スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド1



22 セシューム138 Snowball in Hell
【目的】安い核兵器製造の鍵となるセシュームと、刑務所長の頭の中にある化学式を処分すること
【指令】こんばんは、ブリッグス君。写真はボラドール。過去200年間残虐をもって聞こえた悪名高い刑務所である。5年前に閉鎖されるまでここの所長として 君臨していたこの男はジェラード・セフラ。今もって当時の看守とともに居残っている。所長はセシューム138とその化学式を持っており、もっとも化学式は所 長の記憶の中にあるが、とにかくその二つをできるだけ高く売りたがっている。セシューム138というのはコストの安い核兵器製造の鍵となる物質なのだ。
 君の使命はこのセシュームと、所長の頭の中にある化学式を処分することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当 局は一切関知しないからそのつもりで。このテープはあと5秒で消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ジュディス&ロバート・ガイ・バローズJudith and Robert Guy Barrows
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: リー・H・カッツィンLee H Katzin
【ゲスト出演】
ジェラード・セフラ:リカルド・モンタルバン(家弓家正)Ricardo Montalban as Gerard Sefra
ドクター・コロネン:エミール・ジェネスト(高塔正康)Emile Genest as Dr. Kronen
ラフ:ウォーレン・ケマーリング Warren Kemmerling as Raff
ファウド:スティーヴ・マーロ Steve Marlo as Faud
【場所】@指令(媒体):電話ボックスの中でコインを入れてダイヤルを回すと、電話機の下部にテープレコーダーが入っている
A舞台:ボラドール
【役割】ダン:地下道に入って刑務所内に侵入して発電機を壊す
ローラン:ブラントン(雑誌社の記者)→病院の冷蔵室に侵入(白衣に着替えてセシュームを冷却装置に入れて病院から持ち出す)
シナモン:リン・カーリン(刑務所近くの病院に雇われた看護婦)
バーニー:ピエール・グリロー(カメラマン・元脱獄囚ジョン・ポール・ジャクソン)
ウイリー:地下道に入って刑務所内に侵入して発電機を壊す→冷却装置を所長めがけてセット
【道具】@動く冷却装置:COOLとHOTの切り替えスイッチがついている
A発信機:コンパスが地下で使えるようにする
【削除】(20分30秒)セフラ刑務所長がラフに二人の取材の様子を聞く
(31分00秒)セフラ所長がバーニーに鞭を振るって拷問をする
【見所】(11分50秒)セフラ所長が来て監房の秘密の通路から慌てて戻るバーニー
(17分20秒)ローランが即席の演技指導をすると主役ともなると厳しいよと冗談言うバーニー
(23分00秒)ジョン・ポール・ジャクソンとバーニーは脱獄囚だとセフラ所長に告げる
(30分50秒)ダンとウイリーが発電機に黒蜜を入れて壊す
(35分10秒)気分が悪いので医者に見せてくれと言うバーニーに、セフラ所長は病院に運ぶことを思いつく
(37分40秒)セシュームを病院の冷却倉庫に持ち込むセフラ所長
(43分00秒)刑務所に持ち帰りセシュームの瓶が空になっているのに気づくセフラ所長
(48分10秒)秘密の通路にて冷却装置が近づくのを見てニコリとするセフラ所長だが、その後大爆発が起こる
【疑問点】@IMFは事故に見せかけて直接セフラ所長を殺害している。今までは部下に殺すように仕向けるという手法はあったが、本エピソードは明らかに殺 人ではないか?
【粗筋】作戦を実施する前に刑務所の構造に詳しい人物で元脱獄囚のジャクソンを探す必要があり、バーニーがマルセイユの酒場で働いている彼に実際に 会って情報を仕入れる。そして、セシュームは摂氏20度になると爆発するため、冷却装置が必要であり、化学式だけでなく所長自身をも抹殺しなければなら ないのだ。セシュームをどこに隠しているかわからないが、所長が差し出すように仕向ける作戦で頭と腕の見せ所とダンはメンバーに語る。まず、ローランと バーニーが取材ということで、セフラ所長を訪ねる。監房の秘密の通路を進むバーニーだが、所長が来てしまったので、発信機をセットできずに戻ることにな る。これがないとダンとウイリーがどちらの方向に穴を掘ったらいいかわからず、二人は地下道で待ちぼうけを食う。やっとの思いで発信機をセットしたバーニ ーを待ち受けていたのはセフラ所長であり、バーニーの背中の大きな傷に興味を示しており、かつての脱獄囚のジャクソンだとバーニーは答える。バーニー が所長に拷問されている間、ローランは病院の冷蔵室に侵入し、ダンとウイリーは秘密の通路を通って刑務所内に侵入して、発電機に異物を混入して止め てしまう。冷房装置が止まり、気温が摂氏35度もあることから、所長は部下に氷を持ってくるように指示する。セシュームは摂氏20度になると爆発してしまう ので、既に目盛りは危険水準に達している。焦る所長にバーニーが病院に連れていってくれと叫ぶと、病院にセシュームを持っていくことを思いつく。病院の 冷蔵室にはローランが隠れており、容器からセシュームを抜き取って、IMFの用意した動く冷却装置に入れて病院から持ち出す。そして、停電が直って再び 刑務所に運ぶ所長だが、容器の中のセシュームがなくなっていることに気がつく。バーニーに問いただすと、秘密の通路だと自白する。一方、ウイリーは秘 密の通路から冷却装置のつまみを"HOT"にして監房に向かって放つ。所長は自分に向かってくる冷却装置を見つけニコリとするのも束の間、大爆発を起こし 自分の命をも奪ってしまうとは思わなかったのだ。
【解説】5年前に閉鎖されたにも関わらず、依然としてその刑務所に居座るセフラ所長とその部下たちという設定だが、給料はきちんと支払われているのだろ うか。受刑者は誰もおらず、彼らは毎日をどのように過ごしているのであろうか。流刑地にあることから、政府からも全く無視され、島流し状態なのかもしれな い。そんな中、セフラ所長はセシューム138なる爆発性の液体を製造し、高く売りたがっているのだ。
 このエピソードではバーニーの演技が光る。元刑務所の脱走犯に扮して、セフラ所長に鞭で拷問を受ける。バーニーの背中に鞭の傷跡をつけていたことを 考えると、作戦上、こうなることを読んでいたのだ。明らかにバーニーはセフラ所長と鞭の刑を恐れているにも関わらず、それを誰にも悟られまいと必死になっ て我慢をする健気なところを見せる。
 セシューム138は摂氏20度を越えると爆発する特性があるため、IMFは刑務所内を停電にして冷蔵庫を使えないようにしてしまう。気温が30度を越える 地域であるため、そのままでは、セシューム138が爆発してしまうとやきもきする所長に、拷問を受けたバーニーが病院に連れて行ってくれと叫ぶことより、 所長はセシューム138を病院に持っていくことを思いつく。ここのところの心理的な駆け引きは見事である。
 結局、病院の倉庫内でローランがセシューム138を抜き取り、所長は刑務所に持ち帰ってから盗まれていることに気づき、バーニーに問い詰める。バーニ ーは秘密の脱走用通路に隠したと自白し、ウイリーがセシューム138の入った容器の加熱ボタンを押して通路に放つと、所長とともに大爆発を起こすのであ った。IMFが敵の主役級の悪漢を直接抹殺する珍しいエピソードである。


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