エピソードガイド３ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド３

55 甦ったプリンセス The Heir Apparent

【目的】王位を継ぐべき摂政の地位を狙う将軍の野望を阻止すること
【指令】おはよう、フェルプス君。　ポビアの大司教ジェルヴァスは、先頃世継ぎを残さずに王がこの世を去ったため、やがて王位を継ぐべき摂政を五日後に指名することになっている。ところでこの男カゼッテ将軍は、もし自分を摂政に指名しなければクーデターをもって王位を手中に収めると言明、これが実現せんか、自由立憲君主国ポビアは独裁国に変貌する。
　そこで君の使命だが、このカゼッテ将軍の野望を阻止することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ロバート・E・トンプソンRobert E. Thompson
製作: ウィリアム・リード・ウッドフィールド＆アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
監督: アレクサンダー・シンガーAlexander Singer
【ゲスト出演】
カゼッテ将軍：チャールズ・エイドマンCharles Aidman as General Envir Qaisette
ジェルヴァス大司教：トリン・サッチャーTorin Thatcher as Archbishop Djelvas
ザゲブ秘密警察長官：ルディ・ソラリRudy Solari as Zageb
大公：レオニダス・オセティンスキー　Leonidas Ossetynski as Grand Duke
ポーラン：ダイアナ・バーボン　Diana Bourbon as Mme. Pollan
ツアーガイド：フレッド・ヴィラニ　Fred Villani as Tour Guide
ヴァクテール医師：アルフォンズ・マーテル　Alphonse Martell as Dr. Vachtel
署長：ピーター・ヘルマン　Peter Hellman as Police Captain
【場所】①指令（媒体）：公園の公衆電話の下部に隠されているオープンテープレコーダーを取り出す
②舞台：ポビア
【役割】ジム：教授
ローラン：エミール・ホールセン（医師）→素顔のローラン
シナモン：プリンセス・セリーン
バーニー：修行僧
ウイリー：掃除夫
【道具】①粘土状型取り：ランプの中に入っている
②目薬：一時的に盲目になる
③取っ手：ブロックに取り付けて取り易くする
【削除】（09分30秒）バーニーとウイリーが逮捕され、ザゲブ秘密警察長官から訊問を受ける
（12分30秒）少女の古いレントゲン写真を見るカゼッテ将軍とザゲブ
【見所】（08分30秒）盗んだメダルの型を取るが落としてしまい、逮捕されるウイリーとバーニー
（14分20秒）レントゲンの少女はセリーンのものとローランは証言する
（19分40秒）将軍はシナモンがカゼッテ少佐と答えると、偽者だ二人を連れていけと言う
（24分00秒）ジムが自分はセリ－ンと信じているが、本当のことはわからないと白状する
（31分00秒）教会の中をジムにエスコートされ、大司教に挨拶をするシナモン
（37分20秒）大司教はパズルボックスを見せ、本物のセリーンだったら開けられる筈と言う
（42分20秒）シナモンはパズルボックスを見事開けてみせ、カゼッテはイカサマだとののしる
（43分50秒）日記にはカゼッテが裏切者と書いてあり、カゼッテは証人を呼んであると言う
（47分10秒）シナモンは年齢と健康状態を理由に王位に就くことはできないと固辞する
【疑問点】①カゼッテ将軍の片腕となっていたザゲブ秘密警察長官はお咎めなしか？
【粗筋】国王の死去に伴い、王座の正当な後継者である伝説のセリーン王女がまだ生きているという噂が国中に流される。掃除夫のウイリーはロケットのメダルを盗んで、修行僧のバーニーに渡して型を取ろうとするが、床に落として二人とも逮捕されてしまう。二人はある男に依頼されたと自白し、依頼者は教授（ジム）だと答える。ホテルのジムの部屋を家宅捜索し、一枚の少女のレントゲン写真を押収する。それを撮った医師であるローランを呼び、その写真の主がプリンセス・セリーンであることを聞かされるのだ。カゼッテ将軍がジムを訊問すると、連れの女のことを自分はセリーンだと信じているが、本当のところはわからないと白状する。将軍はこれを利用して大司教に恥をかかせようと考え、それにのらないかとジムに持ちかける。ジムは１０万ドルと帰りのビザ、そして捕まっている二人の釈放を約束させる。将軍は大司教が彼女をプリンセスと認めたら、化けの皮を剥して国民の前で恥をかかすこと、さらに、教授らの一味には死んでもらうと心の内をザゲブ秘密警察長官に打ち明けるのである。一方、バーニーとウイリーは監房から抜け出して王室金庫室の中にあるパズルボックスを見つけてパズルを解こうとするが、なかなか解けずに焦る。そして、やっとの思いで開けることができ、点数字の目印をつける。ジムは教会の中にシナモンを連れ、大司教のところへ挨拶し、いろいろと訊問が始まる。ヴァクテール医師を始め、参列している国民までもが本物のセリーンと認める中、カゼッテ将軍は、本物のセリーンならパズルボックスを開けられるはずと言って譲らない。そこで、王室金庫室から大司教はパズルボックスを取り出しシナモンに渡すと、点数字を手がかりに苦労しながらも、シナモンは見事開けてみせるのだ。そして、中に日記帳があり、父が殺される前に渡されたと言うのだ。日記にはカゼッテが裏切者と書いてあることが発表されると、カゼッテは全部イカサマだと叫び、証人も連れてきていると言うが、証人であるホールセン医師はローランの素顔になっており、見つけられずにいる。そして、わめき散らすところを警備兵によって逮捕されてしまう。しかし、シナモンは王位を継承することはできないと固辞し、真の後継者は、若くて溌剌としたヴィジョンを持つ者を、ジェルヴァス大司教が選ぶことを願い、たった一つの注文と言って、国民に惜しまれながら、去ってしまうのだった。
【解説】この「甦ったプリンセス」は米国での初回放映時、第３シーズンの最初のエピソードとして選ばれた。盲目で初老の王女に扮するバーバラ・ベインは本シリーズ最高の演技を見せる。随所にサスペンスが折り込まれ、最後に、摂政の地位を狙っていた将軍をうまく出し抜くところは見事に描かれており、よく出来た作品となっている。第３シーズンの幕開けとしては最高のスタートが切られ、この後も名作が目白押しに登場し、まさに「スパイ大作戦」の絶頂期へと突き進んでいくのである。
　ジムは王室の金庫室から刑務所に繋がる地下通路のことを知り、これを作戦に利用して、バーニーとウイリーが逮捕される。二人は、金庫室に保管されるパズルボックスを開けてシナモンにわかるように目印をつけるのが目的である。ここで登場するパズルボックスもこのエピソード放映後に、日本でも販売されている。
　ジムは王女セリーンとしてシナモンのことをカゼッテ将軍に話すが、本当かどうかはわからないと弁解する。普通なら、これで将軍がシナモンを国外に追放するとか、獄中に入れるとかしてストーリーは終わってしまうのだろうが、将軍は摂政の任命権のある大司教のことを目の上のタンコブと思っており、シナモンを任命させて、彼女が偽者ということを暴露すれば、一緒に大司教に恥をかかせてやろうと企むのだ。ここで将軍が爪を伸ばしたことで、後に自分を破滅させることになるとは本人は全く気がついていない。
　クライマックスでは、医師や衆人皆がシナモンを王女と認め、大司教がシナモンをそのままセリーン王女と認定しようとすると、将軍は本物の王女ならパズルボックスを開けられるはずと主張して譲らない。そして、苦労しながらもシナモンは見事にパズルボックスを開けてしまい、中から日記帳が発見されてしまう。そこにはカゼッテが裏切者として記載されているのだ。その日記帳については、本物かＩＭＦが仕組んだかわからないが、将軍は全部イカサマだと叫び証人も連れてきていると周囲を見回すが見つからない。何だかんだとわめき散らすところを逮捕されてしまうのだ。証人であるはずのローラン扮するホールセン医師は、隙を見て徐々にローランの姿に戻っていくところは面白く描かれている。
　それにしても、将軍に対しての世間の反発は予想以上で、ＩＭＦがここまでしなくても将軍は大司教から摂政に指名されなかったのではないのかとも思える。もし、摂政に指名されない時はクーデターを起こすと将軍が言明したことにより、ＩＭＦの出動となったのである。