スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



86 札束廃棄作戦 Fool's Gold
【目的】偽札を葬り、その原版を奪い、二度と他国にこのような脅威を与えないよう大蔵大臣を処理すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 それは、バカーン王国発行の100ドローナ紙幣であるが、一枚は本物であり、もう一枚は偽物である。ところで、連邦人民 共和国の大蔵大臣イゴール・ストラヴォスは100ドローナ紙幣で一億ドローナを偽造、これを金をもって回収するようにバカーン王国に要求してきた。もしそれ が偽札であることを立証できず要求に応じた場合、バカーン王国の金の保有はゼロとなり、西側に友好的な同国政権が覆ることをストラヴォスは見越してい るのだ。
 そこで君の使命だが、偽ドローナを葬り、その原版を奪い、二度と他国にこのような脅威を与えることのないようストラヴォスを処理することにある。例によっ て君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ケン・ペットスKen Pettus
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: ムレイ・ゴールデンMurray Golden
【ゲスト出演】
ベス:サリー・アン・ホーズ(藤波京子)Sally Ann Howes as Beth
イゴール・ストラヴォス:ネヘミア・パーソフ(久松保夫)Nehemiah Persoff as Igor Stravos
ラシュコフ首相:デヴィッド・オパトシュ(加藤和夫)David Opatoshu as Premier Roshkoff
フォレスター:ロナルド・ロング Ronald Long as Sir Malcolm Forrester
事務員:ポール・マーティン Paul Martin as Clerk
秘書:アーライン・アンダーソン Arline Anderson as Secretary
警備:ジャク・ブラミ Jak Brami as Guard
【場所】@指令(媒体):動物園の象の前に停めてある車の座席の下にあるオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:連邦人民共和国
【役割】ジム:ラコズニーフ男爵
パリス:ゼガー(札鑑定士)
バーニー:電球のまわりに鏡をつける→印刷工
ウイリー:警備員→印刷工
ベス:エリザベス・ラコズニーフ
【道具】@超音波を防ぐヘッドホン
Aタイムロックのダイヤルの上につけるダイヤル
Bリモコン式発火装置
C度の強い眼鏡:鏡に映るダイヤル番号を見ることができる
D偽札の原版
【削除】(09分40秒)ストラヴォス大蔵大臣がエリザベスをランチに誘う
(12分00秒)ストラヴォス大蔵大臣がラシュコフ首相と電話で話す
【見所】(13分30秒)お札の鑑定士パリスは、すべて偽札だとストラヴォス大蔵大臣に告げる
(16分30秒)キャフェ・オルディームでランチを取るエリザベスとストラヴォス大蔵大臣
(20分50秒)ストラヴォスはパリスにエリザベスとキャフェの個室に入り、写真を撮ると提案する
(22分50秒)ウイリーがお金を落とした隙にタイムロックのダイヤルに細工をする
(27分50秒)パリスが印刷工を二人連れてきているから使ってくれとストラヴォスに言う
(30分50秒)12時4分にパリスは超音波の流れる金庫室に入る
(40分30秒)金庫に保管しているお札をバーニーがリモコンで発火させ、タール状にしてしまう
(45分20秒)守衛より金庫室にあったお札がタール状になっていると報告が入る
(46分30秒)ストラヴォスのお金がジム、首相、世界通貨委員会の前で偽札と判定される
(48分20秒)首相はストラヴォス大蔵大臣の前に銃を置き、責任を取れと言って退室する
【疑問点】@お札の印刷原版の入っている引き出しの鍵を閉めずに、パリスは超音波の部屋を出たのでは?
【粗筋】ジムはバカーン王国のラコズニーフ男爵、パリスはお札の鑑定士としてストラヴォス大蔵大臣に会う。パリスはお金がすべて偽物でバカーン王国の金 保有量は2億ドローナあるから、もう1億ドローナ用意する必要があるとストラヴォス大蔵大臣に告げる。キャフェ・オルディームでランチを取るエリザベスとスト ラヴォスだが、そこにパリスとジムが訪れて鉢合わせになってしまう。ストラヴォスはパリスに後で話があると誘い、エリザベスと夕食をキャフェ・オルディーム に行き、個室でお楽しみのところを撮影し、ラコズニーフ男爵を脅迫しようという提案をする。謝礼は350万ドローナと言うストラヴォスに対して、パリスは500 0万ドローナを要求する。そして、そのフィルムをネタにジムを脅すのだ。ストラヴォスは1億ドローナを追加印刷し、終わったら職人を殺害すると言うのを、パリ スは仲間を二人連れてきているから使ってくれとストラヴォスに提案する。深夜、パリスは超音波の流れている金庫室に侵入し、偽札の原版をIMFの用意し たものとすり替えるのだ。翌朝バーニーとウイリーが印刷工として入り、水道管を細工してオイルを流れるようにしてしまう。そして、偽札の印刷を始めるバー ニーとウイリーだが、サンプルはパリスが本物とすり替え、ストラヴォスのチェックを受けて承認をもらう。金庫室に保管してあるお札はバーニーがリモコンで発 火して燃やし、すべてをタール状に焦がしてしまう。そして、バーニーとウイリーの作ったお札は大臣室に運ばれる。守衛より金庫室に保管していた1億ドロー ナのお札が全部焼けてしまったと報告が入り、ストラヴォスは出来上がったばかりのお札を充当することになる。ところが、そのお札1億ドローナも首相と世界 通貨委員会の前で偽札と判定されてしまう。ジムは1億ドローナの純金はバカーン王国に持ち帰ると言って帰ってしまう。首相はストラヴォスの目の前に銃を 置き、責任を取れと言い残して退室するのであった。
【解説】このエピソードは偽札製造をテーマにしている。偽札の製造を描くのは、第2シーズンの「偽造紙幣マシン」でも見られるが、今回は、マシンではなく 手作業で敵の大蔵大臣の見ている前で、偽の原版を使ってバーニーとウイリーが偽札をシコシコ印刷するというものだ。そして、時々敵に見せるサンプル は、パリスがうまくすり替えて大蔵大臣のチェックを受けて承認をもらう。
 これに先立ってIMFは、厳重な金庫室に保管してある敵の本物の原版を偽物にすり替えることをする。超音波が流れる金庫室内は、通常の人間が無防備 で侵入すると数分間しか持たず、バーニーが作ったヘッドホンのような装置を装着しても、10分強しかいられないという条件下、パリスは真夜中に侵入して、 最後の方は頭痛に苦しみながらも、無事原版のすり替えに成功する。超音波とは恐らくマイクロウェーブみたいなものが使われていたのだろう。緊張感溢れ るシーンとして見事に描かれている。
 さらに、IMFは大蔵大臣の作った偽札を保管してある金庫に通じる水道管にオイルを流して発火させて黒焦げにしてしまう。偽札を黒焦げにするのは、第3 シーズンの「プルトニウム240」でも見られ、視聴者受けがいいから再度用いられたのであろう。
 ジムが扮する男爵に支払うべきお金が黒焦げになってしまったことで、大蔵大臣はたった今仕上がったお札を充てることを思いつく。そして、首相と世界通 貨委員会の前でお札の鑑定が行われ、お札の肖像にホクロがあることから偽札と認定されてしまうのである。これに怒った首相は、大蔵大臣に銃を渡して 責任を取れと言い残して退室するが、その後の大蔵大臣の運命については劇中語られない。このような責任の取らせ方は、武士道の切腹の思想に通じるも のがあり、おやと思わせるような結末である。


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