スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド4



98 血の粛清 Phantoms
【目的】現首相を権勢の座から追いやり、代わりに副首相の次期首相就任を確実なものにすること
【指令】おはよう、フェルプス君。 年老いた独裁者レオ・ヴォルカは、その側近ゲオルギー・クール大佐に若い芸術家の大半を網羅する大規模な粛清を命じ た。もしこれを許せば西側に友好的な新しい世代への希望は全面的に圧殺されてしまう。
 そこで君の使命だが、ヴォルカを権勢の座から追いやり、代わりに副首相バルジンの次期首相就任を確実なものにすることにある。例によって君もしくは君 のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ローレンス・ヒースLaurence Heath
製作: スタンレイ・カリスStanley Kallis
監督: マーヴィン・チョムスキーMarvin Chomsky
【ゲスト出演】
ノーラ:アントワネット・バウワー(平井道子)Antoinette Bower as Nora Bennett
レオ・ヴォルカ:ルーサー・アドラー(星野寿郎)Luther Adler as Leo Vorka
ゲオルギー・クール:マイケル・ベイスレオン(小林昭二)Michael Baseleon as Georgi Kull
ステファン・ザーラ:ジェフ・ポメランツ Jeff Pomerantz as Stefan Zara
モーア大佐:アイヴァー・バリー Ivor Barry as Edmund Moore
バルジン副首相:ベン・アスター Ben Astar as Deputy Premier Bartzin
ゴーマル:グレゴリー・シーラ Gregory Sierra as Gomal
警備:ジャック・ベルナルド Jack Bernardi as Guard
警官:エリ・ベハー Eli Behar as Secret Policeman
運転手:ウォルター・アルツマン Walter Alzmann as Driver
ゴルニー:ラルフ・リーボー Ralph Leabow as Jan Golni
【場所】@指令(媒体):ある小川の流れる脇にある赤い箱の中のオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:ある国
【役割】ジム:ジャン・ゴルニー
パリス:クール大佐の声帯模写→トロスク少佐→ストロス→警官→ザーラに変装
バーニー:モーアの助手
ウイリー:警官→キリニ少佐
ノーラ:リサ・ルーガー
モーア:イギリスの放送局員
【道具】@赤外線眼鏡で見える映像
Aエディター:マイクロフィルムの編集
Bレオ・ヴォルカの本:中にカメラが仕込んである
C置き時計:スピーカー内臓
【削除】(03分50秒)アパートでのシーンの一部
(08分00秒)ザーラを訊問するクール少佐は署名すれば釈放と言うが、拒否するザーラ
【見所】(11分10秒)資料室でマイクロフィルムのストロスの編集をするパリス
(16分20秒)首相が眼鏡をかけると照明のやり直しが必要と言い、眼鏡と置き時計を預かるバーニー
(19分20秒)眼鏡をかけた首相が眼鏡をはずしてよく見るが、再度かけ直す
(27分30秒)前方に女の姿が見える首相は、何かが見えるかと聞くが呆けるジム
(32分00秒)部屋を調べろと首相はゴーマルに命じ、ジムは首相の著書を拝借したいと言う
(41分40秒)ウイリーがザーラを捕らえ、パリスがザーラに変装して首相のところに出向く
(44分40秒)リサ・ルーガーの写真を見て涙し、パリスはヨセフ・カルニーの子供と言いはる
(46分10秒)リサ・ルーガーとザーラの映像を見て発砲する首相に、皆驚き駆けつける
(47分30秒)副首相バルジンが次期首相になると言い、クール大佐を逮捕する。
【疑問点】@今回の作戦では民間であるイギリスの放送局のモーアを巻き込んでいるが、モーアはIMFの作戦の全容を知っていたかどうかは語られていな い。
【粗筋】パリスはトロスク少佐として資料室に入り、マイクロフィルムを編集してストロスのデータをすり替える。バーニー、ウイリー、ノーラの三人は閉鎖中の劇 場に入り小道具の準備をする。バーニーはイギリスの放送局員のモーアとともにヴォルカ首相官邸に出向き、取材の準備を進める。首相が眼鏡をかけると照 明のセットを変えなければならないとバーニーは言って眼鏡を預かり、また、置き時計が光を反射すると言って置き時計を持ってきて、眼鏡と置き時計をすり 替えるのだ。また、カメラが仕組んであるレオ・ヴォルカの本を本棚に並べる。撮影後、ジムがゴルニーとして首相の部屋に入る。ジムの著書を首相は気に入 って話が盛り上がり、首相はこの官邸で創作活動をしろとジムに言うのだ。ジムは首相が昔愛したリサ・ルーガーに話題を持っていき、首相との間に生まれ た男の子の話をする。そこへノーラが演じるリサ・ルーガーの映像を見せ首相を混乱させる。そして、ジムはステファン・ザーラが首相の息子だと言うのだ。そ の後、映像を見て首相が大声で騒ぐので、ジムが心配して覗くと、首相はゴーマルに部屋を調べろと命じる。ザーラの過去を調べるとターラの孤児院に連れ ていったのがストロスとわかり、首相はストロスを官邸に呼ぶ。ストロスに扮したパリスに子供の写真を見せ、心臓が悪いということを思い出すので、首相は ザーラが自分の息子と確信する。早速、首相はザーラを刑務所から呼ぶように指示し、ウイリーがザーラを攫い、パリスがザーラに変装して首相に会うのだ。 リサ・ルーガーの写真を見せられ、涙ながらにヨセフ・カルニーの子供だと言うザーラを殴り倒してしまう首相に、リサ・ルーガーだけでなくザーラの映像も現 れ、"人殺し"と首相を指差して非難するのだ。これに怒った首相は二人に向かって何発も発砲するのだが、室外にいた部下たちが驚いて部屋に入ってくる。 ところが、他の者には二人の姿は見えず、首相の気が狂ったとしか見えないのだ。副首相バルジンが首相に"過労です、後は私にお任せください"と言っ て、次期首相になると宣言するのである。そして、クール少佐を首相との仲を裂くのは忍びないと言って逮捕してしまうのであった。
【解説】この「血の粛清」でIMFは初老の悪漢に対して、死者の幽霊を見せることにより、精神的に追い込んでいく手法を使用する。このような手法は、今後も 数々登場する。例えば、第5シーズンの「消えた汚染死体」、第7シーズンの「極秘指令地獄からの救出」や「ブードゥー教の怪」でも死者の幽霊が登場するト リックが使われる。
 トリックの映像を独裁者ヴォルカに見せるためのお膳立てが、バーニーによって言葉巧みに行われるシーンは優れている。撮影スタッフとしてヴォルカの照 明を調節するバーニーは、ヴォルカが眼鏡をかけるや、眼鏡をかけると照明のセットを変えなければならないと言って眼鏡を預かり、赤外線映像を映し出すI MFの眼鏡と交換してしまう。また、置時計も光を反射するからと言って、置時計をスピーカー内臓のものと交換するのだ。
 何度も死んだ妻の幽霊を見せられたヴォルカは次第に精神的に追い込まれ、ジムはザーラ(パリス)がヴォルカの息子であるということを教え、首相の前に ザーラがやってくる。パリスは必死になってヴォルカの息子でないと否定するが、ヴォルカはザーラを殴り殺してしまう。そして、妻だけでなくザーラの映像も 現れて、あざ笑うかのようにヴォルカに人殺しと指をさすのを、ヴォルカは発砲するのであった。ヴォルカ以外には映像は全く見えず、周囲の人にとってはヴォ ルカの気が狂ったとしか見えない結末となる。
 それにしても、邦題の「血の粛清」はしっくりこない。ヴォルカは大量の血の粛清を行うつもりだったので、そのようなタイトルになったのだと思うが、実際に は反対にヴォルカが血を流さずに粛清されてしまう。また、劇中では誰も血を流さずに任務を解決したのだから、個人的には、「血の粛清」は気に入らない。


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