スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



127 偽装パーティー The Party
【目的】アメリカで暗躍している敵国スパイのリストを発見すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 ヴァニン大佐はスパイ行為で20年の刑を宣告され、目下服役中であるが、昨年検挙される直前彼はわが国で暗躍してい る東ヨーロッパ人民共和国のスパイたちのリストを隠してしまった。ヴァニン大佐を動かしていた領事のミシェンコは、そのリストの所在を突き止めようとしてい るがそれに関して大佐は口をつぐんだままである。というのもリストを発見されたが最後、自国にとって彼は無用の存在となり見捨てられてしまうからである。
 そこで君の使命だが、そのリストを発見することにある。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ハロルド・リビングストンHarold Livingston
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: マレー・ゴールデンMurray Golden
【ゲスト出演】
オルガ・ヴァニン:アントワネット・バウワーAntoinette Bower as Olga Vanin
グレゴール・ミシェンコ:アルフレッド・ライダーAlfred Ryder as Gregor Mishenko
ヴァニン大佐:フランク・マースFrank Marth as Alexander Vanin
ヴァレンコフ:アーサー・バタナイズArthur Batanides as Valenkoff
フィッツゲラルド:ロバート・サムプソンRobert Sampson as Fitzgerald
マダム・ミシェンコ:アテーナ・ローデAthena Lorde as Mme. Mishenko
コヴィッチ:アルバート・サボAlbert Szabo as Kovitch
ダンサー:ユーリ・スマルトゾフYuri Smaltzoff as Dancer
ダンサー:オレグ・コービンOleg Korbyn as Dancer
【場所】@指令(媒体):花屋の机の引き出しからオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:アメリカ国内と東ヨーロッパ人民共和国
【役割】ジム:ニコライ・ラコフ(秘密警察)
パリス:ラズロ少佐→ヴァレンコフの声帯模写
ダナ:ヴァニン局長に変装→ナターシャ・ボローニ(パーティ接客係)
バーニー:爆破装置のセッティングをするキューバ人
ウイリー:地下道の工作
ダグ:アレクセイ・イワノフ→ヴァレンコフを倒す
【道具】@爆破装置:予備爆発のみ起こす
Aヴァニン大佐本国送還の新聞記事
B信号機を操作するスイッチ
【見所】(01分00秒)12、45、72とヴァニン大佐はオルガに電話で数字を伝える
(14分20秒)大佐の口を封じようと言うミシェンコ
(17分40秒)バーニーが領事館の動力室にいるのを見つかり捕まってしまう
(27分10秒)ウイリーが信号機を赤にしている間、ジムら三人は車から降りて領事館に入る
(30分20秒)ウイリーが信号機を赤にしている間、パリスとオルガが領事館に入る
(36分30秒)パーティの音楽がヴァレンコフの耳にも入り、2階に上がりパーティを見て驚く
(39分40秒)パーティ会場には誰もおらず、ミシェンコの顔を見て驚くヴァニン夫妻
(41分50秒)バスの番号だ。バスの座席の下に隠したと言うヴァニン大佐
(43分50秒)サマービル整備工場でヴァニン大佐を再逮捕するIMF
【疑問点】@パーティに参加した大勢のメンバーはどのような人物たちなのであろうか?
【粗筋】ヴァニン大佐は電話で妻のオルガに12、45、72と伝え、自己催眠をかけた後逮捕されてしまう。ジムは秘密警察官としてヴァニン大佐に接触し、ア メリカが准将と交換でヴァニン大佐を手放すということを告げる。そして、パリスは東ヨーロッパ人民共和国に出向き、妻であるオルガをアメリカまで連れてく る。一方、バーニーは領事館の動力室に爆破装置をセッティングするが、発見されて捕まってしまう。ミシェンコはバーニーに爆弾を解除しろと命じ、ヴァレン コフに爆発の1分前になったら、バーニーを閉じ込めて一人だけ逃げるように指示する。全員が避難した領事館ではIMFが偽装するパーティの準備がされ る。ミシェンコは車内から領事館の様子を見守るが、ウイリーが信号機を操作してミシェンコの視界を遮るような位置に大型トラックを止め、ジム、ダグ、ヴァニ ン大佐、パリス、オルガは領事館に入る。ミシェンコがいないことを不審に思うヴァニン大佐はダナに理由を聞くが、オルガの顔を見るとすっかり上機嫌にな る。パーティが次々と進行していき、何の疑いもなく楽しむヴァニン夫妻である。オルガはヴァニン大佐に話がしたいと書斎に入ってくつろぐ。パーティの音楽 が動力室にも聞こえて不審に思ったヴァレンコフは2階に上がり、パーティを見て驚いたところをダグが殴り倒す。書斎にいるヴァニン大佐は静かになったのを 不審に思い、パーティ会場に行くが誰もおらず、ミシェンコが現れ驚くのだ。すっかりアメリカスパイにしてやられたことに気がつく。リストについてもアメリカに 喋ってしまったと疑うミシェンコを前に、ヴァニン大佐は番号をオルガから聞き、バスの番号だ、バスの座席の下に隠したと思わず叫ぶと、IMFは盗聴機で聞 いており、バスの置いてある整備工場に先回りし、ヴァニン大佐らが来たところを再逮捕するのである。ヴァニン大佐の身柄を欲しいというミシェンコの要求 に、後19年経てば自然に渡しますよと答えるジムであった。
【解説】この「偽装パーティー」は機知に富んでおり、なかなか面白く仕上げられているが、難点が二箇所で見られる。一つはヴァニン大佐がスパイの極秘リ ストをバスに隠してしまったという点である。20年の実刑を食らったヴァニン大佐が釈放される頃までには、そのバスは廃車解体される可能性が強い。おま けに、ヴァニン大佐は自己催眠でどこに隠してしまったか忘れているというのも理解に苦しむが、仮に本当だとしても、まさか、刑務所の中で面会にきた人物 に自己催眠を解いて喋るわけにはいかないだろう。また、喋ったら最後、自分が国から見捨てられてしまうことも十分に理解しているのである。
 もう一つの難点はクライマックスの重要なポイントで起こる。それまでは、ヴァニン大佐は賢くて優秀な一筋縄ではいかないエージェントとして描かれていた が、この場面だけは愚かで間抜けな人物になってしまっている。偽装パーティがアメリカ側の陰謀とわかり、ミシェンコよりスパイのリストも自白させられたと 疑われる中、ヴァニン大佐は妻のオルガより番号を聞き、バスの番号でバスの座席の下に隠したと叫んでしまうところである。それまで、その場所にはアメリ カのスパイがいた訳だから、隠しマイクがセットされていることは当然予知できるはずで、このような軽はずみな行動を取るのは、それまでに描かれていたヴ ァニン大佐のキャラクターからも、とても想定できないことである。
 バーニーが領事館に時限爆弾を仕掛けたことがわかり、ミシェンコは見張りを一人置いて全員を領事館より非難させる。そこで、IMFの協力者が領事館に 入って作戦の準備を始める。ヴァニン大佐とオルガが領事館に入る時は、ウイリーが信号機を赤にしてミシェンコの視界を遮るような位置にトラックを止める。 ミシェンコが移動したら領事館の入口が見えてしまうのだが、ミシェンコは敢えて移動しないというのも不思議である。IMFによって繰り広げられる領事館で のパーティをすっかり信用してしまうヴァニン大佐とオルガである。二人が書斎に入った後、IMFは領事館から引き払い、そこへ、ミシェンコも戻ってきて、そこ で繰り広げられる会話をIMFは外で盗聴するのであった。
 このエピソードをもって、パリスとダナは「スパイ大作戦」から去ることになる。パリスを演じたレナード・ニモイは、パリスが他人のマスクを被ると自分の出番 がないことに不満を持っていたようだ。そんなことから、ここ数話はパリスが素顔で他人に扮するというエピソードが続き、他人に変装しても短時間と製作の方 もニモイに配慮したと思われる。また、ダナ役のレスリー・アン・ウオーレンに関しては女スパイとしては若すぎたということだろう。確かに「市長室乗っ取り」に おける学生などは、はまり役のようにも見えたが、前任者の印象があまりにも強烈すぎたために損な役回りとなったことは否めない。視聴者はシナモンのよ うな妖艶な美女を要求したのだろう。


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