スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



84 自爆 Commandante
【目的】監禁されている神父を救出し、ふたたび神父に革命運動をリードさせること
【指令】おはよう、フェルプス君。 神父ドミンゲンはその国の独裁政権に反対、民主革命の主導的役割を果たしてきたが、最近極東の敵性国家が神父にと ってかわって革命運動をリードするに至った。彼らの手先は神父を裏切ったカルロス・マテオとそして国際的革命家ホアン・アセロである。神父ドミンゲンは現 在ラゴナスという山間におり、アセロはどうしたら民衆の怒りを買うことなく神父を殺せるか、目下その方法を考慮中である。
 そこで君の使命だが、神父ドミンゲンを救出、ふたたび革命運動をリードさせることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺され ても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: バリー・クレーンBarry Crane
【ゲスト出演】
ホワン・アセロ:ローレンス・デーンLawrence Dane as Commandante Juan Acero
ドミンゲン神父:アーサー・バタナイズArthur Batanides as Father Paolo Dominguin
カルロス・マテオ少佐:シド・ヘイグSid Haig as Major Carlos Martillo
エスバルト少佐:ロドルフォ・ホヨス Rodolfo Hoyos as Major Esbarto
オルティス大佐:ペペ・キャラハン Pepe Callahan as Colonel Ortiz
ペドロ・サンチェス:デヴィッド・ザックス David Sachs as Pedro Sanchez
ルイーザ:アン・モレル Anne Morell as Louisa
警備:ロバート・パディラ Robert Padilla as First Guard
【場所】@指令(媒体):ボーリング場の倉庫にある箱の中に入っているオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:ある国
【役割】ジム:スレイター(信仰友の会)
パリス:シェーン少佐
バーニー:ヘリコプターの部品組立
ウイリー:ボブ(信仰友の会)
【道具】@仕切りが動くトラック:ヘリコプター部品を仕切りの前方に隠す
Aヘリコプター:ラジコンで動く(バーニーが一人で組み立てる)
B武器弾薬:スイッチで爆発
【削除】(04分30秒)ジムが信仰友の会のスレイターと検問所に身分証を見せる
(23分20秒)ウイリーが監房に入れられ、ジムに武器弾薬を渡したのにと言う
(27分30秒)マテオが自分を支持してくれるパリスに話しかける
【見所】(06分20秒)マテオが神父を自殺させようとするところをアセロが止める
(11分50秒)信仰友の会が武器弾薬を持ってきたということでアメリカのスパイと疑うアセロ
(20分40秒)ウイリーが放った伝書鳩がアセロの元に届き、シェーン少佐の情報が入っている
(28分30秒)パリスがマテオにもう一度ここの司令官にする必要があるとおだてる
(32分00秒)アセロがヘリコプターを発見し、部下にヘリコプターに細工するよう指示する
(37分10秒)釈放されるジム、ウイリー、神父
(40分40秒)ヘリコプターが墜落し、炎上するのを目撃するアセロ、エスバルトたち
(42分00秒)死体がないとマテオがアセロに報告する
(44分50秒)ヘリコプターの出発点の下に穴があり、ラジコン装置とボンベが見つかる
(46分00秒)パリスがライター状のスイッチを押すと武器弾薬が爆発する
(47分00秒)マテオがアセロを射殺し、サンチェスはマテオでは無理で神父の時代が来ると言う
【疑問点】@ヘリコプターを墜落させた後、どのように神父らが逃げたかは劇中では語られていない。
【粗筋】監房でマテオが神父ドミンゲンを自殺に見せかけて殺そうとすると、アセロはそれを止める。信仰友の会という宗教団体のメンバーとしてジムはアセ ロに会い、神父を釈放するよう求めるが、アセロは武器弾薬が欲しいと要求するのだ。ウイリーがすぐ武器弾薬をトラックで運んだことから、アセロはアメリカ の諜報機関が絡んでいると睨む。ウイリーは検問後ヘリコプターの部品とバーニーを降ろす。監房では神父とジムが脱走する話をするが、それをアセロとマ テオが盗聴する。一方、パリスがシェーン少佐としてアセロとマテオに会い、アセロは神父を釈放すると言うが、マテオは神父を殺して文句を言う農民たちも 皆殺しにすると主張して二人は対立する。パリスはマテオを支持し、アセロには精神的に問題があり、マテオにもう一度司令官になってもらうとおだてる。そ の後、アセロはバーニーとヘリコプターを発見し、ヘリコプターのボルトを緩めるよう手下に命じる。そして、神父とジム、ウイリーを釈放し、証人としてエスバル トを連れて尾行するのだ。神父たちがヘリコプターに乗るのを確認し、砂煙の中から飛び立つとすぐにヘリコプターは墜落炎上してしまう。アセロは自分たちを 信頼していれば、このようにならなかったとエスバルトを慰める。しかし、現場から死体を運ぼうとしたマテオは、アセロに死体が見つからないと報告する。早 速、パリスは現場に行ってみようと皆を連れて、ヘリコプターの離陸地点を現場検証すると、穴があることが発見され、中からラジコン装置やボンベが見つか る。そして、武器弾薬を全部爆破してから、この結果にパリスは怒ってアセロを司令官から更迭し、マテオを司令官にすると告げると、アセロはパリスを射殺 しようとするが、マテオがアセロを射殺してしまう。そして、マテオはサンチェスに今度は俺が指揮を取ると宣言するが、サンチェスはアセロがいなくなったらお 終いだ、神父ドミンゲンの時代が来ると言うのであった。
【解説】この「自爆」の大きな見所になっているのは、部品がたくさん詰まった数十個の木箱から、バーニーが実物大のヘリコプターを一人で組み立ててしまう ところだろう。最後にこのヘリコプターは自爆してしまうのだが、もったいない話である。もっとも、自爆のシーンは模型が使われた可能性もあるが、それでもこ のシーンを撮影するために本物のヘリコプター1台を購入してしまうくらいだから、相当な制作費になったはずである。
 敵の悪漢のキャラクター描写も見事に描かれている。神父ドミンゲンを監房で自殺と見せかけて殺害しようとするマテオをアセロが制止するシーンで始ま る。マテオは元司令官だった男で、短気で凶暴でどちらかというとお頭が弱いタイプである。一方、マテオは現司令官として冷静に物事を考え、ずる賢く頭の 切れるタイプの男として描かれている。そんな二人だが、うまく手を組んで革命を成功させようとしていた。
 IMFは神父ドミンゲンを救出して、ドミンゲンの主導で革命を達成させる使命を果たすために、マテオとアセロの仲に亀裂を生じさせるような作戦を展開す る。その重責を担ったのはパリスであり、マテオを巧みにおだてて、アセロが精神異常者であることを言い含め、将来はマテオを司令官にするというおいしい 話を持ちかける。そして、パリスはアセロを司令官から更迭して、マテオを新しい司令官に任命すると二人の前で宣言してみせる。すると、アセロがパリスに 銃を向けるところをマテオがアセロを射殺してしまうのである。
 アセロを射殺した後、マテオは部下のサンチェスに今度は俺が指揮を取ると宣言するが、サンチェスは完全にマテオを無視して、アセロがいなくなったらお 終いで、今度は神父ドミンゲンの時代が来ると言って笑うのであった。神父ドミンゲンを裏切り、アセロまで裏切ったマテオには人望がなく信用もないというこ とである。


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