スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



12 幽霊を呼べ!! Zubrovnik's Ghost
【目的】女博士を鉄のカーテン内にやることなく、我が国のために重要な研究を続けさせること
【指令】おはよう、ブリッグス君。マーサ・リチャーズ博士を覚えてるね。二年前彼女は休暇でオーストリアへ行き、カート・ズブロニック博士と結婚、そのままア メリカへ帰らず、オーストリアで夫とともに重要な研究を続けていたが、昨年夫のカートは自宅の研究室で炎に包まれて焼け死んでしまった。夫の死後もマー サは研究を続けているが、最近になってその報告をしてこなくなったのだ。これは彼女のそばにシグマン・ポルジャックというこの男がついており、鉄のカーテ ン内に引っ張ろうと働きかけているためと思われる。これが普通の男なら事は簡単だが、ポルジャックは霊媒であり、夫カートの霊がその口を借りてそうしろ と勧めているから始末に悪い。
 そこで君の使命だが、マーサを鉄のカーテン内にやることなく、我が国のために研究を続けさせることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえら れ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのレコードは直ちに処分してくれたまえ。成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ロバート・レウィンRobert Lewin
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: レオナルド・J・ホーンLeonard J. Horn
【ゲスト出演】
アリアナ・ドミ:マルチネ・バートレット(麻生美代子)Martine Bartlett as Ariana Domi
シグマン・ポルジャック:ドナルド・デイヴィス(久松保夫)Donald Davis as Sigismund Poljac
マーサ・リチャーズ:ベアトリス・ストレイト(里見京子)Beatrice Straight as Dr. Martha Richards Zubrovnik
クロー:フランク・オーバーシャル Frank Oberschall as Kroger
【場所】@指令(媒体):病院の一室の金庫の中で、EPレコードを洗面台に薬と共に投入し溶かす
A舞台:オーストリア
【役割】ダン:指令の受領 (マーサと知り合いのため作戦に参加できない)
ローラン:心霊現象の研究会のメンバー
バーニー:心霊現象の研究会のメンバー
アリアナ:心霊現象の研究会のメンバー・霊媒師
【道具】@幻影を映し出すスライド映写機
【削除】(05分20秒)アリアナがダンにどうして自分を使うのか問い詰める
(08分00秒)マーサにIMF3名が階段の下で自己紹介する
(31分40秒)アリアナがとさつ場にカートがいると直感する
【見所】(04分40秒)アリアナが心霊現象とインチキを一緒にしてもらっては困ると怒る
(20分30秒)バーニーがどうしてポルジャックの肩を持つのかとローランに詰め寄る
(25分00秒)アリアナの霊媒により男が無理矢理殺されたという事実が判明する
(26分00秒)カート・ズブロニックが生きているとローランが推理する
(33分00秒)犬が怯えて家に入ってくる姿を見てアリアナはカートが死んだと言う
(36分40秒)バーニーとローランが閉じ込められた部屋でクローが蜂に襲われ死亡する
(38分20秒)ローランがアリアナに霊媒で嘘を言うよう強要するがアリアナは拒否する
(43分40秒)アリアナの口からカート・ズブロニックの声が聞こえる
【疑問点】@疑問だらけのストーリーで、挙げたらきりがないが、一つだけあげるとしたら、心霊現象の研究会のメンバーという触れ込みで、マーサに自己紹 介するIMF3名は本名を名乗っているが、どうして?
【粗筋】ローラン、バーニー、アリアナの三人は心霊現象の研究会のメンバーとしてマーサ宅へ押しかけ、霊媒師であるポルジャックのイカサマ芝居を見物す る。ところが、マーサは完全に信じきってしまっている。金庫のダイヤル番号や手紙の内容までもポルジャックは知っているのだ。"死こそ永遠なるものの序 曲である"という手紙が金庫から出てくる。手紙には封を開けた形跡がなくポルジャックがどのようにして内容を知り得たか謎であるが、ローランとバーニーは イカサマと決めてかかっている。しかし、アリアナはそうかしら?と完全に否定していない。ローランはポルジャックの肩を持つ発言をするが、かえってポルジ ャックに心の中を見抜かれてしまう。そこで、アリアナはカートが焼け死んだとされる実験室でローランとバーニーに自分の霊媒師としての腕を見せるのだ。ア リアナがカートとは違う霊を感じると言ったことから、ローランは死んだのはカートでなく替え玉であり、カートは生きていると推理する。そして、三人はカートを 探しにいこうとするが、犬が怯えて家に戻ってきたのを見て、アリアナはカートが殺されたと直感する。情報源を失ったポルジャックが何かしら動くとローランは 予想するが、ポルジャックとマーサは研究に専念するため突然出発すると言うのだ。アリアナは自分が霊媒師であることをマーサに打ち明けて興味を持た せ、もう一度ポルジャックとアリアナの二人で霊媒をすることになる。先にポルジャックが行うが、カートがマーサに会いたくないと言って拒否する。すると、不 思議なことに女のアリアナの口からカートの男の声が聞こえ、部屋中に煙が立ちこめ、驚いて逃げ出したポルジャックは部屋に閉じ込められ、蜂に襲われ死 亡してしまう。実は、カートの身代わりに殺された人物が蜂の飼育をしていたということがわかり、蜂の復讐により関係したクローとポルジャックの二人は死ん だのである。それまで霊媒を疑っていたバーニーも全面的にアリアナを支持すると言うと、一世一代の芝居をうったとアリアナは答え、一同は爆笑するのであ った。
【解説】このエピソードは幽霊という超自然現象をテーマにした唯一のエピソードだ。超自然現象を扱って敵を欺く手段に使うエピソードは、今後もいくつか登 場するが、ここまで超自然現象にどっぷりとつかってしまうと、「スパイ大作戦」には似合わない。恐らく、シリーズ初期にシリーズの方向性を模索するため に、試験的に作られたものなのだろう。
 IMFの協力者で霊媒師であるアリアナに対する、メンバーの態度が面白い。技術屋バーニーはどうしてアリアナをメンバーに加えたのかという不信感をあ からさまに態度に出す。ダンは中立な立場、ローランは自らペテン師なので、どちらかというとアリアナを支持するのだ。
 ダンはマーサと知り合いのため任務には参加せず、ローラン、バーニー、アリアナの三人が心霊現象研究会のメンバーという触れ込みでマーサ邸に乗り込 む。そこには、ポルジャックというイカサマ霊媒師がおり、マーサは彼の霊媒を完全に信じ切っている。
 アリアナはマーサの夫カートが焼死したとされる実験室で、自分の霊媒能力を披露するが、死んだのは実は替え玉でカートは生きていると言うのだ。ローラ ンはカートが生きていればイカサマ霊媒師ポルジャックの言っていることと辻褄が合い、三人はカートを探しに行くことになるが、カートが可愛がっていた犬が 怯えて帰ってきたのを見て、アリアナはカートが殺害されたと予言する。不思議なアリアナの能力に、バーニーは疑いの目を向けるが、ローランは情報源を失 ったポルジャックは何かしら動くと予想する。果たして、ポルジャックとマーサはすぐに逃げるように出発すると言い出し、アリアナは自分が霊媒師であることを マーサに告げ、ポルジャックと霊媒の共演する運びとなる。ポルジャックは霊媒を拒否するのに対して、アリアナの口からは男の声が聞こえ、周囲に煙が立 ち込める中、ポルジャックは逃げ出すが、部屋に閉じ込められ、蜂に襲われて死亡する。
 途中でアリアナと他のメンバーが随所で意見の対立する場面も見られ、そういった意味においても異色のエピソードになっている。そして、自分の霊媒能力 に誇りを持ち、イカサマをしたくないと他のメンバーに告げるアリアナであったが、結局、最後に一世一代の芝居をうったと告白するアリアナに対して、それま で一番彼女に不信感を抱いていたバーニーも脱帽し、メンバー三人の心が通い合った瞬間である。


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