スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド6



144 隔離室で何が起こったか? Committed
【目的】明日証人を正常な状態で出廷させ、暗黒街のボスの犯行を証言させること
【指令】おはよう、フェルプス君。 副知事ハリソンは、目下殺人容疑で審理中の暗黒街のボス・チャンドラーによって操られる傀儡政治家であり、チャンドラー のアリバイはこの副知事によって約束されている。一方チャンドラーの犯行の目撃者ノーラ・ドーソンは、その証人としての信憑性をゼロにするため、現在州 立精神病院において計画的に精神異常者にされつつある。
 そこで君の使命だが、明日このノーラ・ドーソンを正常な状態で出廷させ、チャンドラーの犯行を証言させることにある。例によって君もしくは君のメンバーが 捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
原案: ローレンス・ヒースLaurence Heath
脚本: アーサー・ウェイズArthur Weiss
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: レザ・S・バディイReza S. Badiyi
【ゲスト出演】
ノーラ・ドーソン:スーザン・ホワードSusan Howard as Nora Dawson
ハリソン副知事:アラン・バーグマンAlan Bergmann as Lt. Governor Harve Harrison
モード・ブロフィー:アン・H・フランシンAnne H. Francine as Maude Brophy, R.N.
チャンドラー:バート・フリードBert Freed as Leon Chandler
キャリック院長:ロバート・ミラー・ドリスコルRobert Miller Driscoll as Dr. Carrick
ラスク:ジェフリー・ルイスGeoffrey Lewis as Kaye Lusk
ウィルソン:ジェームス・シキングJames Sikking as Wilson
ラーキン:ディーン・ハレンスDean Harens as Larkin
ジョン・ドーソン:ジャック・ドナー Jack Donner as John Dawson
職長:ジョン・ハワード John Howard as Foreman
労働者:ジュネロ・ジェニングスJunero Jennings as Workman
警備:ポール・ソレンセンPaul Sorensen as Tower Guard
【場所】@指令(媒体):あるのどかな町のベンチの上に座り、オープンテープレコーダーを聞く
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:ヘイズ→隔離室に侵入→修理工
ケーシー:スーザン→ノーラに変装
バーニー:精神病院の動力室に侵入
ウイリー:モーターボート操縦
【道具】@薬:心臓発作を引き起こす
Aメタフェラミンの解毒剤
Bボイラー室の細工をする道具一式
Cケーシーの空気人形
D爆薬:スイッチを押すと隔離室の壁に穴が開く
E催眠ガス
F腕時計型発信機
G催眠針
【見所】(06分30秒)チャンドラーは今となっては消しておけばよかったとノーラのことを言う
(14分40秒)脳波試験と心理テストでモードからケーシーは精神異常と認定される
(21分00秒)隔離室に侵入するジムはケーシーの空気人形を膨らませ、ノーラに変装するケーシー
(26分30秒)チャンドラーはラスクにノーラと亭主をやれと指示する
(29分30秒)モードをケーシーが倒し、ノーラを車椅子に乗せて運び出す
(31分30秒)バーニーがスイッチを押すと、ボイラー室から煙が出て警報機が鳴り響く
(37分50秒)ラスクが隔離室に入ってきてケーシーを殺そうとするが、ジムが催眠針で眠らせる
(41分50秒)証人のノーラは笑い出し、あなたなんか殺してやるとモード・ブロフィーに突っかかる
(42分50秒)ノーラ・ドーソンの仮面を剥ぎ、ケーシーの顔が現れると法廷はざわめく
(44分50秒)本物のノーラ・ドーソンはチャンドラーが社長を殺し、副知事もそれを見ていたと証言する
【疑問点】@キャリック院長とモード・ブロフィーの犯罪について、その後どのように展開するかは知る由もない。
【粗筋】元刑務所であった精神病院にジムの姪としてケーシーがキャリック院長の診察を受ける。そして、裁判の日、チャンドラーは今となったらノーラを殺し ておけばよかったとハリソンに告げ、お前は選挙の心配で済むが、俺は電気椅子に座らされるんだと心配する。ケーシーはモード・ブロフィーにより、脳波試 験と心理テストを受けて精神異常と認定された矢先、ナイフを持って暴れる。一方、バーニーは海底に潜って精神病院に侵入する。ジムはモードからケーシ ーの症状を聞き、心臓発作を起こす薬を飲んで病室のベッドに寝かされ、バーニーに無線でケーシーが隔離室にいると知らせる。そして、バーニーはボイラー 室に侵入して細工し、ジムは隔離室に向かいケーシーの空気人形を膨らませて、ケーシーはノーラのマスクを被ってノーラに変装する。出発まであと30分あ るということで、キャリック院長はノーラを隔離室に入れる。ケーシーはノーラと対面し、ジムは家に帰るんですよとやさしく声をかける。そして、ケーシーはモー ドを呼んで殴り倒した後、ジムがノーラを車椅子に乗せて運び出し、止めていた車に乗せる。その後、ジムの合図によりバーニーがスイッチを押すと、ボイラー 室から煙が出て警報が鳴り響く。その間にジムはノーラをバーニーに引き渡し、二人は地下道を通り、ジムが守衛に催眠ガスを吹きかけ気絶させ、その隙に ウイリーがモーターボートでバーニーとノーラをボートに乗せる。一方、ラスクは隔離室にやってきて、モードに院長が呼んでいると言って、いなくなったところ でケーシーを殺そうと襲いかかるが、ケーシーの緊急信号でジムが駆けつけ、ラスクを殴り倒す。その後、法廷に連れていかれたケーシーは大きな声で笑い 出し、あんたなんか殺してやるとモード・ブロフィーに突っかかり、弁護側は精神異常者だと決めてかかる。ところが、検事がノーラのマスクを剥ぐと、中からケ ーシーの顔が現れ、法定内はどよめく。そして、本物のノーラが登場し、チャンドラーが社長を殺し、ハリソン副知事も見ていたと証言するのであった。
【解説】この「隔離室で何が起こったか?」の舞台となる精神病院は、元刑務所だったということで、陰湿で閉塞感に満ちた雰囲気が見る者に伝わってくるほ どだ。現代では、このような場所に精神病院を造ることはありえない話で、これでは精神病患者の社会復帰を妨げることになり世間の批判を間違いなく受け るだろう。
 IMFの救助すべきノーラ・ドーソンの閉じ込められる精神病院に入所するために、ケーシーの演技力が光る。生真面目で誇り高い女性モード・ブロフィーは なかなか手強くて観察眼が鋭く、ケーシーが本当に精神病かどうか下手な芝居をすると見抜かれてしまう。脳波試験と心理テストからケーシーは精神異常と 認定されるが、それでも念を押すようにケーシーは、ナイフを掴んで大暴れする演技をするのだ。
 敵の悪漢二人のやりとりも面白く演じられているところがある。暗黒街ボスであるチャンドラーの裁判の前日、ノーラが裁判の証人に出やしないかと心配す るところで、ハリソン副知事に向かって、"今となったらノーラを殺しておけばよかった。"と後悔してみせ、さらに、"お前は選挙の心配で済むが、俺は電気椅 子に座らされるんだ。"とチャンドラーは切実な心境を告白するのだ。
 隔離室でケーシーは空気人形を膨らませ、ノーラに変装してIMFがノーラを救出した後、ケーシーが法廷に連れていかれる。そして、ケーシーは大声を出し て笑い、モード・ブロフィーに殺してやると突っかかる。弁護士が精神異常者と決めてかかるところを、検事がノーラのマスクを剥がして中からケーシーの顔が 現れ、法廷内がどよめくのだ。第1シーズンの「冷戦のダイナマイト」では、他人のマスクを被って証人が法廷に登場し、そのマスクを剥がして本人の素顔が 現れるというものであったが、今回はそれと逆のパターンで、証人本人のマスクを被った別人が法廷に登場し、そのマスクを取って別人だと示した後、証人本 人が別途登場するというものである。検事がノーラのマスクを剥がしたことから、IMFと組んでこのような芝居を討ったのは明らかである。


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