スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



93 時限原子爆弾 Time Bomb
【目的】原子炉を一大原子爆弾とする計画を阻止すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 十二年前、その男アントン・マレックは、原子力研究計画を吸収するため連邦人民共和国に潜入した。ところが最近になっ て不治の病におかされたマレックには、本国の命令を無視した独断が目立ち始め、ついに明後日午後4時を期し原子炉を一大原子爆弾と化して爆発させよ うと謀るに至った。もしこれを許せば、連邦人民共和国の首都は一瞬にして壊滅、ひいてはそれをきっかけに核戦争を招くことは必至である。
 そこで君の使命だが、マレックのこの計画を阻止することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しな いからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ポール・プレイドンPaul Playdon
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: ムレイ・ゴールデンMurray Golden
【ゲスト出演】
ウェイ・リー:バーバラ・ルナ(野口ふみえ)Barbara Luna as Wai Lee
将軍:バート・フリード(早野寿郎)Bert Freed as General Brenner
アントン・マレック:モーガン・スターン(滝田祐介)Morgan Sterne as Anton Malek
ウィマー医師:ウィリアム・ハンセンWilliam Hansen as Dr. Wimmel
レグラー:マイケル・ミクラー Michael Mikler as Lt. Reigler
IMFキャプテン:ジャーク・デンベックス Jacques Denbeaux as IMF Captain
IMFキャプテン:ジョン・アニストン John Aniston as First IMF Captain
医師:アート・コーリアス Art Koulias as Doctor
技術者:マリオ・マシャド Mario Machado as Technician
看護婦:ルセッタ・ジェニソン Lucetta Jenison as Nurse
職長:ロバート・ブラルヴァー Robert Bralver as Foreman
オルデリー:アレン・ブライウァイス Allen Bleiweiss as Orderly
【場所】@指令(媒体):噴水が舞う公園のベンチに置いてあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:連邦人民共和国
【役割】ジム:イワドール・ボルゴフスキー
パリス:デートリッヒ大佐→副首相の部下、副首相、首相の声帯模写
バーニー:ステンドグラスの台に隠れて原子力研究所に侵入→シャンビー
ウイリー:道路工事作業員→ジムの助手
ウェイ・リー:ミヤズミン
【道具】@薬:危篤状態になり、息を吹き返し、再び失神する
Aパイプとステンドグラスをリモコンで割る装置
【削除】(33分50秒)パリスがジムとウイリーにビルから退去するように言う
(38分50秒)バーニーがジムにマレックが目覚めたと連絡する
【見所】(09分00秒)マレックがここ2年間、血を注いできた部屋で別れを告げたくてと言う
(15分10秒)飛行機が近づきバーニーがスイッチを入れると、パイプとステンドグラスが割れる
(24分10秒)不治の病に効く薬をIMFの用意した薬とすり替えるパリス
(30分00秒)マレックが例の病気でとパリスが話すと、ミヤズミンは首相も同じ病気と言う
(36分50秒)気を失ったマレックを別のビルに車で運ぶIMF
(39分40秒)壁の下敷きになっているミヤズミンは、マレックに生きることを考えるように励ます
(43分50秒)時計に傷がないことに気づくマレックは作業の手を止めてしまう
(47分10秒)ジムは5時のピンだと思うと言い、バーニーもあんたが言うならそうすると答える
(47分40秒)セットの壁が取り除かれ、マレックはジムの顔を見て驚く
【疑問点】@装置が偽物と気づき5時ではなく11時のボルトを開けようとするマレックの心理は何だろうか?4時になって爆発して自分も死んでいいと思った のだろうか?
【粗筋】ジムは奪い取ったステンドグラスを持ち込んで原子力研究所に設置して芸術家になりすます。バーニーはステンドグラスの台車に隠れており、原子 力研究所内に侵入する。そして、パイプに爆薬をセットし、ジェット機が近づくとともにパイプとステンドグラスを同時に割るのだ。ジムはステンドグラスを再製 作するのにもう一度モデルであるミヤズミン(ウェイ・リー)を見ないとインスピレーションが沸かないとして首相の許可を得て、ミヤズミンが原子力研究所にや ってくる。また、パリスもデートリッヒ大佐として首相の命を受けて原子力研究所を視察することになる。ミヤズミンはマレックに不治の病を治してさしあげると 言うと、迷信には縁の薄い科学者だとマレックは答えるが、意識が朦朧としてウィマー医師を呼ぶ。海外行きを断念するマレックにパリスは何故病気を隠して いたと責めるところへ、ミヤズミンは首相も同じ病気だと口を滑らせてしまう。そして、ミヤズミンは献身的にマレックの看病をするが、薬で気を失ったマレック を別のビルに車で移してしまう。一方、原子力研究所の建物の壁に亀裂が生じ、バーニーは調査すると言ってコントロール室に入りこむ。目が覚めたマレック は、壁の下敷きになっているミヤズミンから生きることを考えるよう励まされ、原子爆弾の解除を偽のコントロール室のセットで行う。1時、9時、3時、7時のボ ルトをマレックが順番に取り外し、テレビモニターで見ているジムはバーニーに伝え、バーニーが本物のコントロール室で作業する。そして、5時のボルトをマ レックが外そうとして手の動きを止めてしまい、11時のボルトを外そうとする。ジムはおかしいと思いバーニーに連絡すると、時計に傷がないことがばれてし まったことに気がつく。ジムは確信がないが11時ではなく5時だと思うと言い、バーニーもジムが思うのならそうすると答え、5時のボルトを外すのだ。そし て、時間ぎりぎりで時限装置を外すことができたバーニーは、いい感しているよとジムを賞賛し、セットの壁が取り外され、マレックはジムの顔を見て唖然とす るのであった。
【解説】このエピソードでは、髭とカツラをつけたジムが芸術家として演じるが、あまり似合っていない。「スパイ大作戦」において、リーダーのジム・フェルプス に関しては、マスクを被って変装するシーンが全くなく、恐らく変装能力がないのだろう。しかし、顔は素顔で今回のように髭やカツラをつけて登場するエピソ ードが数話ある。
 マレックの仕掛けた原子爆弾の時限装置を解除するために、IMFは偽の装置を準備して、マレックを眠らせた後、その偽の装置でボルトを解除する順番通 りに、本物の装置に座るバーニーにジムが連絡して時限装置を解除しようという作戦である。これは、「盗まれた化学式」で見られた12階にある事務所のコ ピーの部屋を11階に作ったのと同じような場所のトリックが巧妙に仕組まれたものである。
 不治の病にかかったマレックを病気にしてしまうウェイ・リー(ミヤズミン)だが、その後、マレックに生きる可能性を諭し、励まして希望を与えるという重要な 役割を担う。これによって、マレックは自分の仕掛けた時限装置を解除しようとする気になるのだ。第1シーズンの「生贄」で悩めるスパイのエレナを好演した バーバラ・ルナが、今回、IMFの協力者として神秘的なエージェントを熱演する。
 何といっても、ハイライトは終盤のシーンで、偽の装置の前でボルトを外すマレックをモニターで見ながらジムがバーニーにどのボルトを外すか指示するとこ ろである。最初はまんまとマレックがひっかかり、順調に作戦が進んでいたが、後ボルトを2本残したところで、マレックがトリックに気がついてしまうのだ。こ の時、マレックは5時のボルトを外そうとするが、怪しい動きをして11時のボルトを外そうとして手を休めてしまう。爆破までの残り時間が少ない中、ジムは" 確信がないが、11時でなく5時だと思う。"とバーニーに伝える。これに対して、"あんたが思うならそうする。"とバーニーは答える。結局、ジムの判断は正し く、上司の考えていることを100%信じる部下と、IMFリーダーとしてのジムの素晴らしい洞察力と判断力が滲み出ているエピソードである。


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