スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



19 ダイヤモンド作戦 The Diamond
【目的】アフリカの小国の首相の計画をくい止め、ダイヤモンドを発見者たちの手に返すこと
【指令】おはよう、ブリッグス君。今君が見ているのはヘンリック・ダルヴァードといって、アフリカの小さな国ロンブワンダにおいて権力を握り、自らその国の首 相を名乗る人物である。ダルヴァードの政治はまったくの独裁で、学校も造らず病院も建てず、しかもロンブワンダの200万国民はいつも飢えに苦しんでいる という有様だ。最近土着民たちが、国内のあるところでダイヤモンドを発見したが、天然ダイヤとしては世界最大2万7000カラット近くあり、価格にして3億ド ルはするだろうともっぱらの噂である。首相ダルヴァードはこのダイヤを発見者たちの手から取り上げ、それを売却しその金で領土を広げようと計画している。
 そこで君の使命だが、ダルヴァードの計画をくい止めダイヤモンドを発見者たちの手に返すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あ るいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープはただちに処分してくれたまえ。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本 ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: ロバート・ダグラスRobert Douglas
【ゲスト出演】
ダルヴァード首相:ジョン・ヴァン・ドレーン(大木民夫)John van Dreelen as Prime Minister Henrik Durvard
ヴァン・ミル:ハリー・デーヴィス(武内文平)Harry Davis as Hans Van Meer
マックラウド:アイヴァー・バリー(中村正)Ivor Barry as Ian McCloud
ヘンクス:ウッドロー・パーフレイ Woodrow Parfrey as Henks
ピーターズ:ピーター・ボーン Peter Bourne as Peters
【場所】@指令(媒体):ダグラスビルディングの一室で、"フランクリン・ルーズベルトFBR"が合言葉になっており、机の中にオープンテープレコーダーがあり、 薬品で溶かして処分する
A舞台:ロンドン→アフリカのロンブワンダ
【役割】ダン:ダイヤモンド複製に成功した技師(首相に裏取引を持ち掛ける)
ローラン:ダイヤモンドのバイヤー(50万の商売を首相に持ち掛ける)
シナモン:ダイヤモンドのバイヤー(50万の商売を首相に持ち掛ける)
バーニー:強盗→ホテルのルームサービス係→ダイヤのすり替え工作
ウイリー:強盗の運転手→ダイヤのすり替え工作
ヴァン・ミル:ダイヤモンドの専門家
【道具】@カメラになっている拡大鏡
A催眠ガス
B偽物ダイヤモンド:本物ダイヤと瓜二つ
Cウルトラハンドと反射ミラー:首相のダイヤモンドを偽物とすり替える
Dダイヤモンド製造マシン
E機械の修理のやりとりを録音したテープ
【削除】(04分00秒)アパートでダイヤモンドを見て、IMFのメンバーが絶賛する
(15分40秒)バーニーがルームサービス係としてウイリーのいる部屋に入る
【見所】(09分30秒)車の中で強盗にシナモンがダイヤ装飾品を全部奪われる
(14分40秒)ヴァン・ミルによる偽物ダイヤモンドの完成
(24分10秒)ウルトラハンドで首相のダイヤモンドを盗み、偽物ダイヤモンドを首相に持たせる
(27分00秒)マックラウド警部がシナモンに盗難のあったダイヤモンドが見つかり持ってくる
(30分50秒)ダイヤモンド製造マシンが登場し、例のダイヤモンドを複製することになる
(34分40秒)二つあるダイヤのうち一つを壊すローランに気でも狂ったのかと怒る首相
(39分10秒)ダイヤモンドの合成法は私の秘密とダンは首相らを退室させる
(45分20秒)27000カラットのダイヤモンド奪取に成功する
【疑問点】@首相に対してIMFメンバーが全員本名を名乗って取引きしている。
A催眠ガス放出の際、バーニーとウイリーはマスクをつけていないが大丈夫なのか?
Bラストシーンでドーンと大きな音がするが、テープの音なのか、ダイヤモンド製造マシンを爆破したのか画面で確認できない。
【粗筋】ロンドンでのダイヤモンド入札会に乗り込んだシナモンとローランは、入札せずに入札額に50万ドル色をつけるので、その後のダイヤをすべて買わし てもらうという条件を首相に提案する。気をよくした首相は、翌朝再び会うことを約束する。豪華なダイヤモンド装飾品を身につけたシナモンであるが、それが 全部本物であることを首相に知らしめるために、バーニーとウイリーが強盗を装ってシナモンから装飾品を全部奪ってしまう。そして、ダイヤモンドの専門家ヴ ァン・ミルによる偽ダイヤモンドが完成し、バーニーとウイリーは首相が宿泊しているホテルの隣の部屋から、コンセントをはずして催眠ガスを放出する。見張 りを眠らせた後、器具を使用して本物のダイヤモンドを偽物とすり替える。偽ダイヤモンドを見てそっくりだと本物を見たウイリーは感心する。翌日、首相は警 察より戻されたシナモンの二つのダイヤを見て、全く瓜二つであることに驚き、ダンはダイヤモンドの複製に成功したと思わせるのである。そこで、ダンは首相 にダイヤモンド製造マシンを見せることにし、早速、首相はロンブワンダに運ぶように指示する。IMFが現地に着くと、工場でなく捕虜収容所ですねと皮肉る ダンに対して、首相はここからは私の許可なくては出られないと脅すのだ。そして、首相がロンブワンダダイヤと言って27000カラットのものを持ち込んでマ シンにセットする。バーニーがマシンの後方からダイヤを盗んでウイリーに渡してトラックに積む。後は機械が異常になっていると見せかけ、修理する会話の やりとりのテープを流して、ダンらはトラックに乗って逃走する。IMFが逃げ去った後にマシンが大爆発する大きな音が鳴り響くのであった。
【解説】このエピソードでは、ダイヤモンド製造マシンという大掛りなIMFの秘密兵器が登場する。もちろん、本物のダイヤモンドなんか製造しないインチキマシ ンである。それをいかに本物らしく見せるために、IMFは数々の作戦を打ち出す。
 まず、ローランとシナモンはダイヤモンド入札会で、入札しないで50万ドル上乗せするから、今後のダイヤモンドの取引を独占したいとダルヴァード首相に 申し入れる。そして、首相の目の前でシナモンが車中で襲われて、ダイヤモンドの装飾品を根こそぎ強奪されてしまう。その夜、バーニーとウイリーは、首相 の泊まっているホテルの隣室から催眠ガスを注入して、柄の長い器具を用いて首相の高価なダイヤモンドを偽物とすり替えてしまう。この時に使われた器具 は、今後も「スパイ大作戦」で何度も登場し、日本でも名前をはっきり覚えていないが、確か「ウルトラ(マジック)ハンド」という名称で玩具として発売された。
 翌日、首相はシナモンの二つのダイヤモンドが瓜二つであることに驚き、ダイヤモンドの複製に成功したと確信させ、ダンがインチキ製造機を首相に見せる と、早速自国に運ぶように指示をする。現地にセットされたダイヤモンド製造機を見て、首相は27000カラットの原石を持ち込んでマシンにセットするや、バー ニーがマシンの後方から盗んでウイリーに手渡し、修理の対応をしているテープを流して、IMFが逃げ去った後、インチキマシンは大爆発を起こすのだ。入念 な偽装工作が物の見事にはまり、最後に爽快感が残るエピソードだ。
 それにしても、首相に対してダンを始めIMFメンバーが全員自分の本名を名乗っているが、どうしてか疑問が残る。「スパイ大作戦」に登場するIMFメンバー はいつも偽名を使うのである。それは、敵の悪漢からの復讐を防止する効果があると思われる。しかし、今回の使命のような大掛りな詐欺事件に対して、相 手の悪漢は健在であり、この後一生懸命になって探すはずである。そのことを考えると、本名を名乗ることは得策でないような気がする。時には、「暗殺者レ ディキラー」のシナモンが相手のスパイに本名を名乗って自らスパイであることを告げる作戦もあるが、この時は、相手のスパイが切れ者で、あらかじめシナ モンの正体がスパイだと知らせた方が接近しやすいということと、後で正体がばれた時のリスクを考えてそのような作戦にしたと思われる。


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