スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



31 脱出口 The Bank
【目的】銀行支配人の行為を阻止し、3000万ドルもの預金がナチの再建資金に使われぬようにすること
【指令】おはよう、フェルプス君。 アルフレッド・ベルジックは、東地区にある人民銀行の支配人であるが、ファシズムの狂信者であり、密かにナチの再興を 謀っている。彼は人民銀行の預金者で西側へ逃亡したい者に手を貸しているが、逃亡者はその後一人残らずようとして行方が知れず、その預金はベルジッ クの所有に帰してしまう。
 そこで君の使命だが、ベルジックの行為を阻止するとともに、ベルジックの所有に帰した3000万ドルを上回る預金がナチの再建資金に使われぬようにす ることである。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消 滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ブラッド・ラドニッツBrad Radnitz
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: アルフ・ケリンAlf Kjellin
【ゲスト出演】
アルフレッド・ベルジック:ジェームス・ダリー(久松保夫)James Daly as Alfred Belzig
ポール・レバール:ピエール・ジャルバート(小林清志)Pierre Jalbert as Paul Lebarre
クトラー警備主任:ジーン・ダイナスキー(富田耕吉)Gene Dynarski as Kutler
ハインドルフ警察署長:ジュリアン・バートン(大宮悌二)Julian Burton as Captain Heindorf
ヘンクス教授:レイ・バクスター Ray Baxter as Professor Henks
ヴィッター:クルト・ランデン Kurt Landen as Vitter
秘書:サシャ・バーガー Sasha Berger as Secretary
【場所】@指令(媒体):古道具屋にある古い蓄音機を抱え机の中からLPレコードを取り出す
A舞台:東地区(東ベルリン?)
【役割】ジム:連邦警察ザトベック
ローラン:オットー・シュライベン
シナモン:フルス(ザトベックの部下・金庫室の秘書)
バーニー:フィリップ・ガンビア
ウイリー:連邦警察官
ポール:銀行強盗の専門家(客になりすまし銀行内の地図を描く)
【道具】@テレビ画面を乱すスイッチ:監視モニターをちらつかす
A監視カメラの前に置く反射鏡
B粘土状の爆薬:127番の貸し金庫に設置
【削除】(12分50秒)バーニーと銀行秘書の会話からジムとベルジック支配人の会話まで
(15分40秒)警察署内でのポールの犯歴についての訊問後、ジムはポールを釈放する
(32分40秒)ローランが西側へ出国しようと金庫室にベルジックとクトラーと入る
【見所】(08分20秒)銀行の貸し金庫の裏が西側への出口になっていると説明するベルジック支配人
(19分10秒)ローランが西側への出国をベルジック支配人に告げるとクトラーが銃を持って入室する
(24分00秒)バーニーの動きが怪しいとベルジック支配人がビデオテープを見せながらジムに報告する
(29分30秒)ベルジック支配人が金庫室にいる間、ジムが監視ビデオテープを盗んで新しいものとすり替える
(30分50秒)秘書が支配人室に入ろうとしたため、シナモンがネックレスを切って呼び止める
(34分30秒)ローランが出国するために秘密の通路を通り、アーと叫んで死んだと見せかける
(43分40秒)シナモンが監視カメラの前に鏡を置き、爆薬を127番金庫にセットする
(44分30秒)バーニーとポールをウイリーが逮捕して連行した後、本物の警察がやってくる
(46分30秒)127番金庫を警察が開けようとすると、銀行の警備員が警察に銃を向ける
【疑問点】@数百人も無事に出られた者がいない迷路で、ローランがどんな手を使って脱出できたかが語られていない。
A脱出口をIMFが塞いでしまったが、どのようにして塞いだのだろうか?
【粗筋】ポールが銀行内で見取図を書いていたことで、銀行強盗の疑いで連邦警察のジムが逮捕する。また、バーニーの動きにも不審を抱くベルジック支配 人とクトラー警備主任はマークする。そんな中、シュライベンとしてローランがベルジックに西側への出国の依頼をしてくる。現地警察署長より人民銀行の立 ち入り許可を得たジムは、再度銀行を訪れてベルジックより監視ビデオテープを見せられ、バーニーが怪しいと報告を受ける。そして、ジムが金庫にある外国 通貨の番号をベルジックに調べるように命令している間に、監視ビデオテープをすり替えるのだ。このテープには、今まで数百人から騙し取った預金を隠して いる金庫のナンバー127が映っている。再びローランが現れ、出国のための通路を通され、二人には死んだと思わせる。バーニーも銀行にやってきて個室に 入っている間に、シナモンが127番金庫に爆薬を仕掛け、バーニーの金庫を警備兵が鍵を閉めた瞬間爆発させると、127番金庫の引き出しが飛び出てく る。バーニーは127番金庫を持ってポールとともに銀行強盗だと名乗って銃を向けるが、背後から連邦警察のウイリーが現れ、二人を逮捕して連行するの だ。その後、本物の警察が到着し、ジムが外国通貨に見向きもしないで、どうしてこの127番の金庫を持っていこうとしたのだろうと言うと、署長も興味を示し 拳銃でベルジックに開けるよう命じる。すると、銀行の警備兵が警察官たちを囲んで銃を向けるのである。その後、ベルジックらは金庫室に入り、タイムロック をかけてしまい、警官を中に入れないようにして、脱出口から逃げようとするが、脱出口は既にIMFによって塞がれてしまっており、ベルジックらは逃げ場を失 うのである。後は署長にお任せしますとジムが言うと、タイムロックが外れる明日までこのままにしておくかということで幕を閉じるのであった。
【解説】このエピソードもナチスの脅威をテーマにしており、東側の銀行支配人が西側へ亡命を希望する人たちを殺害し、彼らから集めた資金をナチス復興の 資金にするというものである。国名ははっきりと謳ってないが、東西ドイツ、それもベルリンが舞台になっているのは明らかである。
 IMFはこのエピソードで、チームぐるみで銀行強盗を演じるが、そのアイデアは斬新的である。バーニーとポールのチームが銀行強盗を演じ、ジム、ウイリ ー、シナモンのチームは偽警官を演じてバーニーとポールを逮捕するという役割である。片方が偽警官であるため、制服を着た強盗を誰も疑わず、成功率は 極めて高い。日本で実際に起きた3億円事件でも、犯人が警官の制服を着て白バイに乗ったことにより、この事件が迷宮入りとなってしまったが、それと同 様の心理作戦である。
 放送当時は誰も気づかなかっただろうが、ジムが金庫室のビデオテープを止めて、画面を拡大鏡で覗いて金庫の番号を確認するシーンがある。ビデオデッ キを持っている人ならわかると思うが、このように拡大鏡で覗いても数字がはっきり見えることはない。しかし、これでは実も蓋もなくなるので、IMFの拡大鏡 には不鮮明な部分をはっきり見せる機能があったと考えたい。実際の画面でも我々にそのように見せているのだから。


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