スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



61 酸素テントの中 The Cardinal
【目的】監禁されている枢機卿を救い出し、独裁者としての地位を企む将軍の意図を粉砕すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その男はゼプキー将軍といって、来るべき選挙で独裁者の地位を確保しようと計画中である。それに真っ向から反対を唱え るものはただ一人、あくまで自由国家としての存続を願う枢機卿スタニラス・スーチェックだけである。ゼプキー将軍は一月前、修行のためゾルナー修道院に 入った枢機卿を監禁、枢機卿に似た替え玉を後釜に据えて選挙に万全を期し、一挙に独裁権を手中に収めようという腹である。
 そこで君の使命だが、枢機卿スーチェックを救い出し、ゼプキー将軍の意図を粉砕することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるい は殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ジョン・T・デュガンJohn T. Dugan
製作: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルターWilliam Read Woodfield and Allan Balter
監督: スットン・ロレイSutton Roley
【ゲスト出演】
ゼプキー将軍:セオドア・バイケル(加藤武)Theodore Bikel as General Casimir Zepke
スタニラス・スーチェック枢機卿&ナゴスキー:ポール・スティーヴンス(宮口精二)Paul Stevens as Stanislaus Cardinal Souchek/Anton Nagorski
フェルダー少佐:バーバラ・バブコック(谷口香)Barbara Babcock as Major Maria Felder
【場所】@指令(媒体):ある図書館の本棚の中にあるオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:あるヨーロッパの国
【役割】ジム:医者
ローラン:枢機卿オート・ローニー→スーチェックに変装→記者
シナモン:看護婦
バーニー:STEM操作→地下道より侵入→記者
ウイリー:STEM操作→地下道より侵入→記者
【道具】@STEM:筒状のものが伸びて修道院の中に蚊を入れる
A粘土状の薬品:紐で引っ張るとタイヤがパンク
B小型ライト
C十字架:中に棒が入っていて、2トンの重さまで耐えられる支柱
Dドアの内から鍵を閉める磁石:スーチェック部屋のドアは外からの止め金式の鍵になっている
【削除】確認できず
【見所】(06分00秒)隣の部屋をマジックミラー越しにスーチェックを見るナゴスキー
(09分20秒)蚊に血を吸われ40度の高熱を出すナゴスキーを心配し、ゼプキー将軍は病院に電話する
(14分00秒)マルタ熱かもしれないとナゴスキーを診断するジム
(25分40秒)棺の中に入れられたローランに300キロの蓋が閉められ、密室状態になる
(28分50秒)地下道に閉じ込められたバーニーとウイリーも酸素不足で意識が朦朧となる
(31分00秒)ローランが棺の中から脱出し、礼拝堂の内から鍵をあけ、二人を中に入れる
(40分00秒)酸素テントの中を見ると言って将軍が開けようとするが、シナモンが制止する
(47分20秒)将軍のことを類稀なる偽善者で人殺しと記者の前で語るスーチェック
【疑問点】@スーチェックに変装したローランはマジックミラーの前で読書をするだけの役割で、本当に変装する必要性があったのか?
【粗筋】STEMを通してトルナー修道院の中に病原菌を含んだ蚊を放つバーニーとウイリーである。蚊に刺されて感染したナゴスキーは40度の高熱を出し、 その日にテレビ中継の予定のあるゼプキー将軍は焦り、病院に電話をするが、ペストが流行していて医師が手を離せないと断られてしまう。タイヤを故意に パンクさせて修道院にジムは医者でシナモンは看護婦として入り、ナゴスキーにマルタ熱の診断を下す。ゼプキー将軍はナゴスキーを病院に連れて行か ず、ジムに修道院内で治療するよう命令する。そこへローランがスーチェックの友人として見舞いに来て、ナゴスキーを見て将軍に偽物だと見破ってしまうと、 将軍はローランを礼拝堂に連れていき、棺の中に閉じ込めて300キロもある蓋を閉めて窒息死させようとする。十字架の支柱を使ってうまく棺から脱出したロ ーランは、礼拝堂の中から鍵を開けてバーニーとウイリーを迎え入れる。そして、三人はスーチェックの監禁されている部屋に入り、スーチェックの目の前でロ ーランはスーチェックに変装し、バーニーとウイリーは壁のブロックを外す工作をする。ジムはナゴスキーの症状が悪化したので、酸素テントを取りつけることを 将軍に提案し了解を得る。酸素テントが曇っている間に、ナゴスキーと隣の部屋にいるスーチェックを入れ替えてしまうのだ。その後、本物のスーチェックは記 者たちの前で、ゼプキー将軍のことを類稀なる偽善者で人殺しと暴露して車に乗って去ってしまうのである。将軍はスーチェックに向かってナゴスキーと叫ぶ ところへ、フェルダー少佐がナゴスキーではありませんと言い、本物のナゴスキーが修道院にいると指差すと、唖然とするゼプキー将軍であった。
【解説】この「酸素テントの中」では、第1シーズンの「二重替え玉作戦」と同様、同一の部屋に同じ顔をした人物が三人揃うという見る者には楽しめるシーン が登場する。その三人とは、IMFが救助すべき枢機卿スーチェック、スーチェックの替え玉ナゴスキー、スーチェックのマスクを被ったローランである。ローラン がスーチェックに変装する必要性はあまり感じられず、ストーリーを視覚的に面白くするために登場させたとしか考えられない。
 ショーに使われる小道具も面白いものが二つ登場する。一つは、STEMと呼ばれるもので、普段は掌に載るような大きさであるが、モーターを作動させると 筒状のものが伸びて10メートルを越える長さになり、IMFはこれに病原菌を媒介する蚊を入れて、ナゴスキーの寝室に放つという役目に使われる。蚊は一匹 だけでなくかなりの数の蚊を放つので、ナゴスキー以外の人を刺したらどうなるかということを考えていなかったようにも見える。その後、ナゴスキーの寝室に IMFのメンバーが入る訳で、きちんと蚊を駆除したことが描かれていないのは疑問である。もう一つの小道具は、ローランが扮する枢機卿が所持する十字架 の中に隠されているもので、あらかじめゼプキー将軍に棺の中に密閉されることを予想していたのか、棺の蓋を持ち上げるジャッキと、棺の蓋の下に潜らせて 蓋を滑らせることのできるローラー状のものが隠されている。
 作戦としては、ジムとシナモンが医師と看護婦として偶然を装い、修道院を訪れてナゴスキーを診察する。ローランはスーチェック枢機卿の友人として訪問 するが、スーチェックでないことを見抜き、将軍に棺の中に密閉されてしまう。そして、棺から脱出したローランは地下道に通じるドアを開けて、バーニーとウイ リーを招き入れ、三人はスーチェックが幽閉されている部屋にたどりつく。一方、ジムは酸素テントをナゴスキーの顔につけ、中が曇っている隙に、壁のブロッ クを外してスーチェックとナゴスキーをすり替えるというものだ。
 記者会見の席で、スーチェックは将軍が偽善者で人殺しと発表して、将軍はそれでもまだ、スーチェックと気づかずにスーチェックに向かってナゴスキーと叫 ぶのを、少佐がナゴスキーは修道院にいることを知らせるのであった。将軍は誰の陰謀でこのような事態になってしまったか、最後までわからないまま幕が 降ろされる。


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