スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



78 訊問 The Interrogator
【目的】侵略戦争を引き起こそうとしているスパイの計画の詳細を探り出すこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 いま君が見ているのは、ノーヴァン・クルーガーといって、侵略戦争を起こそうと計画中のある国のスパイであり、その計画 の詳細を知っている人物である。が、我々には二日後の4時にその幕が切って落とされるという以外何もわかっていない。ところでそのクルーガーが、わが国 とは非友好的関係にある某国に捕まり、目下その男フリードリッヒ・スピンドラーの尋問を受けているが、まだ口を割るに至っていない。またたとえ割っても、 わが国に知らせてこないことは明らかである。
 そこで君の使命だが、クルーガーの国の計画の詳細を探り出すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一 切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ポール・プレイドンPaul Playdon
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: レザ・S・バディイReza S. Badiyi
【ゲスト出演】
ノーヴァン・クルーガー:ヘンリー・シルヴァHenry Silva as Norvan Kruger
フリードリッヒ・スピンドラー:グンナー・ヘルストロームGunnar Hellstrom as Friedrich Spindler
ロストフ:エリック・ホランド Erik Holland as Rostov
クトゾフ:ヴィンセント・ヴァン・リン Vincent Van Lynn as "Kutzof"
クルーガー夫人:アン・ニューマン Anne Newman as Kruger's Wife
囚人:ジョン・ローズ John Rose as Prisoner
【場所】@指令(媒体):材木置場の事務所にあるボストンバッグの中のオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:非友好的関係にある某国
【役割】ジム:少佐→ドレイゴ医師
ローラン:バイクを引っ掛ける工作→オスカー・マンフレッド→スピンドラーに変装(デートリッヒ・ワーナー少佐)
シナモン:アンナ(クルーガーの妻)
バーニー:車の下に爆破装置を仕掛ける→ワゴン運転手
ウイリー:バイクを引っ掛ける工作→看守
【道具】@クルーガーの昔いた場所とそっくりなセット
A合成写真:クルーガーとシナモンが写っている
B薬:一時的に記憶喪失になる
C車のエンジンを壊す軽い爆破装置
D催眠ガス
【削除】(14分30秒)スピンドラーが監房から何かの間違えだとウイリーを呼ぶ
(17分40秒)ジムとバーニーがクルーガーの部屋を覗く
(34分10秒)ジムはクルーガーに疲れたのなら部屋に戻ったらいいと言う
【見所】(08分00秒)バーニーが車庫の中でスピンドラーの車に爆破装置を仕掛ける
(13分20秒)ワゴン車で催眠ガスを使い、クルーガーとスピンドラーを拉致するIMF
(22分10秒)自分が誰だかわからないとクルーガーはシナモンに話す
(27分10秒)ローランの妻の写真に見覚えがあり、自分の妻であるシナモンと混乱する
(30分30秒)クルーガーが暗号名を聞くと、ローランはフリードリッヒ・スピンドラーと答える
(36分20秒)クルーガーはローラン扮するスピンドラー大佐を見るがワーナー少佐だと言われる
(41分50秒)潜水艦の位置をローランが答えるが、クルーガーには聞こえない
(42分50秒)ローランが逆にクルーガーに訊問を始め、自分はスパイじゃない訊問官だと狂う
(47分50秒)思い出した、レズニック島南西20マイルとクルーガーが答える
【疑問点】@ローランとスピンドラーは身長があまりにも違うが、スピンドラーに変装した時、身長もスピンドラーと同じになっていたが、どのように背を低くした のか?
【粗筋】スピンドラー大佐によって執拗な訊問を受けるクルーガーだが、何も答えない。バーニーはスピンドラーの車に爆薬を仕込んで車を使えなくし、そこへ バーニーが運転するワゴン車がやってきて、スピンドラーとクルーガーを乗せ、催眠ガスで眠らせ二人を拉致する。スピンドラーは監房に入れられ、何かの間 違いだから出してくれと叫び、クルーガーを自白させなければならないと言うことから、クルーガーから何の情報も得ていないことが判明する。一方、クルーガ ーを昔いたところとそっくりなセットに入れ、本人は薬によって記憶喪失症で何も覚えておらず、クトゾフ将軍から後3時間でマンフレッド(ローラン)の口を割ら せろと電話で最後通告がされる。何が何だかはっきりとわからないまま、クルーガーは自分が訊問官であり、ローランへの訊問を始めなければならないこと を認識する。クルーガーが訊問を続けるにつけ、ローランから返ってくる言葉はクルーガーの記憶の奥で何かと結びつくのだが、はっきりとせず次々と幻影と なってクルーガーに襲いかかるのだ。クルーガーは悩んで一人にしてくれと頼む。そして、ローラン扮するスピンドラー大佐を見て、自分に対する訊問官であ ることを思い出すが、ローランはワーナー少佐だと言ってシナモンを連れていってしまう。再びローランに対する訊問を始め、潜水艦の位置をクルーガーは聞 き出すが、ローランが何を言ったか聞こえないのである。その後、ローランは自分が訊問官になったような錯覚を起こして狂い出す。ジムはローランが吐いた 証拠だとクルーガーに教えるが、クルーガーは耳が聞こえなかったと弁解する。よく思い出してくださいとジムはクルーガーを励ます。3時にクトゾフ将軍が到 着し、自白させられたかとクルーガーを問い詰め、黙っているクルーガーに銃を向ける。そして、答えないと銃殺刑だ、連れて行けと指示すると、クルーガーは ずっと考え、"思い出した!レズニック島南西20マイル"と答えてしまう。バーニーはモールス信号でアメリカ本国に打電しことなきを得る。やっと解放されたク ルーガーとスピンドラーは、ワゴン車の中で廃人のようにぐったりと目もうつろな表情であった。
【解説】このエピソードでは、時間のトリックが使われる。第1シーズンの「大量殺戮者」、第3シーズンの「処刑作戦」、同じく「一千万ドル強奪作戦」でも時間 のトリックが用いられたが、いずれも未来へのタイムスリップである。これに対して「訊問」は過去へのタイムスリップが用いられたという点で異なる。もっとも、 第2シーズンの「イメージをダブらせろ」にも過去へのタイムスリップみたいな手法は用いられたが、敵の睡眠中という設定で夢の中の出来事として描かれて いたので、少し性格が違う。
 IMFは大胆にも敵のスパイのクルーガーとその訊問官の二人を催眠ガスで眠らせて拉致する作戦を取る。訊問官を一緒に捕らえるのは、クルーガーから 何か情報を得ているかを確認するためである。訊問官はクルーガーから何も聞き出せていないことが判明し、ターゲットはクルーガーに絞られる。IMFは彼が 昔いた場所とそっくりなセットを準備して薬でクルーガーを記憶喪失状態にする。厳密に言うと、時間のトリックとともに場所のトリックも併用されている。そし て、クルーガーがかつて訊問官だったという経験を利用するのだ。
 何が何だかわからない状態のまま、将軍よりローランの口を3時間以内に割れと命令されるクルーガーは悩みに悩む。そして、訊問官としてローランからい ろいろと聞き出すが、ローランの言っていることがクルーガーの脳裏で何かと結びつくが、それが何であるか思い出せない。また、ローラン扮する訊問官スピ ンドラーを見て思い出すが、別人であると否定されてしまう。
 よくわからないまま、ローランに潜水艦の位置を聞き出すと、ローランは喋るのだがクルーガーには聞こえないのだ。その後、ローランが狂ったように反対に クルーガーに対して訊問を始め、ジムが自白した証拠だと告げると、クルーガーは聞こえなかったと弁解する。そして、制限時間がきて将軍がやってくるが、 答えないと銃殺刑だと銃を突きつけられると、クルーガーは真実を自白するのである。
 クルーガーを精神的に追い込んでいく様子は見事に描かれているが、自白したローランが狂ったように反対に訊問官になってしまうという展開は面白いも のの、そんなのあり得るのかと疑ってしまう。また、ローランが訊問官スピンドラーに変装するが、二人の身長差はかなりあり、ローランの変装したスピンドラ ーの身長がスピンドラーと同じ高さになっていたのはどう説明するのだろうか。身長を低くするトリックについては全く語られていない。最後に、IMFから解放さ れた二人は廃人にされたかのように目もうつろでぐったりとしていたが、クルーガーはともかく、スピンドラーは何も悪いことをしていないはずなのに本当にお 気の毒様である。


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