スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



89 移植手術を演出しろ The Brothers
【目的】幽閉・監禁されている国王を救出し、その王権の回復を図ること
【指令】おはよう、フェルプス君。 西側に友好的なカマダン国王セリーム三世は、約半年前からいずれかに幽閉・監禁されており、幽閉の首謀者は王の実の 弟サマンダル王子である。そして今や王の権力を代行するサマンダル王子は、その国の主な財源である莫大な石油の利権を自由にしており、それに反対す る者を拷問と殺人によって抑えているのはハタフィス大佐といって、中東において蠍の如く恐れられている秘密警察長官である。
 そこで君の使命だが、国王セリームを救出し、その王権の回復を図ることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局 は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: リー・ヴァンスLeigh Vance
原案: ロバート・C・デニスRobert C. Dennis
製作: ブルース・ランズバリーBruce Lansbury
監督: ムレイ・ゴールデンMurray Golden
【ゲスト出演】
イリナ:ミシェル・キャリー(池田昌子)Michele Carey as Lisa
セリーム三世&サマンダル王子:ロイド・バティスタ(中田浩二)Lloyd Battista as King Selim/Prince Samandal
ハタフィス大佐:ジョセフ・ラスキン(天草四郎)Joseph Ruskin as Colonel Hatafis
ラバシ医師:リー・バーゲリー Lee Bergere as Dr. Labashi
アムド:デヴィッド・フレスコ David Fresco as Ahmed
ベラム:ノエル・デ・ソウザ Noel De Souza as Behram
ファリド:ヘンリー・ブランドン Henry Brandon as Farid
看護婦:エリザベス・ペリー Elizabeth Perry as First Nurse
レポーター:フレッド・ヴィラニ Fred Villani as First Reporter
レポーター:リー・ダンカン Lee Duncan as Second Reporter
【場所】@指令(媒体): 公衆電話機の下部にあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台: カマダン王国
【役割】ジム: ドクター・エリック・ムルハウザー(シュミット)
パリス:タキス・デメトリアス(石油王)→ドクター・ラバシに変装
バーニー:手術助手
ウイリー:手術助手
イリナ:イリナ・ベントリー
【道具】@コンパクトのスイッチを押すと薬が出てくるコニャック
A偽の皮膚と血糊
B火炎放射機:体育館の床を切る
C腎臓のダミー
Dワイヤーで吊るした患者用ベッド:リモコンで上下する
E王子と国王の顔人形
【削除】(19分40秒)ジムがラバシ医師に移植手術がいいと薦める
(26分10秒)ジムがスタッフに手術の段取りについて説明する
【見所】(06分40秒)国王の手紙を持ってデメトリアスが来たという報告を王子が受ける
(10分10秒)パリスが階段から転落してジムが駆けつける
(16分10秒)サマンダル王子が倒れ、ラバシ医師は尿毒症と診断する
(21分40秒)ジムが手術はできないと言うと、ハタフィス大佐は報道の方は抑えると約束する
(27分50秒)イリナはハタフィス大佐に、デメトリアスの嫌いなタイプだから首になると言う
(31分40秒)ラバシ医師が真相を知って銃を突きつけたところをパリスが背後から殴打する
(37分20秒)ハタフィス大佐の陰謀により主電源が切られて停電になる
(44分30秒)ハタフィス大佐は国王の部屋に侵入し、酸素吸入器を止めてしまう
(47分00秒)サマンダル王子とラバシにより国王は殺されたと発表するハタフィス大佐
(48分00秒)本物の国王が現れて慌てるハタフィス大佐
【疑問点】@サマンダル王子の酸素吸入器が止められ、劇中死んだことになっているが、実際手術をしていない訳だから、本当は生きているのでは?
【粗筋】パリスは石油王デメトリアスとして国王セリーム三世を訪ねるが、国王不在で代わりにサマンダル王子と石油の話をする。ところが、英国と同額のバ レルあたり12セント上乗せするという交渉をした後、パリスは階段から転落してしまい、医師であるジムを呼ぶことになる。サマンダル王子はイリナを夕食に 誘い、パリスが贈ったコニャックに仕込まれた薬品で倒れてしまう。そして、ラバシ医師は尿毒症と診断し、専門外なのでよくわからないと言う。イリナがデメト リアス(パリス)の専門医のジムが腎臓の専門医だと言い、ジムを呼びつける。ジムはラバシに腎臓移植手術がいいと助言し、近親者で誰が腎臓提供者に なるかと聞くと、国王にするとサマンダル王子は答える。そして、体育館で手術が行われることになり、バーニーとウイリーは体育館の下から火炎放射機で 床を繰り抜き、サマンダル王子と国王セリーム三世を地下室に降ろし、サマンダル王子の髭を剃り、国王の顔には髭をつけて再びワイヤーで上に運び、二人 を入れ替えてしまうのだ。手術中にハタフィス大佐の陰謀により停電騒ぎがあるが、バーニーが素早く対応し、すぐに回復する。手術が完了して二人は別々 の部屋に寝かされるが、ハタフィス大佐は国王(サマンダル王子)の部屋に侵入し、酸素吸入機を止めてしまい、看護婦より国王が死んだと知らされる。その 後、ハタフィス大佐は要人たちを呼んで、国王はサマンダル王子とラバシの陰謀により殺害されたと発表し、今日から自分がこの国の摂政になると宣言する のである。ハタフィス大佐の言葉だけでは信じられないという要人たちであるが、そこへ本物の国王が現れ、ハタフィス大佐は恥をかくのであった。
【解説】この「移植手術を演出しろ」では、IMFによる腎臓移植手術がトリックとして使われる。偽の移植手術を扱ったものとしては、本シリーズ初めての試み であり、第6シーズンの「奇跡の心臓移植」でも同様のシーンが見られる。腎臓移植手術は弟の王子を助けるために、幽閉されている兄の王の腎臓を移植す るという内容で、どこに監禁されているかわからない王の身柄確保がその狙いである。
 IMFはイリナがサマンダル王子に接近し、コニャックに仕込んだ薬を王子に飲ませて尿毒症を演出して、移植手術の必要な状態にする。そして、王と王子を 体育館のベッドに寝かせて移植手術を演出する。バーニーとウイリーが地下より体育館の床を切って、王と王子の寝ている寝台をワイヤーで降ろす。地上で は、テーブルの枠が残り、王と王子のダミーの顔が置かれて寝ているように見せかける。地下では二人を入れ替えて互いに変装させて、再び地上に戻すと いうものだ。ジムは本当の手術をしているように血糊のついた器具をバケツに落としてもっともらしく演出するのだ。
 ハタフィス大佐は国王殺害を謀って、すり替わっているとは知らずに王子の酸素吸入器を外してしまうのだ。そして、政府の要人を集めて大佐は、国王は王 子と医師の陰謀で殺害され、自分が摂政になることを宣言してしまう。要人たちは大佐の言葉だけでは信じられないという中、本物の国王が目の前に現れ て大佐は恥をかく結末に終わる。王子は酸素吸入器を外されたとしても、手術が偽物であるため死んでいないはずで、王子と大佐の行く末については、残念 ながら劇中では見ることができない。
 いつものストーリーと違って、IMFが命を狙われるような危機感が襲うシーンもなく、ストーリーは淡々と進行する。そのためか、最後に大佐を出し抜くシーン はあまりインパクトがあるようには思えない。このようなシーンを見慣れてしまったということかもしれない。余談だが、今回IMFに協力する女性イリナは、原版 では「リサLisa」という名前である。どうして日本版でイリナになってしまったのか疑問が残る。強いて理由を挙げるとすれば、リサという名前が日本にもあると いうことで、IMFメンバーの名前は洋風の名前にする必要があったということぐらいしか思いつかない。さて、真偽の程はいかに。


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