スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



21 テレビ中継車 The Confession
【目的】上院議員暗殺を共産国容疑者に依頼した黒幕を突き止めること
【指令】おはよう、ブリッグス君。右手の写真はアンドレア・ソロウィックといって合衆国へ来た共産圏通商使節団の一人である。そして昨日、ソロウィックは上 院議員ウィリアム・タウンゼン暗殺容疑で逮捕された。このためタウンゼンを支持していた反共の急先鋒R・J・マクミランは共産圏との関係を一切断つべしと 気勢を上げているが、今共産圏との外交を打ち切ればただちに冷戦に火がつくのは明らかだ。ソロウィックは本国の命令でやったと言っているが、当局はそ うではないと確信している。
 そこで君にこの当局の確信を立証してほしいのだ。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつ もりで。なおこのテープは直ちに処分してくれたまえ。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: ハーシェル・ドーハティHerschel Daugherty
【ゲスト出演】
マクミラン:パット・ヒングル(木村幌)Pat Hingle as R.J. McMillan
ソロウィック:デヴィッド・シャイナー(横森久)David Sheiner as Andreas Solowiechek
タウンゼン上院議員:ケント・スミス(早野寿郎)Kent Smith as Senator William Townsend
副官:ジェームズ・ガヴィン James Gavin as Deputy
警備兵:ビフ・エリオット Biff Elliot as Guard
主人:ロバート・B・ウィリアムス Robert B. Williams as Proprietor
【場所】@指令(媒体):フォトギャラリーで"20と25のツヤケシ"と言ってダンは暗室に入り、オープンテープを暗室内の容器に投入して溶かす
A舞台:アメリカ国内
【役割】ダン:州知事に扮してマクミランに電話→マクミランの肖像画を描く画家
ローラン:ギブソン(ソロウィックと同居する囚人)
シナモン:ミスワールド誌の記者(マクミランにインタビュー)
バーニー:弁護士(ローランに拳銃を渡す)→中継車の準備
ウイリー:カメラマン→脱走の二人を乗せる運転手→中継車の準備
【道具】@本:切り抜いてローランが中に拳銃を隠す
Aマクミランの肖像画:上塗りをはがすと現れる
B絵の具箱に仕込んだテレビカメラ
Cテレビ中継車:映像を全米に放映する
【削除】(02分10秒)指令受領後のフォトスタジオでのダンの会話
(19分30秒)看守が着替えを持ってきた後、ローランはソロウィックに脱走計画を話す
【見所】(10分30秒)ローランを嫌がって看守に出してくれと頼むソロウィック
(14分20秒)拳銃を見てソロウィックが大騒ぎをして看守を呼ぶが、ローランは拳銃を突きつける
(25分20秒)裁判所へ護送中にローランとソロウィックが脱走する
(32分40秒)ソロウィックが脱走という知らせがマクミランに電話が入る
(35分00秒)暗殺は本国の命令でないと告白するソロウィック
(36分30秒)ソロウィックは暗殺を頼んだのはマクミランと白状する
(40分00秒)黄色をキャンバスに塗って緑色になるのを不思議がるマクミラン
(42分30秒)中継車のスイッチが押され、ソロウィックがマクミランの指示で暗殺と告白する
(45分30秒)死んだはずのタウンゼンが登場し、皆びっくりする
【疑問点】@車から脱走前にローランが看守から奪った手錠の鍵が折れたのは演技か?
【粗筋】タウンゼン上院議員殺害容疑でソロウィックが逮捕された時、8万ドル所持していたことから、本人は本国の指令でタウンゼンを暗殺したと言っている が、とても共産主義国では払えぬ額である。IMFは誰がお金を出したのかを探ることになる。まず、ローランが囚人としてソロウィックと同じ監房に入って、徹 底的にいじめる。一方、シナモンはマクミランを取材し、州知事に扮したダンの電話でタウンゼンの後任者という内示が伝わる。これを聞いていたシナモンは 独占取材にしたいと、肖像画の手配をするのである。裁判所に護送される途中で、ローランとソロウィックが護送車より脱走する。そして、ローランがソロウィッ クに大使館にパスポートを2通手配するように頼む。シナモンは肖像画家のダンとともにマクミランを訪ね、肖像画を描くふりをして、絵の具箱に隠しカメラをセ ットする。ローランはソロウィックより暗殺を依頼したのはマクミランであることを聞き出し、二人はマクミランの事務所へ向かう。そして、二人が到着するやテレ ビ中継のスイッチが押され、ソロウィックがマクミランに頼まれて暗殺をし、報酬として10万ドル受け取ったことを告白するが、マクミランはこれを否定するので ある。絵の裏に金庫があるというソロウィックの証言もあり、ローランは20万ドル欲しいと言い、マクミランが金庫に手をかけると、背後から銃を持って死んだ はずのタウンゼンが登場するのだ。二人を殺せと言うタウンゼンに対し、ローランがテレビをつけてみろと促すと、テレビですべてが全米に放送されていること を知る悪者二人であった。
【解説】パイオニアのLD−BOXでは「テレビ中継中」というタイトルで収録されているが、「テレビ中継車」で放送されたこともあるようで、後者を採用した。私 の記憶の中でも「テレビ中継車」と覚えている。
 このエピソードでは、どんなに絵を描くのが下手な人でも天才画家になれる小道具が登場する。それはあらかじめモデルの肖像画を描き、その上に白いペ ンキのような薬品を塗って、白地のキャンバスのように見えるが、実はその薬品をブラシでなぞると、薬品が溶けて下に書いてあった絵が現れるというもので ある。
 タウンゼンを暗殺した共産国のソロウィックが逮捕時に大金を所持していたことより、IMFは米国内に黒幕がいると睨む。ローランが同室の囚人として潜入 して、ソロウィックを徹底的に苛め抜く作戦を取り、手錠をお互いにつけたまま脱走する。そして、暗殺を依頼したのはマクミランだということを聞き出す。
 シナモンはマクミランの独占取材をして、肖像画が必要ということで、画家に扮するダンが魔法の絵を持ち込んで、絵の具箱にテレビカメラをセットする。そし て、ローランとソロウィックがやってきてテレビ中継が流され、マクミランに頼まれて10万ドル受け取ったと証言するのだった。さらに、そこへ暗殺されたはず のタウンゼンが銃を持って登場し、IMFのメンバーも驚くのだ。
 確かに悪漢の会話のやり取りをテレビで生中継するのは大胆な作戦だが、万一、失敗したら目もあてられない程の大失態となってしまう。余程IMFに自信 があったからそのような作戦を取ったのだろう。現代では、同様な作戦を取るのなら間違いなくビデオカメラを回すのが順当な作戦だろう。なお、ソロウィックと いう悪漢の名前の由来は、当時、デシル・プロダクションの副社長のハーバード・ソローをもじったものである。


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