スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



59 処刑作戦 The Execution
【目的】悪事で食料品卸業界を牛耳っているボスを再起不能に陥れること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その男は名前をルイス・パーマといい、搾取・脅迫・誘拐・殺人などあらゆる手段を弄して全米の食料品卸業界を牛耳るに 至ったその方面のボスである。しかも最近のパーマは、食料品の値段を思いのままにできる力を利用して、政界にまでその魔手を伸ばそうとする気配を見せ ている。
 そこで君の使命だが、このルイス・パーマを再起不能に陥れることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切 関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本・ 製作: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
監督: アレクサンダー・シンガーAlexander Singer
【ゲスト出演】
ヴィック:ルーク・アスキュウ(家弓家正)Luke Askew as Victor Pietro Duchell
ルイス・パーマ:ヴィンセント・ガーデニア(早野寿郎)Vincent Gardenia as Lewis George Parma
アル・ロス:ヴァル・アヴェリ(小松方正)Val Avery as Al Ross
ルーミス博士:バイロン・キース(中村正)Byron Keith as Dr. Henry Loomis
【場所】@指令(媒体):家具屋で30RPMのテープレコーダーと言って奥の部屋で大型オープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:モーガン(青果卸業者)→刑務所所長
ローラン:警官→ジョセフ・ブレストルート→ヴィックの声帯模写→死刑囚
シナモン:モーガン夫人→弁護士
バーニー:警官→看守
ウイリー:アパートの住人(ヴィックの首を絞める)→警官
ルーミス博士:監房での検診
【道具】@映写機とスクリーン:窓にスクリーンを貼り、シナモンとジムの様子を映写機で映す
【削除】(04分10秒)パーマが早速レオニの店にプレッシャーをかけようとする
(08分10秒)サインする気になったかとジムを脅し、消化器を野菜にふりかけるパーマの手下
【見所】(07分20秒)パーマの手下がジムの店の野菜が入っている木箱を倒して粉々にしてしまう
(10分00秒)ジムがパーマの事務所に押しかけ、パーマから金をふんだくる
(18分00秒)ヴィックが銃流弾をジムのアパートに打ち込むと、ジムのアパートの部屋は粉々になる
(21分50秒)新聞を見ながら、パーマはヴィックが連絡してこないと不思議がる
(27分00秒)シナモンから自分が27ヶ月も監房に入れられていることを聞かされるヴィック
(32分00秒)ヴィックの目の前でローランがガス室で死刑執行される
(42分30秒)死刑執行のために監房から出されるヴィックが、パーマは見殺しにしないと叫ぶ
(46分10秒)何でも喋るから出してくれと泣いて頼むヴィックは、7人を殺したことを自白する
(47分30秒)ヴィックの自白は拡声器でパーマに聞こえ、ヴィックを銃で撃とうとする
【疑問点】@ガス室に供給されるガスの種類は不明。
【粗筋】ジムは青果商として野菜を積んでいるところへパーマの手下が押し入り、野菜を粉々に倒してしまう。怒ったジムはパーマの事務所に乗りこみ、パー マの首を締めて現金をふんだくる。これに怒ったパーマはヴィックにジム殺害を命じ、ジムとシナモンの映像が映っている部屋に銃流弾をぶち込むのだ。部屋 は粉々に壊れ、ヴィックは待機していた警官のローランとバーニーに追いつめられ、アパートに逃げようとして、そこの住人のウイリーに首を絞められ失神す る。そして、ヴィックが気づくと、監房に入れられており自分が死刑囚であることを知るのだ。弁護士のシナモンから27ヶ月も監房に入れられていることを知ら され、その間に裁判で控訴もして打つ手は全部打ったと言われるが何一つ覚えていない。後はヴィックがパーマを死刑にできる証言をすれば、死刑を免れる と助言されるのである。次から次へと見たことのある顔が登場し、ヴィックは混乱して次第に自信を失っていくのだ。そして、目の前でローランの死刑執行を 見るのである。着々と自分の死刑執行の準備が進められている様子を掛け時計越しに見ながら、不安を深めていくヴィックであり、心の底にはパーマが助け てくれるに違いないと思いながらも何の連絡もしてこず、とうとう死刑執行の時間がきてしまう。死刑執行のカプセルの中に、ガスと液体が入れられ、布に入 れられた薬品が落とされ、さらに、ブラインドが閉められて、まさに死刑執行のその瞬間に7人を殺したとすべて自白するのである。ヴィックの声は拡声器を通 じて、やってきたパーマの耳に届き、パーマはヴィックを射殺しようとした瞬間、IMFが囲んで取り押さえるのであった。
【解説】「処刑作戦」は、本シリーズにおける最高傑作のうちの一つである。役者の演技も素晴らしく、特に、刑務所の中における死刑執行のシーンはリアル 感が漂い卓越している。長らく「スパイ大作戦」に君臨したウッドフィールドとバルターの最後の作品となり、その集大成ともいうべき完成度の高い作品に仕上 がっている。特に、ラストシーンを見終わった後も、しばらくその余韻が残るくらい強烈な印象を見る者に与える。
 ジムが新参の青果商を営んでいるところへ、業界を牛耳っているパーマの手下がやってきて、野菜の箱を滅茶苦茶に倒して消火器を振りかける様子は、 視聴者の共感を覚えるくらい残忍に描かれている。これに怒ったジムはパーマの事務所に直接乗り込んで、パーマの首を絞めて現金をふんだくる。これにパ ーマも怒り、手下のヴィックにジムの殺害を指示するのである。早速、ヴィックはジムとシナモンの映像の映る部屋に銃流弾をぶち込み爆破させるが、逃げる ところを警官のローランとバーニーに追い詰められて、逃げ込もうとした家の住人であるウイリーより首を絞められて気絶する。
 第1シーズンの「大量殺戮者」で用いられた時間のトリックが使用される。ヴィックが目を覚ますと、自分が死刑囚で27ヶ月も監房の中にいることを弁護士 のシナモンより聞かされる。また、パーマを死刑にできる証言をすれば死刑は免れることも知らされる。そして、バーニーが看守、ウイリーが警官、ジムが刑 務所長としてヴィックの前に現れ、どこかで見た顔であることを覚えているのだが、次第に混乱して自信をなくしていくのである。また、同室の囚人ローランが 死刑にされる様子が陰湿な緊張感とともに見事に描かれる。また、あまりにも残忍なシーンは掛け時計に映して間接的に見せるという手法が取られている。 ローランは必死になって泣き叫ぶが、むなしく死刑に処されてしまう。
 それでも、最後には必ずパーマが助けてくれると信じているヴィックは口を割らないことから、過去に何度も助けられた経験があるのだろう。そして、今度は 自分の死刑執行の番となり、死刑執行のカプセルのブラインドが降ろされた瞬間、パーマが助けにこないことを悟って、ヴィックは泣きながら7人の殺人の自 供を始めるのである。ただ、このようにして得られた証言の有効性について疑問はあるものの、拡声器を通じて自白するヴィックの泣き声がしばらく耳に余韻 が残るほどである。


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