スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



77 幻の殺人 Illusion
【目的】秘密警察長官の椅子を狙う二人を排除し、第三の候補が長官になるように仕向けること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その二人はエミール・スカーベックおよびカート・ロームといって、東ヨーロッパ人民共和国における秘密警察長官の地位を 争うライバル同士であるが、二人のどちらがその地位についても、同国はさながら一大強制収容所と化す恐れがある。
 そこで君の使命だが、この二人の争いを排除し、西側に友好的な第三の候補ポール・トロックが長官になるように仕向けることにある。例によって君もしくは 君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: ジェラルド・メイヤーGerald Mayer
【ゲスト出演】
エミール・スカーベック:フリッツ・ウィーヴァーFritz Weaver as Emil Skarbeck
ポール・トロック:マーティン・E・ブルックスMartin E. Brooks as Paul Trock
カート・ローム:ケヴィン・ヘイガンKevin Hagen as Kurt Lom
オットー:ホースト・エーバースベルク Horst Ebersberg as Otto
キャバレー見物人:ジャック・ベイカー Jack Baker as Cabaret Spectator
夫人:エセル・ウルフソン Ethel Wolfson as Wife
夫:ロバート・ウルフソン Robert Wolfson as Husband
【場所】@指令(媒体):あるビルの屋上にある小屋の扉に棒を突っ込んで鍵を開け、オープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:東ヨーロッパ人民共和国
【役割】ジム:エリック・ノイスタット(芸能記者)/ベッカー(精神科医師)
ローラン:フリッツ(道化師)→ロームに変装
シナモン:モナ・バーン(キャルロットの親友)
バーニー:スカーベック邸に侵入→フリッツに変装
ウイリー:照明音響係
【道具】@指輪:針に麻酔剤を仕込んである
A催眠薬:30秒で気絶する
B盗聴機
【削除】(21分10秒)シナモンにキャルロットには及ばないと言うスカーベック
(42分20秒)ロームのところへ行ったら5000マルク払うとスカーベックに言うシナモン
【見所】(07分20秒)シナモンがトロイメライの舞台に登場し、歌とお色気を披露する
(14分20秒)モナ・バーン(シナモン)より楽屋に来るようスカーベックに手紙が届く
(22分40秒)スカーベック邸に出向き、スカーベックとシナモンはキスをする仲になる
(27分40秒)スカーベックが薬を飲み気絶する
(32分40秒)スカーベックはキャルロットが浮気したので殺したことや、他の女性殺害を自白する
(40分00秒)シナモンがロームのところへ出向きお金を要求し、ロームはオットーに殺せと指示する
(43分20秒)スカーベックがシナモンの首を絞め、シナモンは指輪の針をスカーベックに刺す
(45分00秒)オットーがシナモンを射殺しようとしているところをジムがオットーを殴り倒す
(48分00秒)スカーベックがロームを射殺する
【疑問点】@秘密警察長官の椅子を狙う第三の男トロックが秘密警察長官になれたかどうかは劇中では語られていない。
【粗筋】秘密警察長官の椅子を狙う三人、スカーベック、ローム、トロックがキャフェ・トロイメライに集まり、フリッツとモナ・バーンのショーを見物する。シナモン の歌とお色気に酔いしれる三人である。バーニーは留守中のスカーベック邸に侵入し、薬をすり替えるとともに盗聴機を仕掛ける。そして、シナモンはスカー ベックに楽屋に来るよう手紙を頼み、やってきたスカーベックにロームより10000マルクで雇われ、スカーベックをやっつけろと頼まれたと告げる。スカーベッ クは逆に10000マルク自分が払うからロームの情報を得るようシナモンに指示する。一方、ジムはロームにキャルロット殺しはスカーベックの仕業だと言い 含めるのである。シナモンはスカーベック邸に出向き、濃厚なキスをするのだが、そこへローランが乗り込みシナモンを連れて帰る。その後、スカーベックが薬 を飲み気絶し、ジムに催眠術をかけられる。キャルロットが他の男と浮気していたので殺したことや、他の女性殺害も自白する。一方、ロームはシナモンを捕 らえ、25000マルクである仕事をしてくれと頼む。別の日、スカーベックがシナモンの楽屋に行ったが留守で、ローランに銃を突きつけシナモンの行方を聞き 出すと、ローランはロームと一緒だと答える。その後、スカーベックはシナモンにロームとのことを問い詰めると、シナモンはスカーベックを小馬鹿にした態度を 取り、逆上したスカーベックはシナモンの首を絞めて殺そうとするが、シナモンは指輪の針でスカーベックを刺し気絶させる。そして、スカーベックが気づくと、 キャフェ・トロイメライのテーブルに座っており、ローラン扮するロームがスカーベックにモナ・バーン殺しをするように仕組んだと言うのだ。これに怒ったスカーベ ックが銃を取り出すと、ウイリーは照明を切り、ローランは隠れてしまい、再び照明を入れると、そこには本物のロームが現れたところを、スカーベックは大衆 の目前でロームを射殺してしまうのであった。
【解説】本エピソードではいくつかの殺人事件が登場するが、邦題の「幻の殺人」がどの殺人を指しているのかを考えると、恐らく、終盤にシナモンがスカーベ ックを小馬鹿にした態度を取り、逆上したスカーベックがシナモンの首を絞めて殺そうとするシーンがあるが、これを指しているものと思われる。もちろん、シナ モンは指輪の針をスカーベックに刺して、九死に一生を得るが、スカーベックにとっては、一体自分に何が起こったか知る術もなく、目が覚めた時には、シナ モンを殺したことが頭に焼きついていてもおかしくない。
 「幻の殺人」では、本シリーズがお色気路線に転向してしまったのかと目を疑う程、バーバラ・ベインの魅力が溢れており、ファンにはたまらない内容になっ ている。黒い下着姿で肌も露にして、気取って歩く様は筆舌に尽くし難い。そして、ガーターベルトを観客に投げ、歌も3曲お披露目する。吹き替え版の山東 昭子氏はやや高めの声であるが、バーバラ・ベインはハスキーな低音の声を出していることに気がつく。
 IMFの取った作戦は、秘密警察長官の椅子を狙うスカーベックとロームに対して、二人の関係に亀裂を入れるという常套手段を使う。シナモンはスカーベッ クを楽屋に呼び、ロームから1万マルクで雇われてスカーベックをやっつけるように指示されたと言うと、スカーベックは逆に1万マルク払うからロームの情報を 得るようにと誘うのだ。ロームもシナモンを捕らえて2万5千マルクである仕事をしろと言う。一方、ジムはスカーベックを薬で眠らせて催眠術をかけ、過去の 殺人事件の自白をさせる。ジムが催眠術を使うのは本シリーズ初めてである。また、今回、IMFは敵が恋愛に不器用なところをうまく利用している。スカーベ ックが本当はシナモンのような成熟した女性に恐怖心を持っていたり、あるいは、コンプレックスを持っているロリコンだったりしたのかもしれない。
 シナモンがロームと浮気したと疑うスカーベックは、逆上してシナモンを殺害しようとするが、眠らされて気がつくとキャフェのトロイメライの席に座っているの だ。そこへ、ローランが扮したロームが現れ、シナモン殺しを自分が仕組んだと告げると、スカーベックは逆上して銃を取り出す。すると、ウイリーが照明を切っ て、再び、照明を入れるとローランは姿を消して本物のロームがやってきて、スカーベックはロームを射殺してしまうのだ。
 劇中、シナモンの演技意外にも見所がある。ローランが演じるピエロは、次から次へと言葉が出てきて、シナモンを紹介するところは卓越しており、マーティ ン・ランドーのはまり役のようにも見える。また、よく注意して見ていないと見逃してしまうかもしれないが、最後にバーニーがローランに変装するシーンも見ら れる。


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