スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



69 ガラスの監房 The Glass Cage
【目的】革命のリーダーを監禁されている刑務所から救出すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 その人物は名前をアントン・ライズナーといい、横暴を極める現政権に反対するレジスタンスのかけがえのないリーダーであ るが、三週間前に逮捕され脱出不可能を誇るその国のトラスト刑務所に投獄されてしまった。そしてその刑務所の現所長ニコラス・ゼリンコ少佐は目下ライズ ナーの口を割り、レジスタンスの他のリーダーの名前を聞き出そうと躍起である。
 そこで君の使命だが、ライズナーをそのトラスト刑務所から救出することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局 は一切関知しないからそのつもりで。なお、このフィルムは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ポール・プレイドンPaul Playdon
原案: アルフ・ハリスAlf Harris
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: ジョン・モクセイJohn Moxey
【ゲスト出演】
ニコラス・ゼリンコ少佐:ロイド・ボークナー(中村正)Lloyd Bochner as Major Nicholas Zelinko
グルカ大尉:ラリー・リンヴィル(中田浩二)Larry Linville as Captain Gulka
アントン・ライズナー:リチャード・ガーランド Richard Garland as Anton Reisner
ヴァスニー少尉:ルー・ロブ Lou Robb as Lieutenant Vasney
サボ:ジョージ・ペリナ George Perina as Szabo
警備兵:アル・シェリー Al Shelly as Guard
警備兵:マックス・クレヴィン Max Klevin as Guard
【場所】@指令(媒体):あるゲームセンターの中の白黒映像が映る機械
A舞台:ある国
【役割】ジム:ドレイナー大佐
ローラン:ブリノフ少佐
シナモン:クリスティン・ゼンスキー(アンナ・ニラス刑務長官)
バーニー:囚人
ウイリー:囚人
【道具】@ダイヤルが飛び出すカバン:タオルが出てくる 
A火で燃やすと金属が溶けるもの:監房の鍵を壊す
Bカバンのダイヤル型催眠ガス
C矢尻型止め金:ロープを通してもう一方の端の壁に止め金を打ち込んで綱渡りをする
Dビデオテープの内容を消す装置
【削除】(06分20秒)ゼリンコ少佐がガラスの監房を開けライズナーに今日で最後と告げる
(16分50秒)シナモンが記録保管室にグルカ大尉を案内させる
【見所】(12分20秒)アンナ・ニラスの本物が来たとシナモンに銃をつきつけるゼリンコ
(15分00秒)ジムとローランがゼリンコと挨拶し命令書を見せる
(22分30秒)ライズナーに沈黙を守ってくれてありがとうと礼を言うゼリンコ
(29分40秒)シナモンの仕掛けた催眠ガスでガラスの監房の周りにいた全員が倒れる
(38分00秒)バーニーがライズナーにマイクで97、17、43と語りかける
(40分40秒)バーニーとウイリーが監房から脱出したところを見つかる
(42分10秒)ガラスの監房が開けられた痕跡に気づくゼリンコは、シナモンに異常なしと報告する
(44分30秒)ゼリンコはライズナーが喋るので本物じゃないと言う
(47分10秒)ライズナーの指紋が一致せず、本物と主張するゼリンコは逮捕される
【疑問点】@一つの大きなポイントはライズナーが喋ることだが、たったこれだけでライズナーが偽物と判断してしまうゼリンコ少佐には疑問である。
【粗筋】ジムがドレイナー大佐、ローランがブリノフ少佐として、ライズナーの訊問係として担当することになったとゼリンコ署長に電話で告げる。シナモンは刑 務長官のアンナ・ニラスとしてゼリンコに会うが、アンナ・ニラスを名乗るもう一人の女性と会わせて、銃をシナモンに向けるゼリンコである。シナモンは下手な 芝居はやめなさいと毅然たる態度を取り、ゼリンコもシナモンが本物と認めるのである。ジムとローランはライズナーの件の命令書をゼリンコに見せる。一方、 シナモンは記録保管室に入りライズナーのファイルを差替える。ローランは新しい薬と称して注射をライズナーに打つが、全く効果がなく、脳の手術をすること に決まる。シナモンはローランと以前に付き合っていた経験があり、ローランが保安長官の椅子を狙っていると言い、後で自分の部屋に来ることになっている ので、ゼリンコに一緒に部屋まで来てくれるよう頼むのだ。そして、ローランの申し出を断るところをゼリンコの前で見せるのである。その間、シナモンの仕掛 けた催眠ガスによりガラスの監房にいる者を全員眠らせ、バーニーとウイリーは監房から抜け出してガラスの監房を開けてしまい、ライズナーに助けにきた旨 を伝え、何でもいいから喋ってくれと頼む。そして、マスターコントロールルームを停電させ、わざと捕まるのである。この騒ぎに驚いたゼリンコとグルカが、ライ ズナーに話しかけると喋り出すので、偽者とすり替えられたと思い、刑務所の名誉のためにこのまま本物で通そうと言うのである。この会話は他の者も聞く 中、ゼリンコは記録保管室にいるところを押さえられる。ジムはグルカの前でゼリンコ一人を悪者にし、グルカにすべてを吐かせる。これに対してゼリンコはラ イズナーが本物と言い張るが、指紋が一致しないことで、ゼリンコはファイルがすり替えられたと主張するが、シナモンの命令でゼリンコは逮捕されてしまう。 脱走した二人とライズナーの偽者は保安本部でみっちりと取り調べをするとシナモンは言い残し、IMFメンバーとライズナーは刑務所から脱出するのであっ た。
【解説】このエピソードで描かれている監房は、まさに難攻不落のものであり、IMFも正攻法での救出は不可能と考えたのだろう。周囲よりも高いところに置 かれたガラス張りの監房は、監視カメラもさることながら、誰からの目にも見えるようになっており、囚人が座るだけのスペースしかなく、ドアの開け閉めはデ ジタルカウンターに示され、ノート上にも厳重に記録されている。囚人のトイレの時はどうするのだろうという疑問が残るが、IMFはいつもとは違う戦法を取る のだ。
 ライズナーの口を割れないゼリンコ所長に代わり、ジムとローランがライズナーの訊問官、また、シナモンは刑務長官として派遣される。シナモンは隙を見 てライズナーのファイルをすり替える。一方、バーニーとウイリーは囚人として潜入し、催眠ガスを使用して監房を監視している者を全員眠らせた後、ライズナ ーに何でもいいから喋るように伝え、停電させて故意に捕まる。
 この騒ぎに驚いたゼリンコは、ライズナーに話しかけると喋るので偽者とすり替えられたと思い、部下に対して刑務所の名誉のために本物で通そうと言うの である。この会話の内容は皆に聞こえ、ゼリンコが記録保管室にいるところを押さえられる。ゼリンコはライズナーが本物と主張するが、指紋が合わないこと からシナモンはゼリンコを逮捕してしまうのだ。
 たかが喋っただけでライズナーを偽者と判断したゼリンコが間抜けなのか、ライズナーが長期間一言も喋らない戦略を取ったのか、はっきりとはわからない が、劇中、ゼリンコがライズナーの脳の移植手術をすることに触れる一幕がある。脳の移植手術に関しては、夢のある話であるが、現代でも成功した事例を 聞かない。恐らく、今では不可能であることが判明しているかもしれないが、当時は、心臓移植、腎臓移植などと同じようなレベルで脳移植も考えられていた のだろう。ちょうど同じ頃に日本で製作された「ウルトラセブン」でも、サルと人間の脳移植をモチーフにしたエピソードが作られている。


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