スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



16 ヒトラーの遺産を奪取せよ The Legacy
【目的】3億ドル以上と推定されるヒトラーの遺産を手に入れ、四人の後継者たちに渡さぬこと
【指令】おはよう、ブリッグス君。第二次大戦終了以来、連合軍司令部は隠されたヒトラーの個人財産を捜していたが、ついにその手掛かりらしきものを探り 当てた。ヒトラーをめぐる最高首脳四人の息子たちが、近くスイスのチューリッヒに集まるが、それはこの四人の青年たちがヒトラーの遺産を入手するためと思 われる。彼らはその遺産をもとにヒトラーについで第四帝国を築こうとしているのだ。それはその一人で名前はポール・ヴォン・シュネール。アルゼンチンから チューリッヒに向かう。
 さて、ブリッグス君。君の使命は3億ドル以上と推定されるヒトラーの遺産を手に入れ、この四人の後継者たちに渡さぬことにある。例によって君もしくは君 のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。このテープはただちに処分してくれたまえ。成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: マイケル・オハリヒーMichael O'Herlihy
【ゲスト出演】
グラーフ:ドナルド・ハーロン(穂積隆信)Donald Harron as Ernst Graff
クーデリー:リー・バーゲリー(久松保夫)Lee Bergere as Alfred Kuderlee
ブルーカー:ビル・フレッチャー(中曽根雅夫)Bill Fletcher as Max Brucker
ポール・ヴォン・シュネール:クロード・ウールマン(山田康雄)Claude Woolman as Paul von Schneer
ウォルフ:パトリック・ホーガン(森川公也)Patrick Horgan as Erich Wolfe
ルーベン教授:ジョン・クロフォード(浦野光)John Crawford as Professor Franz Lubell
エイラー:ウォルター・フリーデル Walter Friedel as Lieutenant Eiler
観光ガイド:リチャード・ピール Richard Peel as Guide
【場所】@指令(媒体):製鉄工場の敷地に駐車してあるグレーのワゴンの中のオープンテープレコーダーを聞き、焼却炉の中へ投げる
A舞台:スイスのチューリッヒ
【役割】ダン:秘密警察官→パーティのウェイター→クーデリーの上司→ホテルの支配人
ローラン:ポール・ヴォン・シュネール
シナモン:伯爵夫人
バーニー:ホテルのエレベーターボーイ
ウイリー:秘密警察官→チャールズ(伯爵夫人の護衛)→神父
【道具】@睡眠薬:銀行員クーデリーに飲ませる
【削除】(08分20秒)ガイドが観光客にマクシミリアン銅像の案内をする
(19分30秒)クーデリーとルーベン教授のパーティでの会話
(42分30秒)エバ・ブラウンの墓地の中で棺桶の蓋をあける
【見所】(11分00秒)ローランが卍マークを完成させ、他の3名のところへ行く
(13分50秒)グラーフがローランに銃を見せ、口座番号を言えと迫るがローランは拒否する
(25分00秒)ルーベン教授の催眠術でクーデリーから銀行の口座番号を聞き出す
(28分10秒)エレベーター内で、バーニーがローランに口座番号の書いてあるマッチを渡す
(33分00秒)ローランが時計がないと部屋を探すが、グラーフはローランを殴りつける
(44分00秒)エバ・ブラウンの墓の中を見るが何も見つからない
(45分00秒)グラーフらと銃撃戦になりダンが狙撃され、右胸を負傷する
(47分00秒)相手の弾がなくなったことに気づき、グラーフに飛びつき首を絞めるローラン
(47分40秒)墓地の壁が純金になっており、ヒトラーの遺産を発見するIMF 
【疑問点】@その後のヒトラーの300億もの財宝の行方はどこに?
Aグラーフに飛びつき首を絞めるローランをウイリーが止め、バーニーがグラーフを逃がしてしまうが何故?
B4人が最初に顔を合わす際、卍のマークの一部を書くローランだが、事前に知っていたのか?
【粗筋】まず、IMFはチューリッヒの空港でポール・ヴォン・シュネールを捕まえ、マクシミリアンの銅像で正午に会合があることを掴む。ローランがシュネール になりすまし、グラーフ、ウォルフ、ブルーカーの三人と会う。グラーフがリーダー格で、ローランに銀行の口座番号を言えと銃で脅かす。ローランは知らないの でその場をうまく切り抜けるが、口座番号を知る必要があるとダンに伝える。ダンはルーベン教授を呼び、シナモンを伯爵夫人に仕立て、銀行の支配人クー デリーをパーティに呼んで、睡眠薬を飲み物に入れて催眠術で口座番号を聞き出す。しかし、ローランは外出することもできず、ダンからの電話も盗聴されて いるため、口座番号を聞くことが出来ない。翌朝、エレベーター内でバーニーより口座番号の書かれたマッチを受け取り、四人は銀行へ向かう。口座番号を 言うと、クーデリーは封筒を持ってくるが、中にはわずかなお金しか入っていない。だが、封筒にはマイクロフィルムが貼ってあり、一同の懐中時計のガラスを 重ねると地図らしきものが見えてくるのだ。ローランは時間稼ぎのため、時計をなくしたと偽って、ダンにその地図の内容を報告する。それにローランの時計 のガラスを重ね合わすと、グライノー墓地と判明し、現地に急行する。シナモンが現地警察を呼び、時計盗難の件でグラーフらを足止めにする間、IMFはエ バ・ブラウンの墓地を発見し、中を調査するが、何も見つからない。そこへグラーフらも到着し、銃撃戦となり、ダンが胸に狙撃されて負傷してしまう。グラーフ の弾がなくなったところをローランが飛びついて喉元を締め付ける姿に、バーニーは殺してしまうぞと叫び、ウイリーが止めに入る。バーニーが消え失せろと言 って、グラーフはお咎めなしで逃がされるが、その後に、ナチスの隠し資産を発見するのだった。
【解説】「スパイ大作戦」が作られたのは、第二次世界大戦が終わって20年の歳月が経っていたが、かつてのヒトラーが率いたナチスをモチーフにしたエピソ ードが何回か登場する。お国柄の違いもあるかもしれないが、「スパイ大作戦」の脚本家たちは余程当時のナチスに脅威を抱いていたに違いない。このエピ ソードは、ナチスものでも出来がよく、「新スパイ大作戦」でリメイクされている。
 ナチスの莫大な隠し遺産が、元幹部の息子たち四人に引き継がれるが、一人ではなく四人が集まらないと、隠し場所がわからないという設定がストーリー を面白くする。ほとんど、事前情報がないまま、IMFはそのうちの一人ポール・ヴォン・シュネールを空港で捕らえ、ローランがシュネールになりすまして残り の三人と会う。リーダー格のグラーフとローランは常に反目し、銀行の口座番号を知る必要があるとダンに報告する。
 IMFは銀行員クーデリーをパーティに招待して、飲み物に睡眠薬を入れて催眠術でナチスの口座番号を聞き出そうとする。催眠術は専門医を招いて行う が、この時はまだ、ローランは催眠術を体得していなかったようだ。後のエピソードではローランが催眠術を披露するものがある。ローランが、「生贄」の任務 中、敵がエレナに催眠術を使ったのを目の当たりにし、何とかIMFにも取り入れたいと思ったかどうかはわからない。
 クーデリーはナチスに関係のある12桁の口座番号を催眠術にかかり吐いてしまうが、普通、どんなに優秀な銀行員でさえ、顧客の銀行口座番号をいちい ち覚えているものかという疑問が残る。銀行口座にはわずかな現金しか入っておらず、たとえ、その口座番号がナチスに関係があるとクーデリーが知ってい たとしても、話があまりにも出来すぎている。
 翌日、ローランら四人が銀行を訪れ、クーデリーの前で四人がそれぞれ記憶に叩き込まれている数字を言う。四人の順番もあらかじめ決まっていたようだ。 クーデリーは封筒を持ってきて四人に見せるが、現金はほとんど入っていない。しかし、マイクロフィルムを見つけ、各人が持っている時計のガラスを重ね合 わせると、遺産のありかがわかるという筋書きである。ローランは時計を失くしたと偽って時間稼ぎをし、ダンに報告して遺産のありかを突き止めて先回りをす る。しかし、遺産が見つからず、そこへグラーフらも到着して銃撃戦となり、ダンが胸に銃弾を受けてしまう。IMFのリーダーが銃弾を受けるのはこれが初めて のことである。
 グラーフの銃の弾が切れるや、ローランはグラーフに飛びかかり首を締め付けるのだが、その姿にバーニーが殺してしまうぞと叫ぶと、ウイリーがローランを 引き離すのである。バーニーが消え失せろと言うと、グラーフは何のお咎めなしで逃がされる。いつも冷静なローランが珍しくエキサイトしたのは、リーダーの ダンが狙撃されたことによるものだろう。何とも上司思いの部下である。しかし、敵の悪漢がIMFのお咎めなしに解放されるのは珍しいシーンである。恐らく、 彼らは憎むべきナチスの後継者かもしれないが、ナチスの犯した罪は彼らには関係ないと判断したに違いない。
 それと、怪我の功名というか、敵の外れた弾丸が墓の建物に当たり、それが純金でできていることが判明する。IMFは3億ドル以上するというナチスの遺 産を発見することができるが、その後、その遺産がどうなったかは劇中語られない。また、右胸に銃弾を受けたダンが助かるのかどうかも視聴者には知らさ れず、その結果については1週間待たなければならないのだ。


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