エピソードガイド３ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド３

57 奇跡のカムバック(PART 1) The Contender (Part 1)
58 奇跡のカムバック(PART 2) The Contender (Part 2)

【目的】八百長によって莫大な利益を得る人物とそのスポーツ界に対する野心を叩き潰すこと
【指令】おはよう、フェルプス君。　今君が見ているのはチャールズ・バックマンといって、プロ・アマチュアを問わずあらゆるスポーツを一手に牛耳ろうとしている男である。もしそれが成功するや、わが国は世界のスポーツ界から追放され、敵国にとっての好個の宣伝材料となることは火を見るより明らかである。目下、バックマンの主な資金源はボクシングにあり、シンジケートのボス、ダン・ウェイランと手を組み、八百長によって莫大な利益をほしいままにしている。
　そこで君の使命だが、バックマンとそのスポーツ界に対する野心を叩き潰すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは直ちに処分すること。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本・製作: ウィリアム・リード・ウッドフィールド＆アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
監督: ポール・スタンレイPaul Stanley
【ゲスト出演】
チャールズ・バックマン：ロン・ランデル（大木民夫）Ron Randell as Charles Backman
ダン・ウェイラン：ジョン・ダナー（臼井正明）John Dehner as Dan Whelan
ウェズレイ：シュガー・レイ・ロビンソン（大宮悌二）Sugar Ray Robinson as Wesley
ステイチェック：ロバート・フィリップス（森山周一郎）Robert Phillips as Ernie Staczek
リッチー・レイモン：ロン・リッチ（大塚周夫）Ron Rich as Richy Lemoine
カルヴィトス：ウェイン・マックラーレン　Wayne McLaren as Artie Calvitos
ヴィンス：トーマス・ギース　Thomas Geas as Vince
スティーヴンス：ジョーイ・ギアンブラ　Joey Giambra as Stevens
トレーナー：ジェームズ・ガンビーナ　James Gambina as Trainer
アナウンサー：ジミー・レノン　Jimmy Lennon as Announcer
レフリー：リー・グロスマン　Lee Grossman as Referee
キッド・ウィルソン：ビフ・エリオット　Biff Elliott as Kid Wilson
スタン：アンガス・ダンカン　Angus Duncan as Stan
ボビー：ロバート・コンラッド　Robert Conrad as Bobby
【場所】①指令（媒体）：競艇場で５．８馬力のモーターボートにある道具箱の中のオープンテープを池の中に投げる
②舞台：アメリカ国内
【役割】ジム：Ｐ．エメット（通路のパイプの工作）→ウェイランの事務所の会計係
ローラン：バーニーの変装手伝い→リンク・ウェブスター（マネージャー）
シナモン：ステイチェックの恋人→バックマンの女
バーニー：リッチー・レイモンに変装
ウイリー：トレーナー→警備員
リッチー：バーニーにアドバイス
【道具】①ガス：無色無臭で動きを鈍くする
【削除】なし
【見所】（前04分00秒）ジムがリッチーを病院に訪ね、名前を貸してくれと頼む
（10分50秒）リッチーがバーニーの練習姿を見て俺の型じゃないと指摘する
（14分10秒）八百長を断ったボクサーをウェズレイがエレベーターから突き落とす
（21分20秒）バーニーがリングに上がり、リッチー・レイモンとして紹介される
（26分10秒）通路で記者のインタビューを受けるバーニーとローラン
（33分10秒）ウェイランの事務所に呼ばれ、１０００ドルの謝礼を受け取るジム
（37分20秒）八百長は絶対しないというリッチーに、これしか方法がないと頼むジム
（43分30秒）サイコロがリングの下に隠れているジムのところまで飛んでくる
（後06分40秒）ここまでが前編の粗筋で、ここから後編スタート
（10分50秒）ウイリーがガスのスイッチを押し、スティーヴンスの水を吐く時にガスを吸わせる
（12分50秒）バーニーがスティーヴンスをノックアウトする
（19分50秒）ウェズレイがローランの部屋で銃を突きつけ、契約書に強引にサインさせる
（25分20秒）第３ラウンドでノックアウトされろとバックマンに命令されるバーニー
（35分20秒）バーニーがステイチェックからダウンを奪い、この回でＫＯされろと言われる
（38分00秒）バーニーがステイチェックをノックアウトし、新チャンピオンになる
（42分40秒）ウェイランの部下がウェズレイを射殺し、バックマンも射殺する
（43分10秒）本物のリッチーより、手の骨が駄目になり、本日限りで引退と発表される
【疑問点】①バーニーがいくらローランの手を借りて変装しても、リッチーに似ていないのでは？
【粗筋】元６回戦ボーイのチャンピオンだったバーニーをリッチー・レイモンの替え玉としてリングに上がらせるために、ＩＭＦは厳しいトレーニングをバーニーに続けるのである。本物のリッチーからもアドバイスを受け、バーニーの背中を丸めて構える姿勢から背筋を伸ばした姿勢に変えろと指示する。シナモンはステイチェックに近づき、親しく付き合う。一方、ジムは通路のパイプを細工して、ウェイランが通ろうとする時、湯気を発生させて危ないと言ってウェイランを助けた後、そのまま逃げてしまう。ところが、身分証を落としてしまい、ウェイランの事務所に連れてこられたジムは１０００ドルを謝礼として受け取るが、仕事を世話してもらった方がありがたいと言うと、刑務所で何を学んだと聞かれ、会計ということでウェイランの事務所で雇われることになる。そして、バーニーの対戦相手が決まり、スティーヴンスとやることになるが、リッチーはスティーヴンスがチャンスさえあればチャンピオンになれる逸材で、バーニーには太刀打ちできないと結論づけてしまう。これに対してローランが薬を使うことを提案すると、リッチーが八百長はしない約束だと怒り出す。そこで、ジムがバックマンに取りつく唯一のチャンスで公式戦ではないし、これっきりにすると約束するとリッチーも納得するのである。その夜、ローランがキッド・ウィルソンの話し相手をしている隙に、ジムがリングに忍び込み、リングの下にガス噴射装置を仕込むのだ。
　バーニーはスティーヴンスとの試合をするが、本気になってかかってこられ、相当パンチを食らい危うくノックアウト寸前まで追いつめられるものの、ゴングに助けられる。インターバルで水を吐く時に、スティーヴンスの顔にガスをかけると動きが鈍くなり、バーニーがＫＯ勝ちする。その後、バーニーはステイチェックの一発を不意に食らいノックアウトさせられてしまう。そして、バックマンとローランは契約しようとするが、八百長の契約はできないとローランが断ると、ウェズレイがローランの部屋に来て銃を突きつけ、無理矢理契約書にサインさせてしまう。再デビュー後、破竹の勢いで連戦連勝を続けるバーニーだが、ステイチェック戦でバックマンは第３ラウンドでＫＯされろと命令され、そこへ１０万ドルの大金をリッチーに賭ける女がいると報告が入る。試合はバーニーのＫＯ勝ちで新チャンピオンになるのだ。一方、１０万ドル賭けたのがバックマンの女であるシナモンとわかり、ウェイランはバックマンを呼びつけ領収書はどこにあるとウェイランが聞くと、あるもんかよとバックマンは答えるが、ジムはスーツの裏ポケットから領収書を取り出す。そして、女は外に出しますかとジムは断ってシナモンを連れ出す。その後、ウェズレイが銃を取ろうとするところをウェイランの部下が射殺し、バックマンも射殺されるのだ。一方、新チャンピオンになった本物のリッチーより、手の骨が駄目になり、本日限りで引退と発表されるのだった。
【解説】このエピソードでは、バーニーがボクサーとして訓練の後、実際に試合を行なってとんとん拍子にチャンピオン街道をまっしぐらに走っていくという、いつもの任務とは趣を異にする。また、二部作であることも多少影響しているが、任務に長い時間を要していることで、いつもの速い展開とは違ってハラハラすることもなく、時間もゆったりと経過していく。基本的には、第２シーズンの「黒の壊滅指令」に類似したシンジケートの悪事を暴露して、その悪事を壊滅させるという内容である。それに今回はボクシングを絡めて話は展開していく。ボクシング界を牛耳って多額の資金源にするシンジケートを扱ったものには、第７シーズンの「殺人請負人」でも見られる。
　今回、ＩＭＦは元６回戦ボーイのチャンピオンだったバーニーを敵組織に潜入するためのボクサーに仕立てるが、これでは組織も相手にしてくれないので、ある程度名前の知れたボクサーである必要があった。そこで、ジムがリッチー・レイモンを口説きに病院まで出向くシーンが見られる。これは、珍しい光景で第１シーズンの「刑務所突破作戦」で、当時のＩＭＦリーダーのダンが空中ブランコの曲芸師クリスタルをスカウトした時以来である。
　八百長をしないという条件で、ジムはリッチーの協力を得て、バーニーへの特訓が始まる。リッチーも直接バーニーにアドバイスをして、自分のボクシングスタイルを教え込む。そして、組織に潜入するチャンスを掴むが、八百長をしないと勝てない相手をぶつけられ、ガス装置を仕込んでバーニーはそのチャンスをものにする。触れてはいけないことかもしれないが、バーニーはローランの変装技術を使ってリッチーになりすますが、誰が見てもバーニーはリッチーには似ていない。皆がリッチーだと騙されている設定であるが、見ていて滑稽でもある。
　白星街道を突っ走るバーニーであるが、次の対戦相手がチャンピオンのステイチェック戦で、３ラウンドでノックアウトされろとバックマンから八百長を指示される。そこで、ＩＭＦの取った作戦は、八百長を牛耳るバックマンとシンジケートのボスの信頼関係に亀裂を生じさせるいつものものである。シナモンがリッチー（バーニー）に１０万ドルを賭けて、これが組織に知れる。そして、バーニーがステイチェックをＫＯ勝ちして新チャンピオンになるのである。１０万ドル賭けたシナモンがバックマンの女とシンジケートに知られ、バックマンとシンジケートが銃撃戦になり、バックマンは射殺されてしまう。しかし、シンジケートのボスは依然として健在で、ＩＭＦがどうしてシンジケートのボスに手を出さなかったのか疑問が残る終わり方だ。