スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



14 戦慄のスパイ養成所 The Carriers
【目的】敵のスパイ養成所に潜り込み、計画を叩き潰すとともに養成所長を再起不能にすること
【指令】おはよう、ブリッグス君。その男はヤノッシュ・パセックといって、鉄のカーテン内きってのアメリカ通として知られている。彼は訓練を終えた200人から の諜報員を集め、これを合衆国向けの特殊スパイに仕上げるため最後の磨きにかかっているのだ。我々にわかっているのは、彼らが合衆国に対する細菌戦 を計画しているのではないかということだけだ。
 そこで君の使命だが、このパセックのスパイ養成所に潜り込み、その計画を叩き潰すとともにパセックを再起不能にすることにある。例によって君もしくは君 のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは五秒以内に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: シャーマン・マークスSherman Marks
【ゲスト出演】
ロジャー・リー:ジョージ・タケイ(愛川欽也)George Takei as Roger Lee
ヤノッシュ・パセック:アーサー・ヒル(阿部徹)Arthur Hill as Janos Passik
ティソー・カスター:バリー・ルッソ(森山周一郎)Barry Russo as Tiso Kastner
警備兵:バリー・カーヒル Barry Cahill as Guard
ティグラン・ポルティシュ:フィル・ポスナー Phil Posner as Tigran Portisch
インストラクター:リック・トラグナー Rick Traegner as Instructor
【場所】@指令(媒体):ペニーアーケードにあるセルフサービス写真機の下の棚にあるオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:ウィローグローブ(鉄のカーテン内)
【役割】ダン:警官→憲兵本部ヤコフ大佐
ローラン:ティグラン・ポリティシュ(チャールズ・クーパー)シカゴの競技場の売り子研修生
シナモン:マリア・グリーン(グローリア・カボット)フィラデルフィアのダンサー研修生
バーニー:ロール・オペール(エドワード・ゴートン)コニーアイランドのスナック従業員研修生
ウイリー:警官→憲兵隊員
ロジャー:ホー・ミン・チュー(ジョージ・フォン)ロサンゼルス図書館勤務研修生
【道具】@住所番地のプレート"47"と"49"
A鍵の型を作る道具
Bペスト菌を殺す薬
【削除】発見できず
【見所】(12分00秒)ジョン・ピーターソンとヤノッシュ・パセックが4名の前で自己紹介する
(21分00秒)排水のカスをローランが採取後パセックに見つかるが、煙草を吸っているとごまかす
(24分20秒)肺ペスト菌と判明し、シナモンが私たちも感染しているかもしれないと心配する
(27分20秒)色気で迫ったシナモンだが、パセックがキスしようとするとはぐらかし鍵を抜き取る
(36分30秒)シナモンがパセックに銃を取られてしまう
(37分20秒)緊張のあまりローランが容器を割り、水で洗い流したがペスト菌に感染してしまう
(39分50秒)三人が研究室のドアを抉じ開けているところをパセックに発見される
(44分00秒)ロシアンルーレットでシナモンに銃が突きつけられ、ローランが暴れて間一髪で命拾いする
(46分20秒)化粧水のスポイトをカッターで削って、注射器の代用としてローランに予防接種をする
【疑問点】@研修生4名の人種、性別の構成がIMFの4名と同じなのは偶然か、あるいは事前に情報を得ていたのか?
【粗筋】アパートで、スパイ養成所に以前に送ったスパイは帰ってこなかったとダンが説明すると、IMFスタッフの顔が曇る。特にロジャーが自殺行為と同じだ と主張すると、ダンは前回の任務は失敗したと言っただけだと強調するのである。まず、鉄のカーテンの向こうにある町に乗り込み、47番地と49番地のプレ ートを入れ替え、研修生四人を49号室で捕らえ、"ティソー・カスターさんのお宅ですか?"と"子羊"が合言葉になっていることを聞き出し、研修生に扮したI MFの四人は47号室に入る。その後、養成所まで護送されたローラン、バーニー、ロジャーの三人はいきなり面食らう。部屋に突然三人が銃を持って乱入 し、いきなりローランに手錠をかける。ローランは逮捕状を見せろと食らいつく。すると、パセックが現れ拍手をしながら、今のは訓練だとローランの対応を褒め る。やってられないとバーニーとロジャーは弱音を吐くのだ。一方、シナモンはゴーゴーダンスの特訓を受ける。ローランは授業を巧みに抜け出し、排水のサ ンプル入手に成功し、病原菌は肺ペスト菌と判明する。スパイに感染させた後、一日に数百人と接する客商売をさせ、ペスト菌をばら蒔いて、最後はスパイ 本人も死んでしまうため証拠が残らないという巧妙な方法であることがわかるのだ。 この企みを粉砕するために、まず、シナモンが色気でパセックに近づき 研究室の鍵を盗み出す。研究所に入ろうとして三人は警備員に見つかってしまうが、殴り倒して研究室に入ると、中には500万人を殺すだけのペスト菌が培 養されており、用意してきた薬でペスト菌を全部殺すべく、ローランとロジャーがスポイトでフラスコ1個ずつ薬を滴らしていくのだ。バーニーは研究室のドアを バーナーで焼き切る工作をする。シナモンは異変を感じ取ったパセックに銃を突きつけ、牽制をして時間稼ぎをする。フラスコもあと2個となったところで、ロー ランが緊張のあまりフラスコを割って指に怪我を負いペスト菌に感染してしまう。注射器を探すロジャーだが、研究室の中にいるところを見られると作戦すべて がパーになってしまうので、研究室の外から一生懸命にドアを抉じ開けようとしているように見せるのだ。四人が捕まり、パセックによるロシアンルーレットの 厳しい訊問が続き、シナモンに銃があてられた時に実弾が出そうになっていたところをローランが察知して、暴れたためシナモンの命は間一髪で助かる。そ こへダンが憲兵隊大佐として乗りこみ、四人が敵側のスパイで憲兵隊本部に連れて行き訊問をすると言って、本物の研修生四人を残し、IMF四人を連れ出 すのだ。最後は、ペスト菌に感染したローランに予防接種をする必要があり、注射器がなく困っていたが、バーニーの機転でシナモンのバッグから化粧水の スポイトを取り出し、ナイフで削って注射器の替わりにローランの腕に使用し、ローランは命拾いするのだった。
【解説】鉄のカーテン内にあるスパイ養成所で訓練を受けたスパイは、ペスト菌に知らぬ間に感染させられ、アメリカに送られてから1日に何百人もの接客を する仕事に就き、ペスト菌をばらまきながら本人もそのペスト菌で死んでしまい、証拠を残さないというのだ。養成所に500万人を殺すだけのペスト菌が培養 されていることを考えると、どのタイミングで感染させるのかが説明されないが、養成所を出発する直前と思われる。なぜなら、アメリカに入国すると、スパイ たちはそれぞれの勤務地に散ってしまい、一人一人に感染させるためにそれぞれの地域に出向くのは現実的でない。しかし、養成所を出発する直前に感染 させるのなら、アメリカ入国前に、自国あるいは鉄のカーテン内の国民に感染する恐れがあるのではないかという矛盾もある。
 ペストという病気は、現在ではあまり馴染みのない伝染病になっているが、ヨーロッパなど世界各地で昔大流行したということは、歴史などで勉強したが、 確か人から人に直接伝染するのではなく、流行するにはネズミやノミなどの媒介動物が必要だったはずである。そういう意味では、本エピソードで謳われるよ うなペストの流行を目的にした話は成り立たない。もっとも、まれに人の痰などを通じて人から人に感染することもあるらしいが。
 このエピソードのフィナーレは、はっきりしない終わり方をする。IMFがペスト菌を全部殺したにも関わらず、そのことを敵に悟られないように、わざわざ、研究 室のドアを抉じ開けている最中で、中には一歩も入っていないという偽装をする。ローランがガラス容器を割ってしまい、ペスト菌に感染してしまったのだか ら、ローランに接触したパセックもペスト菌に感染したと見るべきであろう。(実際には上述のように感染しないだろうが、ドラマの延長線上で考えれば感染し た筈だ)何も知らないパセックがその後、いろいろな人物と接触し、他の罪のない人間にペスト菌をばらまく方が余程問題のようにも思える。
 ペスト菌ではないが、同様な大量殺戮を招く細菌培養液をモチーフにした第3シーズンの「生体実験」では、IMFは最後にその培養液を爆破して壊滅状態 にしている。個人的な意見として、本エピソードもこのような終わり方にして欲しかったと思う。


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