スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



42 雲上のマイクロフィルム The Astrologer
【目的】政権打倒運動家とマイクロフィルムが現政府首脳の手に渡らぬようにすること
【指令】おはよう、フェルプス君。 ベスカ国を牛耳る軍事政権によって追放の憂き目に遭いながらも、ニコライ・カルゾンは依然この独裁政権打倒運動を活発 に展開している。ところが二日前、そのカルゾンが国外の某所において、ベスカの秘密警察長官スタール大佐に捕まってしまったのだ。カルゾンは現政権打 倒運動を支持する同志の名前を写したマイクロフィルムを所持しており、もし彼とそのマイクロフィルムが政府首脳の手に渡るや、打倒運動は壊滅、ベスカに おける自由への道は永久に閉ざされる。
 そこで君の使命だが、カルゾンとマイクロフィルムがベスカ政府首脳の手に渡らぬようにすることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あ るいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは直ちに処分すること。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ジェームズ・F・グリフィスJames F. Griffith
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: リー・H・カッツィンLee H. Katzin
【ゲスト出演】
スタール大佐:スティーヴ・イーナットSteve Ihnat as Colonel Alex Stahl
グリゴフ副首相:デヴィッド・ハーストDavid Hurst as Victor Grigov
ニコライ・カルゾン:ボブ・ティードマンBob Tiedemann as Nikolai Kurzon
スチュワード:エド・マックレディ Ed McCready as Steward
ホステス:バーバラ・ビショップ Barbara Bishop as Hostess
トリューブナー:ドン・ハンマー Don Hanmer as Trubner
【場所】@指令(媒体):駐車場の管理人室においてあるオープンテープレコーダーを灰皿に置くと火を噴いて燃える
A舞台:パリ→ある国→ベスカ国
【役割】ジム:記者トンプソン→リムジンの運転手
ローラン:カメラマン→首相の声帯模写→トランクで機内侵入→荷物係で機外脱出
シナモン:メラニー(占星術師)
バーニー:電話交換機操作→トランクで機内侵入
ウイリー:航空荷物運搬係
【道具】@ニコライ・カルゾンそっくりの人形:リモコン操作で左手を下ろす
A電話交換機
B人が死ぬ声を録音したテープ
Cトランク2個:中にローランとバーニーが入る
D金庫のダイヤル番号を探る器具
【削除】(20分50秒)気を悪くしないで下さいと副首相はシナモンに機内で詫びる
(35分50秒)大佐よりもシナモンの方が警備主任に適していると言う副首相
(42分00秒)シナモンの占いに敬服する大佐
【見所】(12分20秒)グリゴフ副首相に首相から電話が入り、ローランは切るように指示する
(16分40秒)シナモンのトランク2個を副首相の部下が点検するが異常なし
(23分50秒)空気が薄いとバーニーは換気口が塞がってると言い、ドリルで穴をあける
(27分00秒)どんな波長の無線が入ってもカットできるよう、会議室の無線機を細工するバーニー
(31分10秒)大佐は15分前に首相と電話したが、占い師のことは聞かなかったと言う
(38分40秒)マイクロフィルムを金庫から出す副首相に大佐が銃を突きつけ逮捕してしまう
(45分00秒)非常ブザーが鳴って非常口が開き、カルゾンの人形が飛んでいく
(48分10秒)ジムはマイクロフィルムをローランより受け取りライターで燃やす
【疑問点】@貨物室へのパイプが詰まっており、4500メートルで窒息してしまうことで、ドリルで壁に穴をあけるが、ドリルの穴の大きさで空気が入ってくるの だろうか?
Aベスカ国に着陸する飛行機は非常口が閉まっているが、誰が非常口を閉めたのか?
【粗筋】占星術師シナモンはグリゴフ副首相と会い、首相の危機が迫っているから早く連絡をとりたいと言うが、副首相は全く信じない。ジムは首相に伝えな いで事故になったら問題だ、写真を撮ろうとカメラマンに指示する。そこへ本物の首相から電話が入ってしまい、バーニーは一旦電話を切る。そして、ローラン が首相の声帯模写をしてグリゴフ副首相に繋ぎ、副首相はシナモンの予言を首相に伝え、それが現実となってしまったことに驚くのである。首相(ローラン) よりシナモンを同行させるように指示され、トランクにバーニーとローランを入れて飛行機に同乗する。途中ある国に着陸する前にバーニーは無線機に細工を する。そして、飛行機が着陸してスタール大佐と意識のないカルゾンが乗るのを確認する。副首相は大佐よりマイクロフィルムを受け取って金庫にしまう。そし て、離陸する間にローランはマイクロフィルムを金庫から盗み、偽物のマイクロフィルムを金庫に戻す。シナモンは星占いで大佐が副首相の敵であり、偽造が うまく、秘密のものに惹かれていると予言するのだ。これを聞いて副首相は心配になって、マイクロフィルムを金庫から出してみると、自分の名前があることに 気がつく。続いて、シナモンは大佐にも機内で奇妙なことが起こっていると告げ、会議室に行かせる。大佐はマイクロフィルムを見ている副首相に銃を突きつ け逮捕してしまう。このことを無線で首相に報告する大佐は別邸の近くの空港に着陸する指示を受ける。ローランとバーニーはベスカ国に着陸する前に、カル ゾンの人形を非常口に座らせ、本物のカルゾンを貨物室に運ぶ。そして、非常ブザーを鳴らし、大佐の見ている前で、非常口からカルゾンが脱出したように見 せるのだ。無事空港に着いたシナモンはトランクの中にバーニーとカルゾンを入れて、ローランは荷物係に扮してウイリーが手を差し伸べて、貨物室から脱出 するのであった。
【解説】このエピソードでは、ほとんどが飛行機の中でのシーンで占められ、密室同然の中で作戦が展開されるので、ストーリーは単調だが緊張感溢れるも のになっている。また、IMFの作戦の実行が可能なのは、皆が安全ベルトを締めている飛行機の離陸と着陸の数分間しかなく、作戦の困難さにさらに拍車を かけている。
 この「雲上のマイクロフィルム」でもシナモンが重要な役割を果たし、占星術師として巧みな演技を披露する。始めは副首相も全く相手にしないが、次第にシ ナモンの言うことを信じるようになっていく過程がうまく描かれている。ローランとバーニーはトランクの中に隠れて飛行機に潜入するという、いつものパターン が使われる。
 小道具については、IMFが保護すべき革命運動家そっくりの人形が登場する。片手しか動かないが、顔がリアル感溢れており、気持ち悪いほど本人に似 ているのには驚かされる。しかし、残念ながら疑問点もいくつか見つかる。ローランとバーニーが非常口を開けて革命運動家の人形が空中に飛んでいくシー ンを演出するが、その後、気圧の関係で飛行機の中の空気が外に出るため、非常口を誰も閉められずにいたが、空港に到着する時にはその非常口が閉め られていた点や、パイプが塞がっており、空気が荷物室にいかずに、窒息直前にバーニーが荷物室の天井に穴をドリルで開けるシーンがある。あれだけの 小さな穴で空気が本当に荷物室にいくのかと思ってしまう。
 なお、「雲上のマイクロフィルム」は第2シーズンの作品であるが、日本では不思議なことに第3シーズンのエピソードの途中で放映されている。たまたま第 2シーズンと第3シーズンのIMFレギュラーメンバーが同一であるため、見る方は何の違和感もなく気づかないだろう。どうして、日本版でこのような順番にな ってしまったのか理由を知りたいものである。


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