スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



112 罠 Decoy
【目的】罠を承知で極秘情報を持っている女性を無事亡命させること
【指令】おはよう、フェルプス君。 昨年カコスカ首相はその娘アンナに極秘情報を託して死んだが、その極秘情報を見ればかの国においてわが西側世界に 友好的な者の氏名がすべてわかるという。一方、わが国にアンナとその兄のアレクセイが亡命したい旨を寄せてきたが、これはアンナの持っている極秘情報 を入手したいがための、と同時に、亡命を助けるわが国の諜報員を捕らえるためのアレクセイの罠である。
 そこで君の使命だが、その罠を承知でアンナを無事亡命させることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一 切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ジョン・D・F・ブラックJohn D. F. Black
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: セイモア・ロビーSeymour Robbie
【ゲスト出演】
アンナ:ジュリー・グレッグJulie Gregg as Anna Kerkoska
警察署長:マイケル・ストロングMichael Strong as Police Chief Petrovitch
アレクセイ:ポール・スティーヴンスPaul Stevens as Alexi Kerkoska
諜報員:シド・ヘイグSid Haig as Agent
ステファン:ジョシュア・ブライアントJoshua Bryant as Stefan
葬儀屋:アーサー・マレットArthur Malet as Undertaker
オリシェブ:リチャード・エリックRichard Eric Winter as Orishev
諜報員:バート・ラルーBart LaRue as Agent
ガイド:ロサンナ・ホフマンRosanna Huffman as Guide
諜報員:トム・マクドナウTom McDonough as Agent
かかえ運転手:ヴィクター・ポールVictor Paul as Chauffeur
【場所】@指令(媒体):焚き火をしている少年に北は通行止めと言い、ナップサックよりオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:ある国
【役割】ジム:ネルソン(アメリカの出版社勤務)
パリス:マッケー(掃除夫)→アレクセイに変装
ダナ:リズ(ネルソンの妹)→アンナにすりかわる
バーニー:誘拐犯→車の組立→霊柩車の運転手
ウイリー:車の組立→警官
【道具】@ジムの空気人形
A棺:アンナとジムが中に隠れる
B小型車:背が低く検問所を突破する
【見所】(07分50秒)パリスがマルコス・ダノフの葬儀の手配を神父に頼む
(14分30秒)パリスはウェイトレスを介し、ジムに妹を預かっていると書かれた手紙を渡す
(23分00秒)アンナは父の思い出話の後、あなたのような人は初めてとジムにキスをする
(26分20秒)アンナが兄と共に亡命するとジムに告げると、ジムは妹誘拐の件を話す
(31分00秒)シガレットボックスにこだわるアンナを見て、極秘情報の在処と気がつくアレクセイ
(32分10秒)大佐に電話をしようとするアレクセイを殴り倒し、パリスがすり替わる
(40分30秒)霊柩車から小型車が飛び出し、国境に向かって逃走するジムとアンナ
(42分20秒)銃撃を受けるものの、二人は無事国境を突破する
【疑問点】@極秘情報がオルゴールのメロディになっているというが、内容については劇中で明らかにされていない。
【粗筋】アンナよりアメリカ大使館に亡命の要請があり、極秘情報をもらいアンナ一人を亡命させる作戦である。パリスは掃除夫としてアンナに広場で接触 し、バーニーが電話でマルコス・ダノフの名前を覚えておくように告げる。ジムはアメリカの出版社の者として、アンナと会話をはずませている最中、パリスよ り妹を預かっているという手紙を受け取り、妹が誘拐されたことを演じる。パリスより電話でアンナに父の本を書かせるように仕向けろという内容を当局に盗聴 させる。アンナは快くジムの頼みを受け、父の思い出話を語った後、あなたのような人は初めてと言い、ジムにキスをして愛を告白する。そして、アンナは兄と 共にアメリカに亡命することを告白し、ジムは妹が誘拐されたことをアンナに告げる。バーニーより電話でアンナとアレクセイとジムの三人は、革命の英雄だっ たマルコス・ダノフの葬儀に参列しないと妹の命はないと脅迫される。葬儀に向かう準備をするところ、アンナがシガレットボックスを持っていこうとするのを見 て、アレクセイは極秘情報が入っていることに気づく。そして、ボックスを割るとオルゴールが見つかり、アレクセイは本性を現し、大佐に電話をしようとすると ころをジムが殴り倒してパリスがすり替わる。それを見てアンナは騙されたと思い自暴自棄になるが、ジムがなだめて葬儀に参列させる。隙を見てアンナと ジムは棺の中に隠れて霊柩車に乗り込む。そして、霊柩車が走り出し、途中で霊柩車より小型車が飛び出し、国境を二人は無事に突破するのである。"もう 君は自由だよ"とジムがアンナに告げると、"自由と言われてもどうしたらいいか..."と戸惑うアンナに"人間らしく生きるんだ"とジムは励ますのであった。
【解説】「罠」では、可愛いアンナとのジムのラブロマンスが久々に見られる。前回は、第3シーズンの「女スパイが燃える時」において、敵の女スパイである ニコールに惚れたのだが、最後にニコールが殺された時にジムが涙を流すという悲しい結末であった。今回は、ジムの男としての魅力に惹かれて、裏切者で ある兄のことを諦めさせることにより、アンナ一人を亡命させるという作戦である。
 パリスとバーニーがアメリカのスパイとして、アンナに接触する一方、ジムはアメリカの出版社の者としてアンナに会う。パリスはジムに妹のダナを誘拐した と告げ、アンナに父親の本を書かせろと指示する。父の思い出話を語った後、アンナはジムに愛の告白をする。二人は亡命と誘拐の話をお互いにし、そこ へ、バーニーが革命の英雄の葬儀に参列しないと妹の命はないと脅す。葬儀場に向かう準備をするところ、アンナがシガレットボックスを持っていこうとする と、アンナの兄に怪しまれて極秘情報が入っているのがばれてしまう。極秘情報がオルゴ−ルのメロディになっているが、具体的内容については劇中で説 明されない。そして、ジムが殴ってパリスがアンナの兄にすり替るのを見て、アンナはジムがスパイであることを知って、騙されたと自暴自棄になってしまう。
 ジムは懸命にアンナを説得して葬儀場に参列する。ここから、敵に対する「罠」が二つ展開される。最初のものは、応接室に座ったジムとアンナが、ジムが 空気人形のダミーへ、アンナはダナにすり替り、二人は棺の中に隠れて霊柩車に乗り込む。敵も二人がすり替ったことに気がつき、霊柩車を追跡するが、こ こにもう一つの「罠」が隠されていたのだ。霊柩車の後部から扉が開いて、二人を乗せた小さな車が霊柩車とは反対方向に猛スピードで走っていくのだ。これ には敵も追いつけず、爆弾が仕掛けてある門の下をすり抜けて、見事に二人は無事国境を突破するのだ。
 最後にジムは、自由と言われてもと戸惑うアンナに、人間らしく生きるんだと励ますのである。ジムのアンナへの愛は、作戦を成功させるための単なる見せ 掛けなのか、あるいは、真実であったのかは、このエピソードで映された映像だけでは窺い知ることはできない。少なくとも、アンナの方はジムに完璧に惚れ ており、後はジムの気持ち次第というところだろう。


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