スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



2 刑務所突破作戦(前編) Old Man Out (Part 1)
3 刑務所突破作戦(後編) Old Man Out (Part 2)
【目的】難攻不落の刑務所から自由主義運動のリーダーである枢機卿を救い出すこと
【指令】おはよう、ブリッグス君。枢機卿アントン・ヴォセックは80歳という高齢と老衰にもかかわらず、その国の自由主義運動のリーダーとして活躍しておら れた。ところがこのほど、現政府の打倒を謀っているという疑いで逮捕され、通りいっぺんの裁判で有罪にされてしまったのだ。ヴォセック枢機卿は、目下市 の中央公園に隣接するこのソラブノ刑務所の一番上の階にある監房に収容されているが、ソラブノ刑務所は厳重な点で東ヨーロッパ随一を誇っており、脱走 した者は一人もいない。
 そこで君の使命だが、この刑務所からヴォセック枢機卿を救い出すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は 一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープの処理は係の指示に従うこと。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: エリス・マーカスEllis Marcus
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: チャールズ・R・ロンドウCharles R. Rondeau
【ゲスト出演】
クリスタル・ウォーカー:メリー・アン・モブレイ(渋沢詩子)Mary Ann Mobley as Crystal Walker
アントン・ヴォセック枢機卿:シリル・デルヴァンティ(田村錦人)Cyril Delevanti as Anton Cardinal Vossek
大佐:ジョセフ・ラスキン(加藤精三)Joseph Ruskin as Colonel Jovann Scutari
刑務所長:オスカー・ベレジ(高塔正康)Oscar Beregi as Commandant
大尉:ウィリアム・ウィンターソロ(西田昭市)William Wintersole as Captain
警備兵:モンテ・マーカム(愛川欽也)Monte Markham as Tosk
【場所】@指令(媒体):映画館で白黒映像フィルムを見ながらオープンテープを聞く
A舞台:東ヨーロッパのある社会主義国
【役割】ダン:セニョール・アルベルティ(サーカスの団長・オルガン弾き・透視術師)→ピエロ(大佐をノックアウト)→スカッタレー大佐(脱獄囚のローランを発 見して連行)
ローラン:サーカス団の下働き(スリで客の財布を盗む)→逮捕され刑務所に入所
シナモン:セニョール・アルベルティの透視術の助手
バーニー:ピエロ(観客よりチップを回収)→空中ブランコのクリスタルの危機を演出
ウイリー:重量挙げの芸人
クリスタル:空中ブランコの芸人
【道具】@鍵の役目を果たす道具一式:ライター程度の大きさでローランが使用
A弓矢:はしご車からロープを刑務所の屋上まで飛ばす
【削除】(前03分20秒)ダンがクリスタルに協力の要請の為2年ぶりに会いに行く
(後07分20秒)ダンの透視術を婦人に対して行う
(10分30秒)クリスタルが逃げる準備中での警備兵とのやりとりと作戦中止の知らせ
(20分00秒)シナモンがオルガンを弾いている場面と看守が食事を配っている場面
【見所】(前14分40秒)刑務所の金属探知機が作動し、ローランは看守の肩章に道具を隠す
(27分30秒)ローランがヴォセックに会いに行ったが、鍵を落としてしまい、そこへ看守が来る
(40分20秒)シナモンがローランに面会し、会話が暗号になっておりローランから必要情報を得る
(48分20秒)ローランがヴォセックを助けにいくが別の監房に移された後だった
(後06分40秒)ここまで前編の粗筋で、後編はここからスタート
(09分20秒)刑務所の屋上に昇ったローランより作戦中止の合図がバーニーに示される
(13分10秒)クリスタルとシナモンの意中の男性に対してのからかい半分の会話
(18分10秒)大尉とヴォセックの会話でヴォセックの人間性がにじみ出ている感動的シーン
(21分00秒)ピエロに扮したダンが大佐をテント内におびき寄せてノックアウトする
(23分40秒)クリスタルがブランコから宙吊り状態になり、皆が注目の中、ローランが脱獄する
(31分00秒)ローランとダンが特別監房に侵入し、看守をやっつけてヴォセックを救出する
(38分30秒)クリスタルとシナモンが取っ組合いのけんかをし、警備兵は任務を忘れて夢中になる
(44分40秒)シナモンとクリスタルがしてやったりと、トラックの荷台で泣いて喜んでいる
(47分00秒)検問所に電話が入り、ダンはバーニーにオルガンを弾くように合図する
【疑問点】@ヴォセックを屋上まで予行練習で連れ出すのだが、ローランがおんぶした方が早いのでは?本番の時もヴォセックをわざわざ歩かせている。
Aサーカスの開演が朝の7時であるが、人が集まっているのが不思議。社会主義国のお国柄か?
Bバーニー扮するピエロが客より集めたお金の行方は?
C指令は映像フィルムと録音テープの2本立てという珍しいケース。テープはダンが処分したが、フィルムの方はその後どうなったか不明。
【粗筋】かつて誰一人とて脱獄に成功した者がいないというソラブノ刑務所で、日課は一年中変わらないという条件のもと、作戦は実行される。刑務所の横に 隣接する公園にキャンプを張り、IMFはサーカス一座に扮する。ダンは読心術師、シナモンはダンの助手、道化師バーニー、重量挙げのウイリーである。見 物客の男性から財布を盗んだローランは警官に捕まり、刑務所に入れられてしまう。時計がないので、IMFがローランに時刻を知らせることになる。朝7時ち ょうどに空中ブランコが開始され、オルガンの音がローランへの合図になっている。ローランはこっそり監房から抜け出し、ヴォセックの監房まで出向き、ヴォ セックを屋上まで連れていって予行練習をするという念の入れようである。一方、安全ネットを使用すると、取り外しに20分かかることから、空中ブランコは1 5メートルの高さで演技するにも関わらず、安全ネットなしで行わなければならなくなる。わざわざ刑務所に隣接する公園で開いていることに、大佐はサーカス 一座の調査をし、登録がないことを不審がる。サーカスを公園の真ん中でやれという大佐の命令に対して、空中ブランコがネットなしでやっているので、風が 強くない隅でやらなければならないとダンはうまく弁解して切り抜けるのだ。また、刑務所の外の見張りをしている警備兵をシナモンとクリスタルが男の自尊 心をうまくくすぐって誘惑するのである。ヴォセックを脱出させる準備が整い、ローランが助けに監房まで行くが、ヴォセックは別の監房に移されてしまい、IMF は作戦の変更を余儀なくされる。
 既に逃げる準備をしているところへ急に作戦延期となってしまったため、様子を見ていた大佐はダンたちが何か悪企みをしているのではないかと不審がる ので、IMFメンバーは作戦がやりにくくなったことを皆が認識する。そこで、作戦の実行の前に、ピエロに扮したダンは大佐をテントの中におびき寄せて殴り倒 すのである。うまく刑務所内に侵入することができた、スカッタレー大佐に扮したダンは、ローランとともに特別監房にいる看守を全員殴り倒し、特別監房から ヴォセックを救い出すことに成功する。スカッタレー大佐を不審に思う刑務所長は、本部に身分照会をするが、情報部に所属しているという回答で詳細につい ては聞き出せないでいる。その間、シナモンとクリスタルの迫力ある演技に警備兵は夢中になり、屋上に到着した3名はバーニーが弓矢で飛ばしたロープを 伝わり、まず、ローランがヴォセックを抱きかかえて降り、ヴォセックをトラックの荷台に隠した後、ダンも降りようとするが、なかなか降りてくることができずに いると、クリスタルが警備兵の顔を爪で引っかいて大きな傷を負わせ、時間稼ぎに寄与する。うまく公園から脱出したIMFであるが、検問所に電話が入り、嫌 な予感がしたダンはバーニーに目配せをする。バーニーはすべてを理解し、オルガンを弾いて電話の声が聞こえないよう妨害をする。そして、やっと検問所の 警備兵が電話の声を聞いた時には、すでにIMFのメンバーたちがライフルの射程距離を超えてしまった後であった。
【解説】LD−BOXでは、「刑務所突破大作戦」という大袈裟なタイトルになっているが、「刑務所突破作戦」というタイトルで放送されたこともあるようで、私の 記憶の中でも後者のタイトルが強く残っている。「スパイ大作戦」初の2部構成のエピソードで、なかなかの秀作である。特にヴォセックの人間性はよく描かれ て、大尉に告白するシーンでは、胸にジーンとくるものがあり、誰もが何とかしてヴォセックを助けてやりたいと思わせるくらい見事だ。また、ダンとクリスタル のキャラクターもよく描かれている。ダンがクリスタルの所属するサーカス一座に出向き、クリスタルを任務に協力させようと誘うシーンで、最初ダンに惚れて いるクリスタルは喜ぶものの、すぐにダンが何のために来たかを理解して任務に協力することを拒むが、やがて任務協力を受諾するという微妙な女心の描写 は卓越している。メリー・アン・モブレイが演じるクリスタルは生き生きとしていて、陽気なオルガンの音に合わせて印象的な演技をするが、残念ながらこのエ ピソード限りの出演となってしまった。
 また、メンバーの性格描写やユーモラスなやりとりが他のエピソードと比べて目立つ。バーニーが"目の玉をえぐり出す道具"とシナモンのアイリッシュカーラ ーのことを言ったり、クリスタルがシナモンにローランのことが気になると冷やかすと、シナモンは枢機卿が心配と答える。
 アパートのシーンでローランがスリの腕前を披露する。メンバーに対して行った戦利品を示すが、腕は大したもので、この技能が当エピソードに限らずIMF の作戦に大きく貢献するのである。そして、スリでローランは刑務所に入れられ、作戦通りにヴォセックに接触して脱走することを知らせる。オルガンの音が 刑務所内にいるローランに知らせる時計の代わりになっている。しかし、予定の時刻になり、ローランがヴォセックの監房に助けに行くと、既にヴォセックは別 の監房に移されてしまった後で作戦は中止となってしまう。この様子を見ていた大佐はサーカス一座が怪しいと感づくのである。作戦の変更を余儀なくされる のである。
 また、刑務所の外の見張りをしている警備兵をシナモンとクリスタルがうまく誘惑するシーンであるが、男の自尊心をくすぐっているのは素晴らしく、ヴォセッ ク脱出時に、シナモンとクリスタルが本気ともとれる迫力ある取っ組み合いの喧嘩をし、自分の取り合いをして二人が争っていると勘違いをして喜ぶ警備兵 は、任務を忘れ夢中になってしまう。そして、クリスタルがその警備兵の顔を爪で引っかいて大きな傷を負わせ、時間稼ぎに寄与するのだ。重要なポジション にいる警備兵を二人が完全にカモにした形である。
 検問所では、ヴォセックがいなくなったことで電話が入るが、ダンはそれを察知してバーニーに目配せしただけで、バーニーがオルガンを弾いて電話の音声 を妨害するという行動に出る。リーダーが言葉に出して言わなくても合図するだけで、部下が何をすべきか100%理解するというチームワークは完璧である。


トップへ

戻る

前へ

次へ



Copyright (c) from 2001 BONBEL