スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド2



46 ストレートフラッシュ The Emerald
【目的】強制的平価切下げの情報を狙う敵諜報員を排除してエメラルドを手に入れること
【指令】おはよう、フェルプス君。 某非友好国における合衆国通貨に対する強制的平価切り下げ計画を探知したわが方の諜報員が、その詳細をこの45カラ ットのエメラルドに託して送ろうとしたところ、それが誤ってこのヴィクター・トーマーという国際的兵器ブローカーの所有に帰してしまった。トーマーがこのエメラ ルドに隠された情報を知れば、これを己の利益に利用することは論を待たない。明後日トーマーはこのエメラルドとともにベークシアからタンジール行きのクイ ーン・オブ・セーズ号に乗船するが、同じ船にヨギ・ペトロージャンという非情をもって鳴らす敵側諜報員がエメラルドの秘める情報を奪うべく乗り込むのだ。
 そこで君の使命だが、このペトロージャンを排除してエメラルドを手に入れることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されて も当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
製作: ジョセフ・ガントマンJoseph Gantman
監督: マイケル・オハリヒーMichael O'Herlihy
【ゲスト出演】
ヴィクター・トーマー:ウィリアム・スミサーズ(大塚周夫)William Smithers as Victor Tomar
ペトロージャン:マイケル・ストロング(真木恭介)Michael Strong as Yorgi Petrosian
ウィリアム:クロード・ウールマン(石井敏郎)Claude Woolman as Williams
ジョシュ:フランシスコ・オルテガ Francisco Ortego as Joshu
スチュワード:ジャーク・デンベックス Jacques Denbeaux as Steward
パーサー:A・G・ヴィタンザ A.G. Vitanza as Purser
機長:アルバート・キャリア Albert Carrier as Captain
【場所】@指令(媒体):あるセルフ写真撮影機の下にある棚の中に入っているテープレコーダーを聞く
A舞台:ベークシア→タンジール(クイーン・オブ・セーズ号の船内)
【役割】ジム:船の乗客
ローラン:船の乗客ミラー
シナモン:船の乗客
バーニー:外交官→トロール船船長
ウイリー:船の乗客→トロール船乗組員
【道具】@エメラルドの偽物
Aカード探知装置:金属加工したカードの情報を探知し、ジムの眼鏡に伝える
Bローランの腕に仕込んだアーム:イカサマトリックに使用
Cルーレットに細工
【削除】(10分30秒)ウィリアムがトーマーにエメラルドを売ってほしいと持ちかけるが断られる
(21分20秒)ラウンジバーでトーマーがシナモンに勝負に戻ったらと言う
【見所】(07分00秒)バーニーが船内の金庫に鞄を入れ、24時間警備をつけると言う
(09分50秒)ジムとバーニーがテーブルに細工をして、カードを全部すり替える
(21分10秒)ペトロージャンがローランにトーマーのエメラルドを取る提案をする
(24分30秒)トーマーの前でシナモンがストレートで腕輪を賭けるがジムがフルハウスで勝利する
(29分30秒)ペトロージャン、ジム、ローランが勝負する中、トーマーもポーカーに参加する
(35分50秒)ローランは掛け金に小切手を発行するトーマーに断ると、部下がエメラルドを持ってくる
(38分00秒)ペトロージャンは8のストレートフラッシュに対し、ローランが12のストレートフラッシュで勝利する
(39分40秒)ペトロージャンが銃をローランに突きつけるがウイリーが奪取して捕らえる
(42分50秒)壁を外すとIMFメンバーが現れ、薬を飲まされ失神するペトロージャン
(47分00秒)ウィリアムはローランの面をつけたペトロージャンを射殺し船外に投げ捨てる
【疑問点】@ルーレットのイカサマのからくりについての説明がない。
【粗筋】クイーン・オブ・セーズ号に乗りこむ外交官バーニーは、大事な鞄を預けるので24時間警備をつけると船員に伝え、これを聞いたウィリアムはペトロー ジャンに報告する。ウィリアムはトーマーにエメラルドを売ってほしいと持ちかけるが、あっさりと断られてしまう。後はトーマーにエメラルドを金庫から出させる ように仕向けるだけだと言うペトロージャンである。トランプとルーレットに細工したIMFは、シナモンがルーレットで、ジムはトランプで大勝するのだ。ローラン はペトロージャンの部屋で、自分のカードさばきを披露し、魔法のようだと感心させ、その腕を使ってトランプで勝負してエメラルドをトーマーから掠め取る提案 をする。一方、ポーカーで20000ドルも負けてしまったシナモンは自殺しようとして見せ、それを止めたトーマーはシナモンに取り戻してやると誓うのである。 既にジムとローランとペトロージャンがポーカーをしているところにトーマーも加わる。シナモンのブレスレットはジムよりペトロージャンに渡り、次の勝負は賭け 金が跳ね上がり、ペトロージャンはブレスレットを、トーマーはエメラルドを賭けるのだ。そして、ペトロージャンが8のストレートフラッシュで勝っていたのを、ロ ーランがイカサマで12のストレートフラッシュで勝利し、まんまとエメラルドを手に入れるのである。ペトロージャンは納得いかずにローランを銃で脅し取ろうと するが、背後からウイリーが銃を取り上げ、ペトロージャンを殴り倒す。しばらくして、ペトロージャンが気づくと、トロール船の中にいることがわかり、壁を外すと IMFメンバーが現れ、薬を飲まされ失神するのである。そして、ペトロージャンにローランのマスクを被せ、ウィリアムにミラー(ローラン)を殺せという暗号を届 ける。ウィリアムは偽のエメラルドを奪い、ローランのマスクを被ったペトロージャンを射殺し、船から海に投げ捨てるのである。"あのエメラルドが偽物とわかっ たらウィリアムはどうなるの?"とシナモンが聞くと、"ペトロージャンと同じ末路だろうな"と答えるジムであった。
【解説】原題は「The Emerald」で宝石に重点をおいているが、邦題が「ストレートフラッシュ」となったのは、それだけポーカーのギャンブルシーンが印象に残 ったということか。第1シーズンの「武器弾薬を渡すな」でもギャンブルを扱ったものがあったが、IMFの基本的な作戦に関しては、その応用にすぎない。シナ モンはルーレットで大勝するが、ポーカーでジムがそれを根こそぎ奪ってしまい、シナモンは自殺をしようとする女を演じる。それを見たエメラルドの所有者トー マーは自殺を止め、シナモンのためにポーカーで取られた物を取り返すと約束するのだ。この時、トーマーに大勝負をさせた動機はシナモンの魅力であろう。 自殺しようとしたところを止めたことにより、ポーカーで勝てばモノになるという下心があったと見るべきだ。
 一方、ローランは敵のスパイであるペトロージャンの前で、カードさばきを披露し、イカサマでトーマーのエメラルドを騙し取る提案をしてポーカーに参加する。 そして、トーマーがエメラルドを出したところで、ペトロージャンをも騙してローランがエメラルドを得てしまう。これに怒ったペトロージャンはローランに銃を突きつ けるが、ウイリーが助けて、ペトロージャンを眠らせる。次に、ペトロージャンが目を覚ますと、トロール船の中という偽装工作であるが、この作戦の目的は不 明である。そして、さらに薬を飲ませて失神させ、ローランのマスクをつけるのだ。
 その後、ペトロージャンの部下であるウィリアムに無線でミラー(ローラン)を殺せという偽の指示を出すと、ローランのマスクを被ったペトロージャンを射殺し、 船から海に放り投げるとともに偽のエメラルドを掴ませるのであった。このように敵にIMFメンバーのマスクを被せて、部下に上司を殺害させるシーンは「黒の 壊滅命令」でも見られたが、今後もこのような作戦は幾度となく登場する。第1シーズンでのIMFは遠慮なく敵を殺すように見えるシーンもあったが、相手を直 接殺さないというルールが、ちょうどこの頃より定着するのである。
 それにしても、ペトロージャンは某国での米国通貨に対する平価切り下げの情報を狙っているだけでIMFによって殺されてしまったが、ドラマの中ではそれ 程極悪人には描かれていない。本シリーズではペトロージャンよりもっと残忍で卑劣な人物が多数登場するが、IMFは彼らを全員死に追いやる訳でもない。 確かに、ペトロージャンにローランのマスクをつけて、部下が誤って殺害して海に放り投げるというシーンはアイデアとしては素晴らしいが、何故、ペトロージャ ンを抹殺しなければならなかったのかの説明があってもよかったのではないか。


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