スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド3



74 ニトログリセリン Nitro
【目的】将軍らの戦争誘発計画を未然に防ぎ、再び彼らが平和を脅かすことがないようにすること
【指令】おはよう、フェルプス君。 今君が見ているのはカラク王国のゼック将軍である。このゼック将軍は隣国アジール共和国との平和協定に反対、軍事工 場を経営しているその人物イズミール・ナジッドと共謀して、両国の間に逆に戦争を誘発させようとしている。すなわちカラク王国の国王サイッドが平和協定を 公表する政府庁舎を爆砕し、これを隣国アジール共和国の仕業だと思わせるのがその具体的計画である。
 そこで君の使命だが、この計画を未然に防ぎ再び彼らが平和を脅かすことがないようにすることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あ るいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: ブルース・ケスラーBruce Kessler
【ゲスト出演】
ゼック将軍:ティトス・ヴァンディス(小林昭二)Titos Vandis as General Zek
スコーラ:マーク・レナード(西田昭市)Mark Lenard as Aristo Skora
イズミール・ナジッド:サンドール・ソボー(真木恭介)Sandor Szabo as Ismir Najiid
サイッド国王:ジョー・E・タタ(小林恭冶)Joe E. Tata as King Said
タマール将軍:ディック・ラテッサ(和田啓)Dick Latessa as General Tamaar
アブドゥル・アル・タレク少佐:ピーター・コー Peter Coe as Major Abdul-al-Tarek
【場所】@指令(媒体):階段を昇ったところにある部屋の本棚からフィルムを取りエディターにかける
A舞台:カラク王国(アジール共和国の隣国)
【役割】ジム:ジャック・ロジャー(世界通信社)
ローラン:警官→ニトログリセリン奪取→ハキム→スコーラに変装
シナモン:マドモアゼル・デュブレー(ハキムの愛人)
バーニー:ハーパー(コンピューター技師)
ウイリー:警官→ニトログリセリンのトラック運転手
【道具】@保冷トレイ:ニトログリセリンが3瓶入る大きさ
A薬:仮死状態にする
Bトラック:ラジコンで動く
C盗聴機
【削除】(38分40秒)病人(ナジッド)が発生したので救急車を手配する警備兵
【見所】(12分30秒)ローランが8時丁度に作業を開始し、5分までに戻ってくるとウイリーに言う
(19分50秒)フォークリフトがバッテリー切れで、予備のものと交換の必要が出てしまう
(27分20秒)ニトログリセリンの入った保冷トレイをウイリーが受け取りトラックに積む
(28分10秒)トラックに銃弾が当たり、ブレーキオイルが漏れる
(38分30秒)ニトログリセリンを積んだトラックを庁舎の前で待機させスコーラを乗せる
(42分10秒)国王のTV中継が中断し、ゼック将軍にはローランが偽の情報を伝える
(43分30秒)ゼック将軍が軍の非常回線を通じ、政府庁舎がハキムによって破壊されたと放送する
(45分40秒)ブレーキオイルの漏れでラジコンが効かず、エンジンブレーキで止めるバーニー
(47分50秒)ハキムの面を剥がすとスコーラの顔が出てくる
【疑問点】@最後にローラン(ハキム)の青い目が仮面を取ると、スコーラの茶色い目になるのは何故だろう?仮面と一体型のコンタクトレンズがあるのだろう か?
【粗筋】ローランとウイリーは警官に扮して、ナジッドの手下スコーラに銃を突きつけ拉致する。ジムはタマール将軍に会い、サイッド国王と挨拶し、シナモンの ことをハキムの愛人だから要注意と情報を流す。バーニーはコンピューター技師としてナジッドの事務所に入り、8時ちょうどに防犯システムを解除し、その間 ローランはニトログリセリンを保管庫より3瓶盗んで、フォークリフトで運ぼうとするが、バッテリー切れを起こして交換する必要が生じ、余分な時間を食ってし まう。やがて、警備兵に怪しまれニトログリセリンの周辺を調べろという命令が出される。そして、パトロール車のバッテリーが奪われていることがわかり、警 報を鳴らそうとするが鳴らず、一斉に近辺の捜索に乗り出すのである。その間、ローランはニトログリセリンを運び出し、ウイリーに渡してトラックに載せ、二人 は逃げるのだが、警備兵の銃弾がトラックのブレーキオイルタンクに命中し、オイルが漏れていることを二人は知らずにいるのだ。倉庫に戻ったローランはス コーラに変装し、スコーラにハキムのマスクをつけ、薬を使って仮死状態にし、ハキムを死んだことにしてしまう。ローランはゼック将軍にハキムの持っているニ トログリセリンを使って政府庁舎を破壊することを提案する。政府庁舎では国王の演説のTV中継がされており、ジムによりナジッドは病人にされ、政府庁舎 に寝かせられてしまう。そして、ニトログリセリンを載せたトラックが目の前に停まっているが見え、ナジッドは焦るのだ。一方、ゼック将軍へはテープを流しな がら、政府庁舎が爆発する様がローランより報告される。ジムの工作により、国王の演説中継が中断され、ゼック将軍により軍の非常回線を通じ、政府庁舎 がハキムによって破壊されたと放送してしまうのだ。ところが、この放送を見てないナジッドは、国王らにトラックにニトログリセリンが積んであり、ゼック将軍と ハキムの陰謀で政府庁舎が爆破されるからトラックを止めてくれと頼む。トラックはバーニーのラジコン操作で政府庁舎に向かって動き出すが止まり、運転台 にはハキムが眠っており連行される。そして、政府庁舎に連れてこられたハキムは目が覚め、驚くとともに顔のマスクを剥がすとスコーラの顔が現れるのだ。 そして、反逆罪ということで、ナジッドとゼック将軍も逮捕されてしまうのだった。
【解説】この「ニトログリセリン」は、「欺瞞作戦」とか「二重スパイをでっちあげろ!」で見られるような論理的に練り上げられた難解なエピソードとは違った難解 さが見受けられる。恐らく、製作の時のゴタゴタがそのまま整理をつけられずに出来上がってしまったのだろう。時にラストシーンで、ローランの青い目がマス クを剥がすと茶色い目に変わってしまうという大失態がそれを象徴しているようだ。その他にも、見ていてIMFが何をしようとしているのかよくわからないシー ンも散見している。
 その整理のつかない難解なエピソ−ドであるが、ハイライトシーンになるニトログリセリンをローランが盗み出すところはうまく描かれている。セリフもなく淡々 とローランがニトログリセリンの入った瓶を箱に入れて、フォークリフトに載せるが、バッテリーが切れてピンチを招く。ローランの機転で別の車から調達する が、貴重な時間を費やし、制限時間をオーバーしてしまう。敵にも察知されて追われる破目になるが、ローランはニトログリセリンがゆらゆら揺れる中、フォー クリフトを注意しながら運転してウイリーに届ける様子は、実にスリル感いっぱいに描かれている。
 この逃走の際、敵の銃弾がトラックのオイルタンクを直撃して、オイルが漏れるシーンを強調するが、これがその後どう影響するのかがなかなか示されな い。その後、倉庫の中に入ったトラックのオイルタンクを映すシーンも見られるが、スコーラがそのオイル跡を追って倉庫までやってきたようにも見える。しか し、オイル漏れに関しては、これだけ漏れているのにIMFの誰もが気づかないというのも不思議な気がする。そして、オイル漏れの効果については現れるの は最後の方のシーンで、バーニーのラジコンでのコントロールが利かずに、バーニーがエンジンブレーキでトラックを止めることで具体的に示される。
 クライマックスにおけるIMFの取った作戦はわかりにくい。ローランはゼック将軍に政府庁舎にニトログリセリンを積んだトラックを突っ込ます提案をし、政府 庁舎爆破の偽の実況放送をゼック将軍に聞かせ、これを信じた将軍は軍の非常回線を使って政府庁舎爆破を放送してしまう。一方、ジムはナジットを病人に 仕立てて政府庁舎内に寝かせてしまう。ナジットの目にはニトログリセリンを積んだトラックが見え、ゼック将軍の放送を聞いていないので、国王にニトログリ セリンを積んだトラックを止めてくれと頼むのである。


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