スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館
エピソードガイド3
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【目的】盗まれた一千万ドルの在処を突き止め、時効前に犯人を警察の手に渡すこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 その男は、現在州刑務所において服役中のレイモンド・バレットであるが、囚人仲間のデーヴィスから得た情報によると、本 名をアルバート・ジェンキンスという。五年前現金輸送車を襲い、仲間を裏切って、奪った一千万ドルを独り占めにした主犯である。現在服役中なのはバレット と名前を変え、軽い罪で捕まり、5年の刑に服したからだが、それは現金強奪事件が時効になるのを待つためであり、時効は二日後に迫っている。したがっ てあと二月で釈放されるや、バレットは堂々と一千万ドルを自分の物にすることができるわけである。
そこで君の使命だが、一千万ドルの在処を突き止め、バレットを警察の手に渡すことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺さ れても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ポール・プレイドンPaul Playdon
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: アレクサンダー・シンガーAlexander Singer
【ゲスト出演】
バレット/ジェンキンス:ドネリー・ローデス(大塚周夫)Donnelly Rhodes as Raymond Barret &Jenkins
ボーマン医師:ジョン・ザレンバ(早野寿郎)John Zaremba as Dr. Jacob Bowman
マックス・デーヴィス:ヴィンス・ハワード(大宮悌二)Vince Howard as Max Davis
サミー・ギルバート:ウォルター・マシューズ(宮田光)Walter Mathews as Sammy Gilbert
受付:ルセッタ・ジェニソン Lucetta Jenison as First Receptionist
デヴィッド・シングルトン:ミルト・コーガン Milt Kogan as David Singleton
映像の女性:キャロル・アンダーソン Carol Andreson as Phonovision Girl
【場所】@指令(媒体):駐車場に停めてある車のダッシュボードからテープカートリッジを出す
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:キングスレイ博士
ローラン:ジュリアン・モーア博士
シナモン:病院の看護婦
バーニー:冷却装置の製造
ウイリー:冷却装置の製造→ホリスター(ゆすり屋)→作業員(ギルバートの部下を捕らえる)
ボーマン医師:刑務所の医師
【道具】@冷却装置
A近代的デザインの車
B映像装置と大型スクリーン
【削除】(11分00秒)刑務所に面会に来てバレットがあと2ヶ月もたないというデーヴィス
(27分20秒)冷却装置に寝たバレットにジムが声を掛ける
【見所】(05分30秒)バレットの前でジムにマイヤーの冷凍術を断るボーマン医師
(08分00秒)ボーマン医師より脊椎が冒されるスモン氏病と診断されるバレット
(17分30秒)冷凍術に興味を示し、ジムのところを訪れるバレット
(24分40秒)バレットがキングスレイの妻を実験台にしたことの証拠をジムに突きつける
(29分50秒)バレットが目覚めると病室にいるのに気づき、何かが違うと不思議がる
(36分20秒)現金は6年前に廃止され、全部キャッシュカードになったと言うローラン
(39分20秒)ロングビューのホースハイドの案内を受けるバレット
(41分50秒)今までのトリックがすべてイカサマと知るバレットは時効が過ぎたことを知る
(47分20秒)墓からお金を出したところで、ギルバートに見つかり射殺してしまうバレット
【疑問点】@日本の法律では、時効までに起訴に持ち込めないと時効が成立してしまうが、アメリカの法律では、時効まで逮捕すれば時効は成立しないのだ ろうか?
【粗筋】刑務所でボーマン医師がバレットの健康診断をしているところに、ジムがやってきて冷凍術の話をするが、それをボーマンは断る。バレットの診断の 結果、スモン氏病ということがわかり、二ヶ月ももたない命と宣告される。ボーマン医師の紹介でモーア医師(ローラン)を訪ねるバレットは、まだスモン氏病 は解明中で目鼻がつくのは4−5年先とローランに断られ、バレットは怒って出ていってしまう。今度はジムのところへ行くが、ジムはスモン氏病と聞き、冷凍 しても意味がないと突き放す。そこへ電話がかかってきて、バレットはジムの弱みを握るネタを探り出す。ジムの後を尾行してウイリーと接触したのを見て、ウ イリーの部屋に忍び込み書類を盗んでジムを脅迫し、冷凍術を強要して冷凍術の実施にこぎつける。そして、目が覚めると病室の中で、見たこともないような 映像機器と大型スクリーンがあり、外を見ると見たこともないような車の姿があり、様子がおかしいとバレットは感じる。そこへローランが現れ、バレットは見事 に生き返ったと言われ、既に11年が経ったことを知らされる。また、キングスレイ(ジム)は5年前に自殺したと聞かされる。さらに、現金が廃止されすべてキ ャッシュカード化されたことや、区画整理が行われていることなどを聞いた後、バレットがインフォメーション案内で、ロングビューのホースハイドの案内を受け ることからお金の隠し場所が判明する。そして、ドアにテープをつけて脱出するバレットは、セットを見てすべてがイカサマであったことを知る。そして、新聞の 日付から時効を1日過ぎていることを知り、ホースハイドの墓地に向かうのだ。また、強盗事件の共犯者であるギルバートらも嗅ぎつけ、ジムたちに銃を向け バレットのところへ連れて行けと脅す。車に乗って墓地に着くと墓石を開け、中からトランクを取り出すバレットの姿があり、バレットはギルバートを射殺したと ころへ警官隊が踏み込み御用となるのであった。
【解説】このエピソードは冷凍人間という当時話題になった医療技術をヒントにして、「スパイ大作戦」なりに面白くアレンジしたものである。それに「欺瞞作戦」 で使われた本来の目的を隠すために、見破られることを前提にした作戦が使用され、さらに、「大量殺戮者」で使用された時間のトリックも再登場する。作戦 は複雑であるものの、「欺瞞作戦」ほど綿密に練られておらず、少し粗が目立つ内容になってしまっているのは残念だ。
一千万ドルを強奪したバレットは、名前を変えて軽い罪で服役中であるが、時効が二日後に迫る中、IMFが取った作戦はバレットを冷凍人間にするというも のである。まず、バレットが不治の病になって、治療法が確立されるまでに冷凍人間になりたいと思わせる。IMFの方から冷凍術を施すのではなく、バレット にどうしても冷凍術を受けたいという積極的な気持ちにさせるように仕向けるのだ。そして、冷凍術が施されて、バレットが目を覚ますと11年後の世界になっ ているというトリックだ。未来型の車が登場し、大型ディスプレイと映像装置が目の前にあり、チャンネルを選ぶと現金が廃止されており、近々現金を隠した場 所が区画整理されることを知る。
医師を騙してドアに細工をしたバレットは、隙を見て脱出し、新聞の日付から冷凍術はイカサマで時効の日を1日過ぎていることに気がつく。冷凍術という大 胆な詐欺に遭って、それがイカサマだと気づいた時、すべてのものが信じられなくなるのが普通だと思うが、新聞の日付が時効より1日過ぎていたとしても、 それが本当かどうか調べるのが人間の心理だと思う。まして、一千万ドルという大金がかかっているのだから、バレットが新聞の日付のみを信じたという設 定は多少軽率だろう。
一千万ドルを狙うさらなる敵も現れ、IMFに銃を突きつけて現地まで連れて行くことになる予想外の展開の中、墓地に到着したIMFの前には、墓石の前で 一千万ドルをトランクに入れたバレットの姿があり、驚いたバレットは発砲するが、警官隊が踏み込むという結末である。
それにしても、劇中、登場する流星形をした未来型自動車は30年経った現在でもお目見えしないが、最初はデザイン的に何か大きな欠点でもあるのだろ うかと思ったが、実は道路の方に問題があり、制限速度が30年間据え置きであることを考えると、未来型自動車が製造されてもそれを走らせる道路がない という皮肉な結果に気がついたのである。 |
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