エピソードガイド７ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド７

167 空中大爆発 Boomerang

【目的】暗黒街の強力なファミリーのメンバーの極秘台帳を捜し出し、当局に手渡すこと
【指令】おはよう、フェルプス君。　二日前、ロサンゼルスへ向かう自家用機が空中爆発を起こし、操縦していたジョニー・ヴェールが死亡した。ヴェールはスタンレー・ルチェックを長とする暗黒街の強力なファミリーのメンバーで、犯人はヴェールの妻イヴ。ルチェック・ファミリーにとって致命傷となりうる台帳を手に入れんがために企んだものと思われる。
　そこで君の使命だが、その台帳を捜し出し当局に手渡すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ハワード・ブラウンHoward Browne
製作: ローレンス・ヒースLaurence Heath
監督: レスリー・Ｈ・マーティンソンLeslie H Martinson
【ゲスト出演】
イヴ・ヴェール：ラライン・ステファンズLaraine Stephens as Eve Vayle
スタンレー・ルチェック：ロナルド・ファインベルグRonald Feinberg as Stanley Luchek
ホーマー・チル：ウォルター・バーンズWalter Barnes as Homer Chill
ジョニー・ヴェール：チャーリー・ガーディノCharlie Guardino as Johnny Vayle
ミルドレッド：アムジー・ストリックランドAmzie Strickland as Mildred
カビー：ジェリー・ジョーンズJerry Jones as Cabbie
オリー・メイブリック：チャールズ・ピサーニCharles Picerni as Ollie Maybrick
ドーラン：リチャード・リードRichard Reed as Dorlan
【場所】①指令（媒体）：モスクの見える公園でサイデリアは咲いているかと園芸師に声をかけ、鍵を受け取りトラックの荷台にある箱を開けてオープンテープレコーダーを取り出す
②舞台：アメリカ国内
【役割】ジム：デーヴ・ライカ
ケーシー：オーモンドクリーニング店員→ピリング
バーニー：ダンバース警部
ウイリー：イヴの屋敷にワイヤーをセット→クリーニング屋→ホテルフロント係
ドーラン：ジョニー・ヴェールに変装
【道具】①ワイヤー腺：イヴの屋敷にセット
②金庫のダイヤル番号を探るテスター
③ジョニー・ヴェールの親指の指紋
④注射
【見所】（04分00秒）妻のイヴの策略で、ジョニー・ヴェールの乗せられたセスナ機が空中で爆発する
（08分30秒）イヴは台帳のコピーを持ってスタンレー・ルチェックに今１０万、月に２万を要求する
（11分40秒）イヴが屋敷に戻るところを狙撃され、ジムがバーニーに捕らえられイヴに引き合わす
（17分50秒）よく警察に捕まらなかったわねと聞くイヴに６００ドルを警部に渡したと答えるジム
（19分00秒）金庫から金を盗み、ジョニー・ヴェールの親指の指紋をつけるウイリー
（23分40秒）金庫にパウダーをふりかけると指紋が見つかり、男の指紋だとジムが言う
（30分10秒）部屋の中でジョニー・ヴェールの写真や持ち物を発見するイヴ
（35分00秒）もう邪魔しねえよ、欲しいものはもらったと言うジョニー・ヴェールの姿を見るイヴ
（37分30秒）バーニーは保冷庫にイヴを連れていき、ジョニー・ヴェールの死体を見せる
（39分30秒）バーニーに腕をまくられ、自白剤を打たれて喋ってしまったと言われるイヴ
（43分00秒）台帳の隠し場所をジムに話してしまうイヴ
【疑問点】①イヴはホーマー・チルがスタンレー・ルチェックと通じていることに気がつかなかったのか？
【粗筋】バーニーは情報部のダンバース警部としてジョニー・ヴェール葬式の日に、車のナンバーを控えているところをイヴとホーマー・チルに見られる。イヴは台帳のコピーを持ってスタンレー・ルチェックに今１０万ドル、後は一生に渡って月に２万ドルずつ欲しいと要求するのだ。ウイリーはイヴの屋敷の玄関にワイヤーを引き、イヴの帰宅に合わせて、イヴがワイヤーにつまずいたタイミングで銃声を聞かせ、屋敷の中に逃げ込んだ後、バーニーはジムを犯人として連行してイヴに面通しをする。翌日、ホーマーにジムの身辺調査をさせ、ジムをイヴの屋敷まで連れてくる。よく警察に捕まらなかったわねと聞くイヴに、６００ドルを警部に渡したと答えるジムである。自分を狙った背景を聞こうとするイヴは契約金を聞き出し、手付け５０００ドル、残り７５００ドルは上がりにとジムが喋り、イヴは倍出すからあんたを雇った不届き者を殺すのよと言い、食事にジムを誘うのである。食事の席では、相手の正体はわからないが、女が来て金を受け取ったとジムが話すと、何としてでも依頼人を突き止めるのよとイヴが言い、ジムは軍資金が欲しいと要求する。その後、ジムを屋敷に誘って軍資金の２５０００ドルを渡す。ジムが改めると２０００ドル足らず、金庫を開けられるのは自分と死んだ主人だけとイヴが言うが、ジムはパウダーを金庫のダイヤルに吹きかけると、ジョニー・ヴェールの指紋と一致する。翌日、クリーニング屋から電話が入り、間違って配達してしまったということで、その住所を聞き出してそこに出向くジムとイヴは、部屋の中にジョニー・ヴェールの写真や持ち物を発見する。そして、ケーシーが出てきて警察を呼ぶわよと注意されるが、ジムに金を渡した女ということがわかり、依頼人はジョニー・ヴェールということが判明する。その夜、寝ているイヴの屋敷にジョニー・ヴェールが侵入し、もう邪魔しねえよ、欲しいものはもらったと言うジョニー・ヴェールの姿を見るイヴである。翌朝、バーニーはイヴにドライブにつき合ってくれと誘って車に乗せ、保冷庫にイヴを連れていき、ジョニー・ヴェールの死体を見せる。ジョニーがすべてを話してくれ、台帳でルチェックをゆすって、イヴが死ねばルチェックは刑務所行きで、ジョニーはその後釜を狙ったと言う。さらに、バーニーはイヴの腕をまくり、自白剤を打たれて夕べ台帳の在処を喋ってしまったと告げ、ジョニー・ヴェールのバッグを見せつける。そして、イヴがルチェックに突きつけた条件を聞き出し、月２万ドルの内、１万５千ドルをバーニー、残りの５千ドルをイヴが受け取ると勝手に決めてしまう。これに怒ったイヴはジムにバーニー殺害を頼むと、サツ殺しはゴメンと断るジムだが、バーニーが台帳を本当に持っている保障はないとジムが告げる。すると、確かめにいくからついてくるようイヴが誘い、場所は５キロ程東の砂漠でジョニーとよく行ったところと白状し、これを聞いたホーマー・チルはルチェックに電話して現地に向かうのだ。川の中からバッグを見つけてちゃんとあるわとジムに銃を向け、あんたには用はないとイヴが裏切るが、そこへ二人とも死んでもらおうとルチェックが銃をイヴに放つ。さらに、バーニーとウイリーが踏み込むのだ。大した怪我ではないとジムが慰め、ジョニーを殺してないと否定するイヴに、 "始めからみんなわかっているんだよ"とジムが告げ、"あなたたちが企んだのね"とイヴが聞くと、ジムは無言で頷くのであった。
【解説】自分が殺害したにも関わらず、その相手が死んでおらず、突然、自分の目の前に現れたらどういう心理状況になるのだろうか？今回の敵イヴに対してＩＭＦが取った作戦はまさにそれである。イヴが夫ジョニーの死体を確認していないという盲点を突いたと言える。そのような時は誰でも、相手からの復讐を恐れるものだろう。
　ＩＭＦはジョニーが生きていることを偽装するが、その前にジムがイヴを殺害しようとしたことを失敗したと見せて、ある女から金をもらったと言うに留める。その後、金庫の中のお金が少なかったり、金庫に付着している指紋がジョニーのものだったりということで、だんだんイヴにジョニーの影を意識させていく。そして、クリーニング屋の誤配達をきっかけに、ケーシーのところまでジムとイヴは同行してジョニーの写真や持ち物が置かれてあることから、殺しの依頼人がジョニーだということをイヴに悟らせる。とどめは、イヴの就寝中、ジョニーが現れて欲しいものはもらったと告げるのである。
　さらに、ＩＭＦの作戦は複雑になっていき、警官のバーニーがイヴにジョニーの死体を見せつけてイヴの腕の注射痕を示し、台帳の在り処を喋ったということでジョニーのバッグを見せつけるのだ。そして、イヴが受け取る条件を聞き出して、その大半をバーニーが受け取ることに同意をせざるを得ない状況になってしまう。イヴはジムにバーニー殺害を依頼するが、ジムは警官殺しはご免と断るものの、本当にバーニーが台帳を持っている保障はないと助言すると、案の定、確かめにいくことになる。
　最後は二転三転として目まぐるしい展開になる。まず、イヴが川の中からバッグを見つけると、あんたには用はないとジムに銃を突きつける。これだから、悪人は信用できないのだが、そこに、台帳で揺すられている一味が到着し、二人とも死んでもらおうと言って銃を放ってイヴに命中してしまう。さらに、バーニーとウイリーが到着して、一味を取り押さえるのだ。たいした怪我ではないとジムはイヴを慰めるものの、イヴはそれでもジョニーを殺していないとしらをきるが、最初からわかっていたんだよとジムが告げると、イヴはすべてを理解するという二人のやりとりは印象に残るフィナーレである。