スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



97 暗殺路線 Gitano
【目的】将軍の独裁者の座に就く野望に終止符を打つこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 サルデア王国の摂政アラガス将軍は、若い国王ヴィクターを暗殺しその罪を国王の叔父であるモンテゴのクレメント大公に なすりつけようと計画している。このようにして次々に王室一族を亡き者にした末、アラガス将軍は独裁者の座に就き、戦争によって近隣国家を征服しようと いう野望を持っているのだ。
 そこで君の使命だが、将軍のこの野望に終止符を打つことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知し ないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: バリー・クレーンBarry Crane
【ゲスト出演】
アラガス将軍:マーク・リッチマン(外山高士)Mark Richman as General Stefano Aragas
モヤ大佐:ルディ・ソラリRudy Solari as Colonel Moya
クレメント大公:バリー・アトウォーター(大木民夫)Barry Atwater as Grand Duke Clement
ヴィクター国王:バリー・ウィリアムズ(古谷徹)Barry Williams as King Victor
オルカ:マルガリータ・コルドヴァ(今井和子)Margarita Cordova as Zorka Banat
メストフ大尉:ロベルト・コントレラス Roberto Contreras as Captain Mestovo
エルドス:ロバート・キャリカート Robert Carricart as Erdos
ルイス・セラ大尉:ジョン・レイナー John Rayner as Captain Luis Serra
フェラーノ少佐:レオ・G・モレル Leo G. Morrell as Major Forano
警備:リチャード・ロマノス Richard Romanos as Guard
【場所】@指令(媒体):関係者以外立入禁止の荷物置場の鞄にあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:サルデア王国、モンテゴ
【役割】ジム:ガソリン車運転手→レオニ医師
パリス:オランドー少佐→ジャンゴ(ジプシー)
バーニー:ガソリン車タンクに隠れている
ウイリー:ジプシー
オルカ:ジプシー
【道具】@テープレコーダーと催眠ガス:車に取り付ける
Aマジックミラーのセット:倉庫の地下室に設置
Bトラックのダミー:ヴィクター国王の車を突っ込ませる
【削除】(07分40秒)クレメント大公が国王にサルデア王国に帰るなと言うが聞かない国王
【見所】(11分10秒)国王は万一の時はアラガス将軍がモンテゴを攻撃すると大公に言う
(14分20秒)ヴィクター国王を乗せた車がトラックのダミーに突っ込みIMFは国王をさらう
(16分50秒)モヤ大佐が目覚めると病院の中で、運転手と護衛が死んだことを知らされる
(23分10秒)ヴィクター国王に口紅とイヤリングをつけるパリスとオルカ
(28分40秒)アラガス将軍がモヤ大佐に電話を入れ、ジプシーが国王を匿っていると言う
(32分00秒)モヤ大佐が女装した国王を見て一瞬危ない雰囲気になるが、気づかずに去る
(35分10秒)女装した国王の髪がかつらと気づく店の主人はモヤ大佐に連絡する
(40分00秒)モヤ大佐がパリスを必要ないと言うが、パリスは倉庫の下には迷路があると言い逃れる
(42分00秒)モヤ大佐がアラガス将軍と共謀して国王を殺そうとしていることを知るクレメント
(46分50秒)国王が将軍に向かって走るところを将軍が発砲し、皆がそれを見ている
【疑問点】@ルブロッサ倉庫に到着した将軍と大佐が国王に上に昇ってくるように言うが、パリスが来てはいけないと言って、閉まりかけのエレベーターから ウイリーが国王を抱えて降りるが、マジックミラーのセットは地下にあり、ウイリーはパリスが言わなくても上に昇る気はなかったのではないか?
【粗筋】ジムはガソリン車の運転手として基地の中に入り、バーニーはそのタンクの中に隠れており、車庫の中に侵入して国王の乗る車にテープレコーダーと 催眠ガスを仕込んで、再びタンクの中に隠れる。ヴィクター国王を保護していたクレメント大公は、世論のクレメント大公による国王誘拐という批判もあり、国王 をサルデアに帰すことにする。途中、IMFは国王を乗せた車に催眠ガスを発生させ、トラックに衝突するテープを流し、ダミーのトラックに突っ込ませるのだ。 気を失った国王をパリスらがジプシーの車に乗せ、モヤ大佐らを病院に連れて行く。そして、モヤ大佐が目覚めると病院のベッドにおり、医師であるジムより 運転手と護衛が死んだことを知らされて死体も確認する。モヤ大佐が少年はどこだと聞くと、いなかったとジムが答え、モヤ大佐は国境を閉鎖して非常線を 張る指示を出す。ウイリーが運転するジプシーのトラックの中では、パリスとオルカが国王に女装させようとするが、国王に拒否されるものの、命の危ないこと を伝えて納得させる。ウイリーとオルカは店の主人にギャラを半額に叩かれるが、ダンサーとして雇われる。一方、パリスはアラガス将軍に直接会い、国王の 居場所を知っていると言ってお金を要求する。そして、アラガス将軍はモヤ大佐に電話を入れ、ジプシーが国王を匿っているが、一歩間違えるとクレメントに 売られるぞと知らせる。モヤ大佐はジプシーが立ち回る場所を捜索し、店の主人に見つけたら賞金たっぷりと言い、女装した国王を見るものの、気づかずに 去っていく。一方、ジムとバーニーはルブロッサ倉庫にマジックミラーのセットを設置する。オルカはわざと国王の髪がかつらであることを店の主人に見せて店 を去る。これを見た主人は早速モヤ大佐に電話するのだ。空港に着いたアラガス将軍を迎い入れ、モヤ大佐は国王の居場所がわかったと報告し、パリスの ことを必要ないと言うが、パリスは倉庫の下には地下道が迷路のようになっていると言い逃れて命拾いする。そして、倉庫に到着した将軍と大佐は、エレベ ーターの前で国王に上に昇ってきなさいと促すと、パリスは来てはいけないと叫び、ウイリーは国王を抱きかかえてオルカとともにマジックミラーのセットの中 へ逃げる。国王が将軍の声を頼りに将軍に向かって走っていくところをアラガス将軍は発砲し、それを皆が見ており、クレメント大公は将軍を反逆罪で逮捕す る。将軍は国王が最後まで自分を信じると思っていたが、国王も私を殺そうとしたなと将軍を睨みつけるのだった。
【解説】この「暗殺路線」は、国王がまだ子供であることをいいように利用して、将軍が国王を殺害して独裁者としての地位を築こうとするのを、そうと気がつき ながらも、なすことがすべて裏目に出るクレメント大公の不器用さが見事に描かれている。ヴィクター国王のオリジナルの声は変声期前のものであるが、日 本版では、「巨人の星」の星飛雄馬で有名な古谷徹氏の吹き替えになっており、思わず何で?と笑ってしまうほどである。
 今回のIMFに協力する女性オルカは、とてもユニークなキャラクターを持っており、印象が残る演技を披露する。ジプシーという役所でダンサーとして思う存 分にテクニックと華麗なる魅力を見せてくれる。拉致した国王の気を解したり、女装と化粧を嫌がる国王に母性本能を用いて説得したり、また、店主の前で故 意に国王の髪の毛がカツラであることを示したり、作戦上重要なポイントをしっかりと演じている。
 IMFの作戦の仕上げは、倉庫の地下にマジックミラーを備えた秘密のゾーンを作って、将軍をそこにおびきよせることだった。倉庫の地下にいる国王に、将 軍は地上から国王に上に昇ってくるように促すが、パリスが来てはいけないと言った合図で、ウイリーが国王を抱きかかえて、国王を秘密のゾーンに連れて いく。将軍らは国王を追ってエレベーターで地下に降りるが、国王が将軍の声を頼りに走ってきたところを、将軍は国王に向かって何度も発砲するのであっ た。この様子は国王を始め皆の見るところとなり、クレメント大公により将軍は反逆罪で逮捕されるのであった。しかし、クレメント大公を裏切って将軍に加担 したモヤ大佐の行く末については、劇中では語られない。


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