スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



20 第四帝国を阻止せよ The Legend
【目的】ナチの亡霊どもの企みである第四帝国の建国を未然に粉砕すること
【指令】おはよう、ブリッグス君。写真の老人はヘルベルト・レイノール博士といって、ヒトラーの国家社会主義政党の熱烈な党員だった人物だ。そのため彼は 戦後20年間ベルリン郊外の刑務所に入っていたが、近く刑期を終えて出獄の運びとなった。そして出獄と同時に博士は、匿名のスポンサーから送られた往 復切符により、娘といっしょに南米のポルタウベラに飛ぶことになっている。情報によれば、ポルタウベラにはレイノール博士のほか数名の旧ナチの幹部たち が向かっており、その匿名のスポンサーは、彼らを一堂に集めて再びナチの芽を世界に植えつけようとしているらしい。
 そこでブリッグス君。君の使命はこれらナチの亡霊どもの企みを未然に粉砕することにある。例によって君または君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺さ れても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音テープはあと10秒で自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: マン・ルービンMann Rubin
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: リチャード・ベネディクトRichard Benedict
【ゲスト出演】
フリードリッヒ・ルッド:グンナー・ヘルストーム(浦野光)Gunnar Hellstrom as Frederick Rudd
ヴォン・クラム将軍:ジーン・ロース(高塔正康)Gene Roth as General von Cramm
クライスター提督:ベン・ライト(吉沢久嘉)Ben Wright as Kleister
フリック男爵:ポール・ジェンジ(北山年夫)Paul Genge as Frick
エックハルト:ラリー・ブレイク Larry Blake as Eckhart
【場所】@指令(媒体):あるビルにある調整中のエレベーターの中にあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:南米のポウタウベラ
【役割】ダン:レイノルド博士に変装
ローラン:屋敷の爆破工作→指揮官マルティン・ボールマン
シナモン:フローラ(レイノルド博士の娘)
バーニー:屋敷の爆破工作
【道具】@酸素マスク:シナモンが枕を燃やして火事騒ぎを起こし、煙を吸わないように使用
A爆破装置と再生装置:ルッドの屋敷の近くで使用
Bヒトラーと一緒に写っているダンとシナモンの写真
【削除】(02分10秒)指令を聞き終わった後、ダンと掃除夫との会話
(32分00秒)一同がミーティングの場面からルッドが指揮官の部屋に入ってローランが隠れる迄
【見所】(08分00秒)ルッドの案内により指揮官と対面するダンとシナモン
(11分40秒)ダンが指揮官の部屋に忍び込むが、門に強い電流が流れていて失敗する
(18分20秒)一同がヒトラーの映像を見ているのにダンがいないことを不審に思うルッド
(21分00秒)指揮官が人形であることを発見するダン
(34分00秒)指揮官が車椅子に乗って一同が昼食をとっているところへ話しかける
(36分20秒)ローラン扮する指揮官に一同敬意を表し、ルッドだけが非常に驚く
(47分20秒)ルッドが指揮官は人形で自分が指令を出していたと告白するが一同に無視される
【疑問点】@ナチス再興の要人が数名集まっていたが、ルッドがいなくなったことで本当にナチスの脅威は消滅したのか?ルッド以外の他の要人はお咎めな しである。
【粗筋】匿名の手紙により、レイノルド博士とその娘に扮したダンとシナモンは南米のポウタウベラに飛ぶ。そこでルッドより匿名の主は指揮官であるマルティ ン・ボールマンと知らされるのだ。まず、シナモンに火事騒ぎを起こさせ、その隙に指揮官の部屋に侵入するダンだが、門に強い電流が流れていて失敗して しまう。ダンは誰も警備兵がいなくて総統にもしものことがあったら大変とうまくルッドに弁解する。次の作戦は、ローランとバーニーが屋敷の外で爆破騒ぎを 起こす間に、再び指揮官の部屋に侵入するダンは、指揮官が軍服を着たマネキン人形であることを発見し、指揮官の声はテープに録音されたものであること に気がつく。これは意外な結果であり、作戦の変更をしなければならなくなる。そこで、第3の作戦はローランが密かに屋敷に侵入する。ルッドは指揮官の存 在をアピールするため、指揮官を車椅子に乗せて、昼食中の一同に激励の言葉を送るのである。これを見て一同が翌日出発ということで、再度指揮官と会っ て挨拶をしたいとルッドに要求するが、そこへローラン扮する指揮官が現れ、一同は指揮官に敬礼する中、ルッドだけは驚くとともに反抗的な態度を取り、一 同のひんしゅくを買ってしまう。部屋に戻ったルッドはシナモンにローランのことをマルティン・ボールマンじゃないと言い、ベッドの上にいるマネキン人形を指 差す。そして、シナモンは実弾の入っていない拳銃をルッドに渡して、ルッドはローランのところに戻る。一同はローランに敬意を表し誰もルッドの言うことは聞 かない状況下、ローランがルッドの計画を無視する指令を出すのだ。これに怒ったルッドはローランに発砲し、ダンが指揮官は死んだと告げ、二人で埋葬する からとローランを運ばせる。そして、皆に警察が来るから早く退散した方がいいと言う。その後、ルッドはすべてを告白し、自分を総統にしてくれと皆に頼むの だが、誰も聞く耳を持たずに去っていくのであった。
【解説】このエピソードもナチスの脅威をテーマにしている。ダンが初めて変装に挑戦するが、全くの別人ではなく、年が20歳ぐらい老けた顔にメークするだけ で、あまり冴えないものである。この変装でダンは、ヒトラーの熱烈な支持者で20年も服役した人物に扮し、シナモンはその娘という設定である。そして、匿 名の手紙により旧ナチの幹部が集まる南米に向かい、第四帝国の建国を企てる会議に潜入するのだ。
 南米の秘密の屋敷では、マルティン・ボールマンという指揮官がおり、彼が匿名の手紙の発信者ということがわかる。ここで、IMFは三つの作戦を実施す る。まず、シナモンの火事騒ぎの隙にダンは指揮官の部屋に侵入を試みるが、門に強烈な電流が流れており、ダンは感電してしまい失敗に終わる。次は、 ローランとバーニーが屋敷の外で爆破騒ぎを起こした隙に、ダンは再び指揮官の部屋に侵入を試みるが、何と指揮官がマネキン人形であり、作戦の変更を 強いられる。もし、指揮官が人間だったら、ダンが何をしようとしたのかは、明らかにされないが、ナチスの夢を粉砕するには、指揮官殺害が手っ取り早い方 法であろう。
 そして、第3の作戦はローランが屋敷に侵入して、人形であるマルティン・ボールマンに扮するというものだ。ルッド以外の幹部たちは、マルティン・ボールマ ンが人形であることを知らないので、皆ローランの姿を見て敬礼する。しかし、ルッドだけは驚くだけでショックのために口も利けない。ローランの正体を明らか にすると、自分の詐欺を暴露することになってしまう。ローランに反抗的な態度を取るルッドに一同の視線は冷たい。これを逆撫でするように、ローランはルッ ドの発表した作戦をことごとく否定してみせる。これに切れたルッドはシナモンが渡した実弾の入っていない銃をローランに撃ち、ダンは指揮官が死んだと偽 装するのだ。
 ダンは他の幹部にやがて警察が来るから早く退散した方がいいと促すと、ルッドはすべてを告白し始める。しかし、マルティン・ボールマンが人形で、全部 自分が指揮をしていたと言っても、また、"自分を総統にしてくれ"と頼んでも、誰も聞く耳を持たずに退散するのだった。ローランのマルティン・ボールマン登 場で、ナチスの再興とルッドの野望は完全に打ち砕けるのであったが、他の幹部たちはお咎めなしで解放される。IMFは彼らがナチスを再興するだけの力が なく、おまけに高齢であることを考慮したものと思われる。
 ところで、このエピソードの大半が、ルッドとマルティン・ボールマンのいる南米の秘密の屋敷内か庭先のシーンで占められる。恐らく、野外撮影がほとんど なく、大半はスタジオ内で撮影され、秘密兵器も大掛りなものは登場しないことから、低予算で作られたに違いない。また、敵の詐欺や騙しのトリックを逆手 に取るIMFの手法は、場面こそ違うが「武器弾薬を渡すな」で敵がトランプに印をつけていることを逆手に取って大金を手にしたのと同様の手法である。この 時の敵の心理は、何とかIMFのイカサマを暴露したいが、それをすると自分のイカサマも明らかにしなければならないので我慢する。これは、見る者にとって も非常に楽しめるので、今後もこの手法は幾度となく登場する。


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