スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館
エピソードガイド1
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【目的】選挙投票機の細工を発見し、選挙の結果が民意を正しく反映したものになるようにすること
【指令】おはよう、ブリッグス君。近く行われるバレリア国の選挙だが、警察権力の支配する国粋党が自由党を圧して勝利を握り、やがてテロによる独裁政権 をうちたてる公算が大きくなった。というのも、国粋党側がその勝利を確実なものとするために、第十二管区警察署にある選挙投票機に、ある種の細工を施し たという情報が入ったからである。
そこで君の使命だが、その細工を発見し選挙の結果が民意を正しく反映したものになるようにすることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえら れ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは処分してくれたまえ。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: トム・グリーズTom Gries
【ゲスト出演】
トレズ署長:パーシー・ロドリゲス(大塚周夫)Percy Rodriguez as Captain Trez
長官:マーク・レナード(大木民夫)Mark Lenard as Felipe Mora
選挙立会人:ジョナサン・キッド Jonathan Kidd as Registrar
自由党員:デヴィッド・フレスコ David Fresco as Libertadist
国粋党員:エドモンド・トンティニ Edmund Tontini as Nationalist
事務官:トム・ヘルナンデス Tom Hernandez as Desk Sergeant
【場所】@指令(媒体):鉄鋼工場の敷地に止めてあるトラックの中のオープンテープを焼却炉に入れて処分する
A舞台:バレリア国第12管区(中南米)
【役割】ダン:警官→救急隊員
ローラン:ミゲール・コルドヴァに変装
シナモン:キャサリン・ブロック(結婚詐欺にあった女を装い警察署に侵入し、選挙登録者名簿よりローランに似ている人物を探す)→アンナ(ミゲールに近づき 選挙に行けないようにする)
バーニー:市民暴動の首謀者として特別監房に入れられる→担架に隠れて投票機の細工を解除
ウイリー:警官→トラックの運転手(救急車を家屋に突っ込ませる)→救急隊員
【道具】@細粒ガス
A鍵とレンヂドライバーの型を取る道具
B砂:ミゲールの車のエンジンを目茶苦茶にする
C心臓麻痺の症状が出る薬:ローランが投票機の前で服用
D担架:中にバーニーが隠れている
【削除】(07分10秒)トレズ署長がシナモンに犯人を捜すのは難しいと言う
(11分40秒)選挙登録者名簿を閲覧しているシナモンにトレズ署長が声をかける
(18分10秒)投票機は無事と長官に報告するトレズ署長と怪我の手当てを受けるバーニー
【見所】(10分50秒)投票機の細工を発見し、自由党2000票マイナスで、国粋党プラス2000票と判明する
(14分30秒)監禁されている市民を助ける際、バーニーが銃で撃たれて負傷する
(20分00秒)トレズ署長がIMFメンバーのいるアパートを訪れ、シナモンが連行される
(24分40秒)負傷しながらも鍵の複製を作成しようとしているバーニーが失神してしまう
(37分30秒)ミゲールが失神し、本物の救急車は家屋に激突後、偽の救急車でダンらが駆けつける
(42分40秒)うまく侵入したバーニーが投票機の細工を元に戻す
(45分10秒)ウイリーが電源の元栓を切ろうとしたが、警官に見つかってしまう
(47分20秒)シナモンとミゲールが選挙の勝利をラジオで聞き喜ぶ姿と甘美なBGMが流れる
【疑問点】@医師はバーニーが銃による負傷ということで、警察に電話しようとしたが、ダンは銃を突きつけ、治療だけしてくれればいいと脅かして医師を監禁 してしまう。しかし、その後、アパートの部屋には誰もいなくなるのだが、医師はどうなったのだろう?
Aダンは一度ミゲールの店に客として訪れており、二度目は警官としてシナモンを探しているということだが、ミゲールは同一人物として認識したのか?
B投票機はもともと2台あったが、内1台は自由党のレバーが動かないという故障になっていた。これはIMFによる細工なのか、あるいは自然故障なのか触 れられていない。
【粗筋】IMFは第12管区の警察署に2度侵入する必要があり、最初は、国粋党が投票機にどんな仕掛けを施しているのかを調べ、それに対する道具を揃え ておき、再度、開票前に侵入してその仕掛けを取り除くということだ。まず、シナモンが結婚詐欺の被害にあったと装いトレズ署長に相談して、選挙登録者名 簿よりローランが変装できそうな人物を探し、その間に市民の暴動を利用して、ダン、バーニー、ウイリーが警察署の奥の部屋に厳重に保管してある投票機 の細工を発見する。国粋党には2000票が既に投票されており、自由党には2000票のマイナスのカウントがされていて合計4000票の不正操作が施され ている。そして、IMFは必要な器具の型を取り、ひとまず退散する。ところが、市民を助ける際、バーニーが銃で撃たれ負傷を負ってしまう。一方、シナモンは ローランにそっくりなミゲール・コルドヴァに近づき、選挙ができないように遠くへ連れ出す。ミゲールに変装したローランは、投票後に薬を飲んで投票機の前 で倒れる。警察は救急車の出動を要請するが、ウイリーの罠により家屋に突っ込んでしまう。代わりに準備していた偽救急車でダンとウイリーが救急隊員と して警察署に乗りこむのである。担架の中にはバーニーが隠れており、カーテンで囲まれた投票機に何が起こっているのか外にいる人にはわからない。バー ニーは意識が朦朧とする中、細工を元に戻すのだ。神父は中での様子の異変に気づくが、騒がずにお祈りを捧げることに専念してくれるのだ。最後は自由党 の勝利を見届けて、シナモンはコルドヴァに別れを告げ、IMF一行はマイクロバスで逃走するのだった。
【解説】このエピソードはこのシリーズに23本の脚本を提供したローレンス・ヒースによる最初のものである。選挙投票機が登場し、当時としてはハイテクの 先端をいくものだったのだろう。しかし、30年以上経った今でも、世界中どこの国を探してもこのような機械を使って選挙の投票をするところはないだろう。選 挙投票機が普及しなかった理由として考えられるのは、このエピソードで謳われる大きな欠点があるからと思われる。
シナモンはこの町に住む、ローランそっくりの人物を探すために、結婚詐欺にあったという触れ込みでトレズ署長と直接会い、結婚詐欺師の顔を確認する名 目で選挙人名簿からローランそっくりのミゲールという人物を探し出す。そして、シナモンはミゲールを遠くへ連れ出して車を故障させ、その隙にローランがミ ゲールに扮して選挙投票をするのだが、顔は似ているかもしれないが、ミゲールの声をローランは聞いていない筈なのに、よく扮することができたなと感心さ せられる。もちろん、両者ともマーティン・ランドーが演じている。いつもはローランにはいろいろな人物に変装する能力があるのだから、むしろ、その能力を生 かしたほうが自然のような気がする。恐らく、視聴者を喜ばすためにこのような設定にしたのだろう。
シナモンがトレズ署長の気を引き、市民が暴動を起こしている隙に、IMFの残りのメンバーは、警察署の奥の部屋に置いてある選挙投票機の細工を見破る とともに必要な器具の準備をする。しかし、脱出する際、市民を助けようとしたバーニーが銃で撃たれ、さらに任務達成を困難にし、最後までバーニーは意識 朦朧な状態で緊張感が走る。神父はカーテンの中での異変に気がついたが、騒がずにお祈りに専念してくれたおかげで、無事IMFは任務を完了する。この ように神父に助けられるのは、第5シーズンの「生きた研究ノート」でも見られ、「スパイ大作戦」に登場する神父は、IMFに協力的だ。
IMFがすべての任務を完了した後、一つだけ疑問が残る。ローランにそっくりなミゲールは、最後シナモンに失恋し、選挙の投票もできない。おまけに車も 故障させられて修理代を払わされる破目になり、これでは全く踏んだり蹴ったりである。彼は何の罪のない善良な市民のはずだが、IMFの彼に対する仕打ち はあまりにもひどいのではないだろうか。 |
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