スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



105 "怪物"粉砕作戦 Butterfly
【目的】病的な反米主義者の日本人悪漢の意図を挫き、誤認逮捕された人物の無実を立証すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 日米経済協定評議会の責任者である日本在住のハリー・ケレムは、この度妻殺しの容疑で日本の官憲に逮捕されたが、 実はこれは大の親日家の某国人で日本の各界に隠然たる勢力を持つ一種の怪物的存在である、ケレム夫人の実の兄マサキがケレムに無実の罪を着せる ための犯行であると我々は見ている。病的な反米主義者であるマサキはそれによって、個人的な腹いせをするとともに、新しい経済協定による日米関係に ひびを入れようという腹であると思われる。
 そこで君の使命だが、このマサキの意図を挫き、ハリー・ケレムの無実を立証することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺 されても当局は一切関知しないからそのつもりで。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: エリック・バーコビッキ&ジェリー・ラドウィグEric Bercovici and Jerry Ludwig
原案:シェルドン・スターク Sheldon Sark
製作:ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: ジェラルド・メイヤーGerald Mayer
【ゲスト出演】
トシオ・マサキ:キィー・ディー Khigh Dhiegh as Toshio Masaki
アキタ警部:ベンソン・フォングBenson Fong as Inspector Akita
ミオシ・ケレム:リサ・ルーLisa Lu as Mioshi Kellem
シキ:ジェームス・シゲタJames Shigeta as Shiki
ノブ・ケレム:ヘレン・フナイHelen Funai as Nobu Kellem
ハリー・ケレム:ラス・コンウェイRuss Conway as Harry Kellem
サブリ:デイル・イシモトDale Ishimoto as Saburi
オーサキ:フジFuji as Osaki
ダンサー:レナード・プロンコLeonard Pronko as Speciality Dancer
【場所】@指令(媒体):桟橋でいいボートだねと男に声をかけ、テストしたいとモーターボートに乗り、道具箱からオープンテープレコーダーを取り出し、聞き終 わると海の中に投げ捨てる
A舞台:日本
【役割】ジム:ウイリーのマネージャー
パリス:ナカムラ・タイゾウ(歌舞伎役者)→マサキに変装
ダナ:カメラマン→マサキの妹に変装
バーニー:フィルムの撮影
ウイリー:柔道家
【道具】@時計型カメラ:マサキの顔を撮影
A耳に入れる受信機
【見所】(01分20秒)柔道の試合中、マサキが実の妹をナイフで刺殺する
(12分20秒)パリスの歌舞伎の演技をマサキとアキタ警部らが見学する
(22分20秒)ウイリーとオオサキの柔道の試合が開始される
(23分20秒)撮影中に見張りが近づいてきて、パリスとダナは隠れて撮影は中断される
(25分00秒)撮影が完了し、ジムはウイリーにサインを出し、ウイリーはギブアップする
(28分50秒)マサキの手下がダナの部屋に押し入り、椅子の下からフィルムを見つけだす
(32分30秒)自分にある手の傷がないと言うマサキに、写真に写っているじゃないと答えるダナ
(36分50秒)ケレムの娘から渡された電話番号を見て、アキタ警部はマサキに教えた電話番号と気がつく
(42分20秒)"叔父さんなのね殺したのは"とケレムの娘が叫ぶと、マサキはアキタ警部を抱き込もうとする
【疑問点】@パリスはどう見ても日本人には見えないが?
【粗筋】マサキは要塞のような屋敷に閉じこもり、そこから各界に指示をするということで、IMFはマサキの屋敷に出向いて作戦を実行する。バーニーは梯子 を使ってマサキ邸に侵入し、景色をカメラに撮影する。パリスは歌舞伎役者のナカムラ・タイゾウとして、マサキとアキタ警部の前で演技を披露する。ジムは拘 置所に入れられたハリー・ケレムに犯人はマサキに間違いないということを告げ、その時のマサキの服装について詳しく聞くのだ。パリスはマサキに新聞に 載っている柔術家のウイリーとの試合を提案し、マサキは承諾する。一方、ダナはマサキに妹ミオシ殺害の現場をカメラにおさめたと電話を入れると、マサキ はアキタ警部に電話の逆探知の依頼をする。そして、屋敷ではウイリーとオオサキの柔術の試合が始まり、皆が夢中になっている隙に、庭園でパリスとダナ がマサキとミオシに扮し、マサキがミオシを殺害するシーンを演じ、それをバーニーが撮影するのである。その後、ダナが再びマサキにフィルムの件で電話す ると、逆探知されて住所と電話番号をアキタ警部から教えてもらうマサキである。そして、手下がダナの部屋に押し入り、椅子の下からフィルムを見つけて持 ち帰る。自宅でフィルムを映写するマサキは肝心のところが映っていないし、インチキフィルムだと言い、自分の手の部分をもっと拡大しろと手下に指示する。 その後、ダナを呼びつけ自分の手の傷が写ってないと指摘するが、ダナは写真を見て写っているじゃないと答える。そして、50万ドル欲しいと金を要求する。 ダナはケレムの娘であるノブも呼び出して、フィルムを見せて入札を受けつけると言うのだ。ケレムの娘ノブはパリスに相談して、二人でアキタ警部のところに 出向き、ゆすり屋ダナの電話番号を見せ、ダナを尾行するのだ。すると、マサキ邸にたどり着き、マサキが見ようとしたフィルムをアキタ警部が見て、ノブが" 叔父さんだったのね殺したのは"と叫ぶと、マサキはアキタ警部を買収しようとするが、アキタ警部の部下が警部を撃とうとするところをパリスが阻止し、"警 察まで手が及んでいる"と言って、アキタ警部はマサキを逮捕するのである。最後に、"ゆすりを働いた娘を逃がしたようだ"とダナのことを言うアキタ警部に対 して、"警部さん、打てば響く方ですね"とパリスは称えるのだった。
【解説】この「"怪物"粉砕作戦」は、本シリーズで唯一日本を舞台にしたエピソードだ。日本式庭園や畳のある屋敷などセットに関しては、多少難はあるもの の日本の雰囲気をうまく出しているが、登場する日本人の中にはどう見ても日本人に見えない者がいる。その筆頭は、主人公の悪漢マサキで、日本中どこ を探してもあのような顔をした日本人はいない。また、パリスが日本人の歌舞伎役者に扮するが、目を細くしたメーキャップの効果もむなしく、どう転がっても 日本人には見えない。おまけに歌舞伎を披露するがどことなくぎこちない。
 本シーズンより、IMFの女性エージェントとしてレギュラー出演するダナ(レスリー・アン・ウオーレン)が初登場する。このシリーズの特徴なのか、彼女に関 しての一切の紹介も説明もない。今回、ダナは変装する能力があることを示し、マサキに殺害されたマサキの妹ミオシに扮する。また、殺害現場のフィルムを 持っていることで、マサキをゆすってお金を要求するなど、度胸も据わっている。マサキがフィルムを拡大した写真を見せて手の傷が写っていないと指摘して も、ダナは臆することなく写っているじゃないと答えると、マサキはそれ以上反論できなくなるシーンは面白く描かれている。本エピソードに関しては、ダナの 魅力が思う存分発揮されており、新しいシーズンに新鮮な雰囲気を吹き込んでいる。
 結末は、ゆすり屋ダナを尾行したアキタ警部が、ダナがマサキ邸に入るのを目撃してマサキを訪ねると、マサキがフィルムを映写している最中であった。ア キタ警部はマサキを逮捕しようとすると、マサキは買収工作をするが、警部の部下が警部を射殺しようとしたところをパリスが止める。アキタ警部は警察まで 買収しているマサキに怒り、逮捕してしまうのであった。この姿を見てパリスは"警部さん、打てば響く方ですね。"と賞賛するのであった。IMFが警察官をこ のように絶賛するのは、本シリーズ初めての出来事である。
 それにしても、パリスが小太りなマサキに変装するが、体格があまりにも違いすぎる。パリスとマサキの身長差がかなりあり、パリスはどのようにして身長 を縮めたのか疑問が残る。もちろん、劇中では何の説明もない。


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