スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



87 盗まれた化学式 The Double Circle
【目的】盗まれた強力ミサイル用燃料の化学式を奪回すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 美術品収集マニアとして知られるヴィクター・ラズロは、このほどアメリカが開発した強力ミサイル用燃料の化学式を書いた 機密書類の盗み出しに成功、しかもラズロの仲間である殺し屋レイ・ダンソンが、新燃料の化学式を知っているただ一人のアメリカ人科学者をも殺してしまっ た。一方最近敵国も、ミサイル用新燃料を開発、こちらの情報を必要としなくなったため、盗まれた化学式は依然ラズロの手元にあり、このままではわが国 は軍備の点で非常な立ち後れを覚悟しなければならない。
 そこで君の使命だが、盗まれた化学式を奪回することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しない からそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ジェリー・ルドウィッグJerry Ludwig
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: バリー・クレーンBarry Crane
【ゲスト出演】
ギリアン:アン・フランシス(本山可久子)Anne Francis as Gillian Colbee
ヴィクター・ラズロ:ジェームズ・パターソン(大木民夫)James Patterson as Victor Laszlo
レイ・ダンソン:ジェイソン・エヴァース(穂積隆信)Jason Evers as Ray Dunson
マルコフ:アルバート・スカラー Albert Sklar as Markoff
ミラー:トム・バー Thom Barr as Dick Miller
エリクソン:ロバート・リッチー Robert Ritchee as Ericson
【場所】@指令(媒体):プールの脇に停めてある車のダッシュボードからテープカートリッジを取り出す
A舞台:連合人民共和国
【役割】ジム:隣のビルから11階を撮影→取調官
パリス:ラズロに変装
バーニー:エレベーター工作→神父ロバーツ
ウイリー:屋上の工作(穴あけ)→取調官
ギリアン:コリンズ(美術商)
エリクソン:ウイリーの助手
【道具】@スイッチ:エレベーターの11階と12階を切り替える
【削除】(09分40秒)ラズロがダンソンに北京の仏像のことを知らせる
(40分30秒)ダンソンは車に戻り、ラズロが裏切ったとジムに報告する
【見所】(06分00秒)金庫にもう一つ予防措置を施したとラズロはダンソンに言う
(09分20秒)エレベーターの細工が完了したとバーニーはジムに知らせる
(16分20秒)ギリアンが神父のバーニーに接触するのをダンソンは目撃する
(22分50秒)ダンソンの調査でギリアンがアメリカのスパイということをラズロに知らされる
(30分00秒)ダンソンが車に乗ったところをジムが銃を突きつけ拉致する
(34分50秒)ジムがダンソンからもう一つの予防措置の件を聞き、バーニーに無線で知らせる
(39分10秒)化学式はダンソンが盗んだことにと、パリスがギリアンに言うのをダンソンが聞く
(43分00秒)ラズロが金庫を開けると中が空で、ダンソンはラズロを射殺する
(45分30秒)秘密の部屋を開けようとするダンソンが開けられずに射殺されてしまう
(46分20秒)囮金庫は9になっており、バーニーは本物の金庫のダイヤルを9に合わせて開ける
【疑問点】@ラズロのコレクションは高価なものばかりだが、それと同じ物を揃えるのは実際には不可能ではないだろうか?
【粗筋】ラズロの事務所でギリアンが美術商として北京の仏像を幻の名品として紹介し、ミサイル用核燃料の化学式と交換したいと誘うが、ラズロはお金で 買いたいと答えるのだ。バーニーは12階に行くエレベーターを11階に行かせるように細工する。そして、警備のミラーをエレベーターに乗せ、11階のそっくり な部屋に呼び、ミラーの掌紋の写真を取得する。ジムは隣のビルからラズロに変装したパリスが秘密の部屋に入るのを撮影する。ギリアンを尾行するダンソ ンは、神父のバーニーと接触するのを目撃し、バーニーに会って仏像の件を確認して帰る。ギリアンは再びラズロを訪れ、お金ではなくて化学式プラス1000 万ドルという話を持ち出す。そこへダンソンが帰ってきて、ギリアンがアメリカのスパイであることが明かされる。一方、ウイリーはエリクソンとともに屋上から穴 を開け、金庫の前に新しい壁を設置し、バーニーがその間に入って新しい金庫を作成する。ジムはダンソンを捕らえ、ダンソンに秘密の部屋のあるフィルムを 見せる。そして、ダンソンから予防措置を新しくもう一つ施したことを聞き、ジムはバーニーに金庫を開けるなと無線で指示をする。ジムはダンソンを信用すると 言って釈放し、ダンソンが11階の事務所の秘密の部屋に入ると、ラズロ(パリス)とギリアンの会話を聞き、ラズロが裏切って自分が化学式を盗んだ犯人に する工作を聞かされる。その後、連合人民共和国から要人が集まり、ラズロが金庫を開けると中が空になっており、ダンソンは秘密の部屋に隠したと言って ラズロを射殺する。そして、秘密の部屋を開けようとするダンソンだが、いくら開けようとしても開くはずがなく、ダンソンも射殺されてしまうのである。要人全員 が去った後、バーニーは仕切りから出て囮の金庫のダイヤルが9になっているのを見て、本物の金庫を9に合わせて、皆が心配する中、慎重に扉を開けると 化学式が見つかり、"ありました"と報告するのであった。
【解説】この「盗まれた化学式」では、奇抜なトリックが用いられている。IMFは敵の12階にある事務所にそっくりな部屋を11階に作ってしまい、エレベーター を細工して12階のボタンを押すと11階に止まって、敵に11階の部屋を12階の部屋と思わせるというものだ。部屋の中にある家具一式はもちろん、高価な コレクションも揃えてしまうというのは驚きであり、実際には不可能なことをやってしまう。
 さらに、IMFは11階の事務所に秘密の部屋を作り、これが作戦上重要なポイントとなる。バーニーは敵の12階の事務所に潜入して、金庫の前に偽の壁を 仕切りにしてその裏に隠れ、その偽の壁に偽の金庫を作る。偽の壁を作るのは、「黒いファイル」でも見られるが、脚本家が同じルドウィッグということもあり、 金庫の中に隠してある書類が目的ということなど両エピソードには共通点が多い。
 IMFの取った作戦は、敵のラズロに今回の助っ人ギリアンが化学式を欲しいと言って近づく。そして、ギリアンがアメリカのスパイと見破らせ、ジムがラズロ の相棒ダンソンを捕まえて、秘密の部屋のフィルムを見せる。ダンソンは早速秘密の部屋に隠れていると、パリス扮するラズロとギリアンの会話から、自分が 化学式を盗む犯人にされることを聞く。
 クライマックスのシーンは素晴らしい。国の幹部たちの見る前で、舞台は12階の事務所に移り、ラズロがバーニーの作った偽の金庫を開けると中が空にな っている。このことによりダンソンはラズロを射殺してしまう。そして、ダンソンが秘密の部屋を開けるために棚を動かして一生懸命になるが、12階には秘密 の部屋はなく、ダンソンも敵の幹部によって射殺されてしまうのであった。ダンソンとラズロは最後まで同じ部屋が11階と12階にあるというトリックを知らない ままこの世を去ってしまった。そのカラクリを知っているIMFと視聴者のみが一種の優越感を持って、そこで展開されるシーンを楽しめるという内容である。


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