スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



18 シンジケートをばらせ The Frame
【目的】四人の政府の要人を殺害したシンジケートのボスの意図を粉砕すること
【指令】おはよう、ブリッグス君。これはそれぞれ政府の要人が事故によって命を失った時の現場写真である。これら国会議員二人、州最高法務官二人の死 には共通点が一つある。いずれの場合もその後任者が犯罪組織に対して何らかの形で媚態を示す点である。あらゆる合法的事業に手を染めたシンジケート は、今や政界にまで食い込んできたわけだ。これは合衆国のシンジケートを率いるジャック・ウェルマンの頭脳的所産であり、今のうちにくい止めなければな らないのだが、表だっては彼に指一本触れることもできない。
 そこで君の使命だが、ジャック・ウェルマンの意図を粉砕することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切 関知しないからそのつもりで。なおこのフィルムは、この機械を止め次第消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: アレン・マイナーAllen Miner
【ゲスト出演】
ジャック・ウェルマン:サイモン・オークランド(阿部徹)Simon Oakland as Jack Wellman
ティノ:アーサー・バタナイズ(千葉耕市)Arthur Batanides as Tino
フランク・ベイツ:ジョー・マロス(森山周一郎)Joe Maross as Frank Bates
ヴィトー・カルーソ:ジョー・デサンティス(池田忠夫)Joe DeSantis as Vito Scalesi
アル・スーチェック:モート・ミルズ(大塚周夫)Mort Mills as Al Souchek
【場所】@指令(媒体):職業紹介所で職能試験を受けるブリッグスだが、試験の後に指令のフィルムが現れる
A舞台:アメリカ国内
【役割】ダン:カルロ(イタリア人料理長)
ローラン:耳の不自由な給仕
シナモン:ジャックの愛人(絵の裏に金庫をつくる)
バーニー:地下室の金庫を開ける工作
ウイリー:コック
ティノー:料理支配人
【道具】@ドリル・ガスバーナー等:金庫を上から開ける道具一式
A筒状の爆薬とコード線と起爆装置
Bスポンジ状立方体の消音器具:爆破の衝撃を吸収し音を抑える
C金庫の金属の蓋部分を持ち上げる器具一式
D偽の金庫:シナモンが2階のジャックの部屋に作る
【削除】(10分10秒)シンジケートのメンバーが新聞記事が派手だとジャックを非難する
(11分50秒)ジャックが金を儲けるということでメンバーを説得する
【見所】(13分00秒)ローランの耳が聞こえるかヴィトーが試し撃ちをする
(18分30秒)ダンが2階へ通じる階段にいるところをジャックに見つかるが、ティノーがうまく切り抜ける
(22分20秒)ヴィトーがシナモンを発見し、ジャックの愛人と思い込む
(29分50秒)子羊の丸焼きに火をつける音と同時に金庫の爆薬を爆破する
(33分00秒)ジャックが地下に降りるところをローランがバーニーに合図する
(43分10秒)シンジケートのメンバーが金庫室の中のトランクに金がないことを発見する。
(46分30秒)2階のジャックの部屋で絵の裏に金庫があることが発見される
(47分50秒)シナモンを逃がした後、金庫を開けろとジャックに命令するヴィトーだが、その後銃声が響く
【疑問点】@IMFが盗んだ大金の行方については語られていない
【粗筋】シンジケートの幹部達の集まる日で、近々ボーナスの分配日があるということを掴み、それを利用する作戦をとる。ジャックの屋敷に住みこんでいる老 夫婦をうまく田舎に帰らせ、ティノーの店ごとジャック宅へ出前調理の形で任務が遂行される。ダンはイタリアンコック、ウイリーはその助手、ローランは耳の 聞こえないウェイターという役割である。シナモンはうまく2階のジャックの部屋に侵入して秘密の金庫を作り、バーニーは地下金庫を上から破ろうと工作す る。そして、ローランが故意にスープをヴィトーにこぼし、2階へ行くよう仕向ける。ヴィトーが着替えをしているところ、シナモンが発見され、ヴィトーにジャック の愛人と思い込ませるのだ。メインディッシュの子羊の丸焼きに火をつけると同時にバーニーは金庫の上壁を爆破し、後は金属部分をバーナーで焼き切り、 ダンとバーニーは金庫内のトランクに入っている現金すべてをビニール袋に入れ、バーニーが持ち出す。ダンは金庫内を掃除すると言って残る。そこへ、食後 の一杯を酒蔵でということでシンジケートの四人が地下に降りてきて、ダンは金庫の上に隠れるのだ。ダンが遅いことを心配するIMFのメンバーであるが、ダ ンが逃げる前にジャックが金庫室を開け、トランクの中に現金がないことをシンジケートのメンバーに気づかれてしまう。ジャックは盗まれたといい訳をし、屋敷 には自分と老夫婦の三人しかいないと言い訳する。ヴィトーはシナモンのことを思い出し、2階へ皆を連れて行く。シナモンはジャックの愛人を装い、ジャック は否定するが、ヴィトーが金をどこに隠しているかという問い詰めに、シナモンは絵を示唆するような目配せをして、絵の裏に金庫があることが発見される。ジ ャックはすべてを否定するものの、自分の部屋にある金庫なら開けてみせろとヴィトーに銃を突きつけられ、シナモンは釈放される。IMF全員が揃ったところ で、屋敷の中で銃声の音が響くのであった。
【解説】シンジケートの大物ボスであるジャックの屋敷にいる老夫婦を田舎に帰らせて、そこへティノーの店ごと出前調理の形態で任務が遂行される。IMFメ ンバーの役割のキャラクターが面白く描かれている。店長のティノーは臆病で神経質、ローランは耳の聞こえないウェイター、ダンは純真でのんびりとしたコッ クを演じる。また、シナモンはジャックの秘密の愛人を装い、黒い下着姿でお色気たっぷりである。
 シナモンは2階のジャックの部屋で、ドリルでぐりぐりと壁に穴を開けて、偽の金庫を埋め込む。バーニーは地下にある酒蔵の金庫の上から大きな穴を開け る工作をする。ローランが故意にヴィトーにスープをこぼし、着替えをさせるように仕向けてシナモンを発見させる。ジャックが料理を急かす中、子羊の丸焼き にフランペする音とともに、バーニーは金庫の上壁を爆破し、バーナーで金属部分を切り取ってダンとともに金庫の中に入ってお金を根こそぎ盗むのだ。ダン が後片付けしていると、シンジケートの四人が酒蔵に来てしまい、金庫の中の金がなくなっていることに気がつく。シンジケートの三人はジャックが横領したと 疑う中、ヴィトーはシナモンのことを思い出し、シンジケートメンバー四人とシナモンの対面となる。シナモンはジャックの愛人を装い、絵の後ろに隠し金庫が あるのを目配せし、ヴィトーは否定するジャックに自分の部屋にある金庫なら開けて見せろと銃を突きつけ、そのまま射殺してしまう結果となる。
 IMFの陰謀によりシンジケートのボスをうまく陥れるのだが、それにしても、大物ボスの割には、屋敷に手下や用心棒の姿が一人もいないのは不思議な気 がするし、シナモンも一歩間違えれば、命が危なかった。たまたま、ヴィトーが女性に優しかったからよかったものの、ジャックが先に銃を一味に向けていた ら、恐らくシナモンは殺されていただろう。
 このエピソードの原題"The Frame(フレーム)"には、"額縁"と"罠"の二つの意味がかけられているそうだ。絵の裏に隠し金庫があるという設定は、今後も 「テレビ中継車」などのエピソードでも、本シリーズに幾度か登場するお馴染みのシーンになっている。敵は隠しているつもりでも、何度も見せつけられる視聴 者にとっては、隠し金庫が隠し金庫でなくなるという皮肉な結果になってしまうものだ。


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