を掘る場所を決め、パイプをセットする。そして、傘状のヒーターを用いて2200度まで温度を上 げ、金を溶かしてパイプを通じて落ちてきた金の液体を鋳型に入れて、再度金の延べ棒を作るのだ。ローランは不審な行動から、クリム大佐に捕まって吊り 下げられる。大佐はローランが金の埋蔵されている場所を知っていると睨むのである。一方、バーニーとウイリーは盗んだ金をある廃居のかまどの中に隠す。 そして、ローランはクリム大佐とカールをこの場所に案内するが、その後射殺されてしまう。金の処分に困ったクリム大佐は、ジムにタンジールの銀行まで運 ぶよう指示をする。その後カールを口封じのため射殺し、ジムが金を持ち逃げしないようにシナモンを人質にするという念の入れようである。一方、ローランは 税関役人の声帯模写の声で、グルナー少佐に神父のトラックから大量の金が発見されたという電話を入れ、グルナー少佐は大佐に報告する。そして、金庫 の中の金が全部なくなっていることに気づいて驚く大佐と少佐である。金庫のダイヤル番号を知っているのは大佐だけで言い逃れはできない状況になり、少 佐は大佐を射殺してしまうのだ。最後にローランはシナモンとともに警備兵を倒して脱出するのであった。
【解説】第3シーズンのトップバッターである「密室の金塊」は、金庫室から金塊を溶かして盗むという大胆な作戦で、金の溶けるシーンも魅惑的に表現され、 シリーズ屈指のハイライトシーンであろう。金庫室の底から穴を開けるのだから、もう少し大きな穴を開けて金塊ごと盗んだ方が早かったのではと野暮なこと を言うのはよそう。
 金庫室の下には地下道が通っており、バーニーとウイリーはその地下道に潜入する。ジムが金庫室内に落とした発信機を頼りに穴を開け、パイプをセットし た後に傘状のヒーターを差し込んで、2200度まで温度を上げる。劇中では2200度と説明しているものの、金の融点は摂氏1064度であるため、もしかし たら、華氏2200度のことかもしれない。しかし、金があのように溶けているということは、金庫室内が摂氏1064度以上になっているということで、あんな華 奢なヒーターでそこまで温度を上げられるものか疑問は残る。当然のことながら、撮影には本物の金が使用されていないのは明らかである。
 ご丁寧なことに、バーニーとウイリーは溶けてパイプを通って落ちてきた金を鋳型に入れて、再度金の延べ棒を作るという作業をする。そして、これを廃居ま で運ぶのだ。一方、ローランは金の隠し場所としてクリム大佐らをこの廃居まで案内する。用のなくなったローランは大佐に射殺されたと見せる。金の処理に 困った大佐はシナモンを人質にジムにタンジールまで運ぶように強要する。
 その後、ローランは税関役人の声帯模写で、神父(ジム)の車から大量の金塊が発見されたとグルナー少佐に電話し、これを大佐に報告する。そして、金 庫室の金がすっかりなくなっていることに気がつく二人であるが、金庫の番号を知っているのは大佐だけなので、少佐は大佐を射殺してしまうのである。もち ろん、金の溶けた痕跡を消すためにバーニーがコンクリートの液体を噴射したため、少佐の目にはまさか金庫室の下から盗まれたとは気づかなかったという ことは言うまでもない。


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