スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



64 幻の契約書 The Bargain
【目的】クーデターによる巻き返しを謀る将軍の意図を粉砕し、シンジケートの進出をくい止めること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その人物はネイロン将軍といって現在ではアメリカに亡命、厳重な警護のもとマイアミに蟄居するスラナイカ国の元独裁者 である。彼は今、クーデターによる巻き返しを謀っており、そのためこの男、シンジケートの幹部の一人フランク・レイトンからその資金を引き出そうとしている。 そして数百万ドルと引き替えに、クーデター成功の暁にはシンジケートにスラナイカにおける賭博場の経営を許可するというのだ。
 そこで君の使命だが、将軍の意図を粉砕しシンジケートの進出をくい止めるにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当 局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ロバート・E・トンプソンRobert E. Thompson
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: リチャード・ベネディクトRichard Benedict
【ゲスト出演】
ネイロン将軍:アルバート・ポールセンAlbert Paulsen as General Ernesto Neyron
フランク・レイトン:ウォーレン・スティーヴンスWarren Stevens as Frank Layton
サンタグラ大佐:ネイト・エスフォームズ Nate Esformes as Colonel Santagura
グラズニック:フィリップ・パイン Phillip Pine as Arnold Grasnik
ボディーガード:フィル・ポスナー Phil Posner as Bodyguard
ホテルマネージャー:ジェームズ・ウェルマン James Wellman as Hotel Manager
エディー:グレッグ・マーテル Gregg Martell as Eddie
ドクター・ブラント:ジェイ・ジョスティン Jay Jostyn as Dr. Brandt
ベルボーイ:リチャード・カリー Richard Karie as Bell Boy
【場所】@指令(媒体):ローラースケート場の中にある事務所でオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:マイアミ郊外
【役割】ジム:クーパー→シャイム(医者)
ローラン:ジョン・アーリントン・スミス(チャールス・カーソン)→警官
シナモン:給仕
バーニー:料理長
ウイリー:調理助手
【道具】@トランプ:黒い電球を照らすと裏が透けて見える
A映写機
B転写紙:ガラステーブルに書かれた署名を契約書に転写する
C小型望遠鏡:ネイロン将軍の金庫のダイヤル番号を覗き見する
Dバッグ:形状が変わる
E薬:二日酔いに似た症状の出る薬を卵に仕込む
F金庫の扉をスイッチで自動的に開ける
【削除】(07分50秒)こんなブイヤベースは食べられないとネイロン将軍は執事たちに文句を言う
(09分40秒)バーニーが助手と一緒でないと採用はお断りとネイロン将軍に言う
【見所】(06分00秒)ジムはホテルマネージャーに最上階とその下の階全て押さえろと言う
(12分50秒)レイトンはジムのことを何者で何をしようとしているのか探れと手下に指示する
(17分10秒)調理場を警備が調べようとするが、バーニーがうまく切り抜ける
(24分10秒)偽の契約書にネイロンのサインを転写するバーニーたち
(31分00秒)カードの裏が見えるという将軍にバーニーは手品使いでいらっしゃるととぼける
(34分40秒)レイトンの部下はスミスがエレベーターに乗ったと報告するが見つからない
(38分00秒)ローランがレイトンの机を物色しているのを手下二人に見つかる
(41分10秒)契約書の入ったカバンをすり替えるジムは、その後レイトンの手下に捕らえられる
(48分00秒)金庫の扉が開き、中は空でネイロン将軍がレイトンを射殺する
【疑問点】@凹面鏡は像を逆さに映すはずだが、映写機の映像は倒立した像を映していたのか?
【粗筋】祖国にクーデターを起こして権力回復を企むネイロン将軍は、バーニー、シナモン、ウイリーを調理係として採用する。トランプをすり替え、映写機とス ピーカーを荷物用エレベーターに仕込む。ジムとローランはレイトンの泊まっているホテルの最上階とその下を押さえる。ジムはレイトンの部屋に出向いてプレ ッシャーをかけると、ジムの部屋に隠しマイクをセットするのだ。レイトンはネイロンと契約書を交わそうとするが、ネイロンは現金取引だと主張して有価証券を 金庫に入れ、翌日に繰り越しとなる。翌日、バーニーが卵に仕込んだ薬のせいで具合が悪いと言ってネイロンは医者を呼ぶが、原因がよくわからず風邪と診 断される。そこへバーニーが食事の献立を聞きに伺うと、幻覚が聞こえたり、トランプの数字が見えたりとか、電話が鳴っていると言うのである。医者であるジ ムが診断すると、バンデルベルク症状で予知能力があり、一週間程度で治ると告げると、ネイロンはすぐ治してくれと頼むのである。ローランはレイトンの机 の中を物色中に見つかり捕まるが、警察だと言ってスミスとネイロンが契約して手を組む話をレイトンに聞かせる。そこへ捕らえられたジムがやってきて、スミ スとネイロンの契約書を見せるのだ。レイトンは有価証券を騙し取られたと言い、ネイロンの金庫の中にあるから警察なら取り戻してくれとローランに頼むが、 自分で取りにいけと突き放される。一方、バーニーはネイロンにレイトンから射殺される幻影を映写機で見せる。その後、レイトンがやってきて、有価証券を返 せとネイロンに言うと、金庫の扉が自動的に開き、袋の中の有価証券がなくなっている。それを見たネイロンはレイトンを射殺するのであった。
【解説】このエピソードでは、第1シーズンの「シンジケートをばらせ」で使われたIMFメンバーがコックとしてターゲットの悪漢の屋敷に入り込む作戦が使用さ れる。今回、バーニー、シナモン、ウイリーがネイロン将軍邸でコック及び給仕として採用され、数々のトリックや小道具を使いこなす。本エピソードに登場す る、トランプの数字が透けて見える黒い電球、ネイロンの署名を転写する紙、形状が変わるバッグ、金庫の扉を自動的に開けるリモコンスイッチなどは表現で きないくらいにアイデアの優れたものである。
 ジムとローランはネイロンとの契約に横槍を入れる資産家の存在をレイトンに植えつける役割をする。レイトンはジムが何者であるかを手下に調査をさせる。 レイトンは契約書を交わすためにネイロン邸を訪れるが、有価証券ではなく現金でないと契約できないとネイロンに断られ、有価証券を金庫の中に預けて一 旦帰るのだ。
 翌日、バーニーが卵に仕込んだ薬によりネイロンの体調が悪く、医者を呼んでも原因がわからず風邪と診断されてしまう。その後、トランプの数字が見えた り、幻聴が聞こえたりするのを医者のジムが予知能力のある病気であると診断する。
 一方、ローランはレイトンの事務所を家捜ししているところを見つかり、警官だと身分を明かして、スミス(ローラン)とネイロンとの契約の話をレイトンに聞か せる。そこへ、手下に捕らえられたジムが連れてこられ、スミスとネイロンとの契約書を見せる。有価証券を騙し取られたと思ったレイトンはネイロン邸に向か う。
 バーニーはネイロンにレイトンから射殺される幻影を見せる。その後、レイトンがやってきて有価証券を返せとネイロンに言うと、金庫が自動的に開いて中が 空であることがわかるや、ネイロンはレイトンを射殺してしまうのであった。
 IMFの作戦が複雑に入り組んでいるので、また、トリックがどのような効果をもたらすかというのが、結果を見てそのトリックを思い出すというパターンが続 き、じっくりと見ていないと見逃してしまうくらいである。特に、最後にネイロンが先に銃を撃ってしまったのは、レイトンに自分が殺される幻影を見て、このまま では自分が殺されると完璧に信じきってしまったということであろう。


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