スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



85 ロボット Robot
【目的】現副首相の次期首相指名への策動を封じること
【指令】おはよう、フェルプス君。 今君が見ている写真の人物は、パパフ・ゼコフ首相である。ゼコフ首相は一月前に死亡して今は亡いが、その死は副首相 グレゴール・カミロフによって特に秘され、代わりに現在ではそのジェミニという替え玉が首相を装っている。副首相カミロフは二日後、この替え玉ジェミニをテ レビに出し病身を理由に引退の声明を発表させるとともに次期首相として自分を指名させようと謀っているのだ。こうして一度カミロフが首相になるや、その国 は今までの厳正中立を放棄、東側陣営に走ることは明らかである。
 そこで君の使命だが、この副首相カミロフの策動を封じることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知 しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ハワード・バークHoward Berk
製作: ブルース・ランズバリーBruce Lansbury
監督: レザ・S・バディイReza S. Badiyi
【ゲスト出演】
トレーシー:リー・メリウェザー(平井道子)Lee Meriwether as Tracey
カミロフ副首相:マラチ・スローン(早野寿郎)Malachi Throne as Deputy Premier Gregor Kamirov
ソレンスキー:ローレンス・リンヴィル(金内吉男)Lawrence Linville as Alexi Silensky
ダンコ大尉:ヤン・メリン Jan Merlin as Captain Danko
アントン・マセック:ヴィック・ペリン Vic Perrin as Anton Massik
少尉:リチャード・アンダース Richard Anders as Lieutenant
税関:ソクラテス・バリス Socrates Ballis as Customs Man
メカニコ:ケン・デロ Ken Delo as Mr. Mechanico
演出家:セルゲイ・チェルニッシュ Sergei Tschernisch as TV Director
【場所】@指令(媒体):公園に停めてあるトラックのダッシュボードよりオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:ある厳正中立国
【役割】ジム:ランバート・レッサー
パリス:ソレンスキー大佐に変装→ロボット
バーニー:電話機の切り替え→マリア・ベッカーのファイル伝送→ジェミニの監房に侵入
ウイリー:ランバートの助手
トレーシー:マリア・ベッカー(マセック情報長官の部下)
【道具】@ロボット
A監房の格子を切る円筒型の器具
Bジェミニの人形
Cバーニーが中に入る大型トランク
【削除】(34分40秒)カミロフ副首相がロボットの手を握ろうとすると、ジムが困りますと言う
【見所】(12分00秒)テレビ中継でジムとロボットのコントを見る副首相とソレンスキー
(16分40秒)ダンコ大尉がジムの部屋に侵入し、首相のロボットを発見する
(24分00秒)パリス扮するソレンスキーを尾行するダンコ大尉は会話内容を録音する
(31分00秒)ジェミニの監房の前に置いてあるトランクからバーニーが鉄格子を切る
(34分00秒)カミロフ副首相の前でロボットの実演をするジム
(40分50秒)ジェミニの首吊り自殺の死体を見るダンコ大尉
(42分10秒)バーニーが看守を殴り倒し、ジェミニとトレーシーを救出する
(45分10秒)パリスが自ら仮面を剥ぎ取る
(47分10秒)副首相は演説しているのは首相ではなく、マセックの陰謀でロボットだと言う
【疑問点】@監房で自殺するジェミニを見るダンコ大尉は、見ただけで死んだと判断するが、普通は脈を測ったりして助けようとするのではないだろうか?
【粗筋】アントン・マセックが首相(ジェミニ)に次期首相として指名してくれと頼むところを盗聴機で聞くカミロフ副首相とソレンスキーである。トレーシーはジム とウイリーを検閲なしで入国させ、カミロフ副首相とソレンスキーはマセックが呼んだことを知る。テレビ中継でジムとロボットのコントを見て、何のためにマセッ クが呼んだのか気になるカミロフ副首相は、その理由をダンコ大尉に探らせる。そして、首相のロボットを発見し、カミロフ副首相とソレンスキーはマセックの 裏をかこうと考え、それを利用して国民の前で恥をかかせる方法を取る。トレーシーはソレンスキー大佐に電話を入れて会いたいと告げ、パリスはダンコ大尉 に電話を入れ、ソレンスキー大佐の動きが怪しいから尾行するよう伝える。そして、ソレンスキーに変装したパリスがジェミニと話をして密約をし、それをダンコ 大尉が録音してカミロフ副首相に聞かせるのだ。その結果、カミロフ副首相はソレンスキーとジェミニを逮捕してしまう。カミロフ副首相はジムを呼び出し、協 力を強要してロボットの実演をさせるのだ。一方、バーニーはトランクからジェミニの監房の鉄格子を切り、監房内に侵入する。そこへトレーシーが監房に入れ られ、ダンコ大尉にどんなことでもすると色気で頼み込む。そして、バーニーはジェミニの首吊り自殺を演出し、看守を殴り倒してジェミニとトレーシーを救出す る。バーニーはジェミニにすべてを話し納得させ、テレビ中継が始まると、ジェミニが次期首相は半年後に自由選挙をすると宣言してしまうのだ。驚いたカミロ フ副首相は、今演説しているのは首相でない、首相は1ヶ月前に死んでおり、これはロボットだと言って手を握って引っ張ろうとするが、私だよとジェミニは答 えるのである。カミロフ副首相がジェミニと呼んだところで警備員に取り押さえられるのであった。
【解説】このエピソードでは、パリスが一人五役という離れ業をやってのける。これは、「スパイ大作戦」史上新記録である。その五役の内訳は、パリス本人、 写真の中の故首相、首相の替え玉ジェミニ、ロボット、ソレンスキー大佐の変装である。ソレンスキー大佐を除く四役は、いずれもレナード・ニモイ自身の演技 で、パリス本人はともかく、後の三役もニモイの顔にマスクをつけて演じており、最後に劇中で、そのマスクを本当に剥がして本来の自分の顔に戻るというシ ーンが見られる。ドラマの信憑性を高める目的で演出されたのは言うまでもない。
 首相の死後、その椅子を狙うカミロフ副首相は首相の替え玉ジェミニを使って、テレビ中継で自分を後継者として指名させようと企んでいる。ここのところの 構図は、第3シーズンの「酸素テントの中」における将軍が枢機卿の替え玉を仕立てて、和解したことをテレビで放送して、それを選挙に利用して独裁権を牛 耳ろうとしたのと同じようなものになっている。今回は、本物の首相が既に他界しているため、最後に偽物と本物をすり替えるのは不可能なので、偽物を裏切 らせる作戦を取り、そのトリックとして使うのがロボットである。
 IMFはカミロフ副首相がロボットに関し、同じく首相の座を狙うマセックの企みだと思わせる。そして、首相そっくりのロボットを見て、国民の前でマセックに 恥をかかそうということを思いつく。その後の調査でパリス扮する大佐とジェミニの密約が発覚して、副首相はジェミニを逮捕してしまうが、自分を後継者に指 名する者がいなくなって副首相が困っているところに、ジムがロボットの実演を見せて、副首相はロボットに自分の運命を託すことを決めるのだ。一方、バー ニーはトランクの中に隠れて、ジェミニの監房に侵入してジェミニのダミー人形を首吊り自殺に仕立てて救出するのだ。そして、ジェミニを口説いてテレビ中継 が開始される。そこで、ジェミニが自由選挙で首相を選出すると宣言すると、副首相はロボットだと言って、手を引っ張ろうとするが警備員に取り押さえられる のであった。
 それにしても、ロボットの手が取れることだけで、本物のロボットだと信じてしまう副首相も副首相だが、何の表情もなく無駄な動きをしないレナード・ニモイ の演技は素晴らしいものがあり、ロボットが電源を切られるところのシーンは笑える。


トップへ

戻る

前へ

次へ



Copyright (c) from 2001 BONBEL