スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



30 トリック Trek
【目的】盗まれたインカの財宝を捜し出すとともに、それを着服しようとしている大佐の意図を暴くこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 危機に瀕した経済を立て直すため、南米の小国サンタレス政府はインカの財宝「金の工芸品コレクション」を売却することに なった。が、財宝は運搬中にこの男ジャック・コールによって強奪されてしまったのだ。その後コールが逮捕されて地方刑務所に送られ、カルドーザ大佐の尋 問によって奪った財宝の隠し場所の自白を強いられている。ところがこのカルドーザ大佐であるが、コールの自白を待って財宝を着服しようとしているのだ。
 そこで君の使命だが、財宝を捜し出すとともにカルドーザ大佐の意図を暴くことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されて も当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: レオナルド・J・ホーンLeonard J. Horn
【ゲスト出演】
ジャック・コール:ダニエル・オハリヒー(宮川洋一)Daniel O'Herlihy as Jack Cole
カルドーザ大佐:マーク・レナード(久松保夫)Mark Lenard as Colonel Luis Cardoza
将軍:マイケル・ピート(緒方敏也)Michael Pate as General Diaz
ロバート:ジャック・ドナー(寺島幹夫)Jack Donner as Robert Field
軍曹:ラルフ・モーラー Ralph Maurer as Sergeant
【場所】@指令(媒体):電話ボックスの電話機の下部に隠してあるテープを聞く
A舞台:サンタレス(南米)
【役割】ジム:アーネスト・キーファー
ローラン:町民
シナモン:財宝を持っている衰弱しきった女
バーニー:刑務所内のすべての車をパンクさせる→崖のトリック工作→ヘリコプター操縦
ボブ:人形師(ローランそっくりの人形を作成)→崖のトリック工作の手伝い
【道具】@財宝の偽物
A爆薬:車をパンクさせる
B着地ネット:崖に仕掛け、飛び降りた時にクッションになり、上から見えないように閉じる
Cローランそっくりの人形
【削除】(08分50秒)ジムが大佐にコールを逃亡させる作戦を提案する
【見所】(15分00秒)ジムが大佐を捕らえ、鍵を投げさせてコールとジムは監房から脱出する
(17分40秒)コールが警備兵二人をライフルで射殺してしまい驚くジムと大佐
(21分00秒)コールがジムに銃を向けるが、殺したら二人は砂漠の干物だと牽制する
(23分00秒)焚き火をしているローランをジムが狙撃し、崖から転落させ馬を奪う
(31分30秒)コールがシナモンに向けて銃を発砲しようとするところをジムが止める
(42分30秒)ジムが財宝の入っている箱を発見、そこへ将軍らも到着する
(46分10秒)ジムがヘリコプターに乗って逃走してしまい、大佐一人残される
(47分10秒)大佐が両手を挙げ将軍らに降伏する
【疑問点】@ローランがジムに撃たれ、崖から転落するシーンを演出するが、何の意味があるだろうか? ジムが人殺しも辞さない危ない奴と二人に知らしめ るのが目的だが、明らかにシナモンを助けた時の対応と違っている。
【粗筋】カルドーザ大佐は、財宝を隠したジャック・コールに目を開けた状態で直射日光をあてるという拷問を続けている。そこへジムが監房に入れられ、大佐 にコールの口を割らせる方法を提案する。一方、バーニーは刑務所内のすべての車をパンクさせる工作をする。早速、監房に来た大佐をジムが抑え、鍵を投 げさせジムとコールは大佐を人質に脱獄をするのだ。道中、ジムはローランを殺したように見せかけ、馬を奪って財宝のありかへと向かう。そして、ローランは 将軍に馬の窃盗事件で大佐が主導であることを報告するのだ。途中に小屋があり、シナモンが衰弱して倒れており、インカの財宝を持っていることが発見さ れる。シナモンの証言から、驚いたコールは自分の隠した財宝が盗まれたと思い込む。そして、コールはジム、大佐、さらに、シナモンに用はなくなったと言 って銃を向けるが、ジムは巧みに言い逃れる。三人は財宝の隠してある場所に向かうが、拷問の影響で突然コールの目が見えなくなる。大佐がコールに襲 いかかり、怒ったコールは大佐を殺すと言ってきかないので、ジムは大佐を殺したように見せかける。目の見えなくなったコールはベルトでジムと繋がって徒 歩で向かい、大佐もコールに気づかれないように距離を置いて尾行する。そして、財宝を見つけると、大佐はコールを射殺するが、すぐ近くには将軍らも到着 しており、威嚇発砲をする。ところが、ジムがヘリコプターに連絡してくると言って逃げてしまい、大佐一人になってしまうのだ。大佐はジムが逃げてしまったこ とに気づき、将軍に両手を挙げて降伏し、言い訳を言うが、威嚇発砲を将軍らに向けており、逮捕されてしまう。その後、将軍はもう一人を逃がしてしまったと 残念がるが、ローランは頭のいい奴ですねと感心してみせるのであった。
【解説】タイトルの「トリック」であるが、「トレック」の誤りだろう。原題は「Trek」で「スター・トレック」の「トレック」と同じで、骨の折れる長い旅行を意味する。日 本語の「トリック」は騙し、策略、ペテンを意味し、本エピソードも確かにそのようなシーンもなくはないが、このシリーズすべてがトリックから成り立っており、こ のエピソードだけ「トリック」というタイトルがつけられるのも納得がいかない。また、未確認であるが、本エピソードが「財宝はどこか!」というタイトルで再放送 されたことがあると聞いたことがある。むしろ、こちらの方がピッタリ的を射たタイトルだ。
 IMFの主役三人の役所が面白く設定されている。ローランは現地の町民で、おかっぱのようなヘアスタイルをしており、ジムらに襲われて崖から転落死す る。この時に使われる着地ネットと人形は面白いが、どういう意味を持つのか作戦として不明である。シナモンは偽の財宝を持っており、今にも死にそうな女 を演じ、容疑者コールに自分の財宝を盗んだと思わせる。そして、ジムは服役囚として刑務所に入り、カルドーザ大佐と組んでコールを騙して脱走させ、財宝 の場所を発見するや、その大佐まで裏切ってヘリコプターでさっさと逃げてしまうのだ。
 二人の悪漢もキャラクターがよく描かれている。財宝を盗んだコールは刑務所脱走時に警備兵二人を射殺したり、途中でジムとカルドーザ大佐に用がなく なったと言って殺そうとしたり、シナモンにも銃を向けたり、とにかく、短気で用のなくなったものは始末したがる性格が滲み出るほどである。そして、大佐が 逆らったことで我慢ができなくなり、殺すと言うことを聞かないので、目の見えないコールの前でジムが大佐を殺したように演出する。また、カルドーザ大佐も コールの目を開けたまま直射日光をあてるという残忍な拷問をし、これがもとでコールは逃走中に失明をする。また、財宝の在り処を確認すると即座にコール を射殺し、恐らく、逃げ切ったらジムをも射殺するつもりだったのだろう。
 そういう意味からも悪人は誰からも信用されないのだろう。逃げるが勝ちというが、さっさと先に逃げてしまったジムは二人を裏切るが、ジムの取った行動を 誰も責める者がいないくらいに、二人の悪漢の悪事ぶりは目を覆いたくなる程である。


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