スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



114 スパイ狩り Hunted
【目的】国外において再び同志を糾合し、新政府を樹立できるよう黒人運動のリーダーを救出すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 アフリカの東ヴィクトリア政府はここ十年来、フレドリック・コールダー博士を強制収容所に監禁してきたが、この人種差別に 反対する黒人運動のリーダーでありかつまたアフリカにおける自由の象徴でもあるコールダー博士は、目下重い病の床にあった。このため博士は首都の病 院に移されたが、しかしそこでもほとんど治療らしい治療を受けていないばかりか、白人政府の苛烈な尋問に喘いでいる。
 そこで君の使命だが、国外において再び同志を糾合し、新政府を樹立できるようこのコールダー博士を救出することにある。例によって君もしくは君のメンバ ーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ヘレン・ホブロック・トンプソンHelen Hoblock Thompson
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: テリー・ベッカーTerry Becker
【ゲスト出演】
マリアンナ:タ・タニーシャTa Tanisha as Maryana "Gabby" Renfrow
バンコ秘密警察長官:アイヴァー・バリーIvor Barry as Chief Inspector Banco
フォレット:ジョン・アンダーソンJohn Anderson as Follet
薬剤師:ジョン・ラギンJohn Ragin as Pharmacist
鍛冶屋:マイケル・St・クレアMichael St. Clair as Blacksmith
薬剤師夫人:エレイン・チャーチElaine Church as Pharmacist's Wife
巡査部長:エドガー・ウィンストンEdgar Winston as Police Sergeant
警官:ジョセフ・ランカスターJoseph Lancaster as Policeman
事務員:ジョー・モートンJoe Morton as Clerk
警備員:キルク・スコットKirk Scott as Guard
ルディ:ハーバート・ジェファーソン・ジュニアHerbert Jefferson Jr. as Luddy
【場所】@指令(媒体):公園に駐車しているキャンピングカーの中にある引き出しの中からオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:東ヴィクトリア政府
【役割】ジム:博士救出→警官
パリス:博士救出→バーニーの囮
ダナ:博士の救護車の運転手→トンプソン倉庫見張り
バーニー:白人医師に変装
ダグ:医師(コールダー博士の検診)→警官
【道具】@鉄格子を切る薬品
A救護シート
【見所】(04分30秒)コールダー博士がいないことに気づかれ、バーニーは銃撃を受ける
(07分00秒)マリアンナが覆面を剥がすと、バーニーの顔が現れ驚く
(14分30秒)パリスが薬局でモルヒネを要求し、店員に警察に通報される
(20分30秒)マリアンナがバーニーの足より弾をナイフで取り出すが、バーニーは失神する
(26分00秒)ジムが警官としてマリアンナの家に入り捜索するが、バーニーは気づかない
(30分00秒)トンプソン倉庫に向かうマリアンナを目撃するダナ
(32分30秒)ダナより黒人の若い耳の不自由な女性を目撃したと聞き、あの女かとジムは気づく
(35分10秒)バーニーの仲間よとダナが言うと、マリアンナはバーニーの隠れている部屋へ案内する
(41分30秒)パトカーの追跡を振り切り、IMFメンバーはヘリコプターに乗り込む
(44分10秒)パリスをダムのビル屋上よりロープで吊り上げ無事救出する
【疑問点】@バーニーはマリアンナを一緒に連れていくが、二人のその後については劇中では語られていない。
【粗筋】強制収容所に侵入したダグとマスクを被ったバーニーは、コールダー博士を無事救出するが、見つかってしまい、バーニーは足に銃撃を受けてしま う。ジムは博士を国外に出すのが最優先ということで、バーニーを残してヘリコプターまで運ぶものの、バーニーを見捨てられないということで、博士をヘリコプ ターに乗せてからバーニーを助けに戻る。レーダーは10時間で復旧してしまうので、それまでにバーニーを救出しなければならない。バーニーは黒人街にあ る裁縫師の耳の不自由な女性マリアンナの家に入り、助けてもらう。バーニーは彼女を巻き込んではいけないと考え、一人で逃亡しようとするが、警戒が厳 しく彼女の助けを借りてしまう。結局彼女の家で弾を取ってもらうことになる。一方、パリスはバーニーの囮となって、銃撃された白人医師を演じ、薬局を襲っ てモルヒネを奪取するが、警察に通報されてしまう。マリアンナの父は秘密警察長官のバンコによって射殺されており、そのショックで耳が聞こえなくなったこ とをバーニーは聞く。ジムは警官に扮して偶然マリアンナの家を捜索するが、バーニーも気づかずにジムは帰ってしまう。バーニーが歩けないので、緊急の際 のIMFが落ち合う場所になっているトンプソンの倉庫にマリアンナに行ってもらう。しかし、マリアンナはパトカーに驚き、用を足せずに戻ってしまうが、ダナが 目撃してこのことをジムに報告すると、ジムはあの女かと気づき、クーパー通り14番のマリアンナの家に向かう。そして、マリアンナの従兄弟がバーニーの 存在に気づき、揉み合っているところをIMFメンバーが入り、従兄弟を殴ってバーニーを救出する。バーニーはマリアンナを一緒に連れていくと告げてジムの 許可を取る。その後、従兄弟より警官に殴られたという報告を受け、バンコ長官は不審なパトカーを見たら注意せよと全パトカーに連絡を取る。その結果、パト カーに発見され、追跡されることになるが、ジムの銃弾がパトカーに命中した隙に全員ヘリコプターに乗り込むのだ。一方、パリスは肋骨を骨折しており、予 定の地点に間に合わないと連絡が入り、ダムのビルの屋上より縄でヘリコプターに吊り上げて救出に成功する。ヘリコプターの中でパリスは、"やあどうも"と 無愛想な挨拶をし、マリアンナは笑顔を見せるのであった。
【解説】「スパイ狩り」において、バーニーが白人のマスクを被って、人種差別に反対する黒人指導者を強制収容所から救出するが、敵に見つかってしまい銃 弾を受け、黒人居住地に逃げ込む。指導者を無事ヘリコプターに乗せた後、IMFはバーニー救出を開始するが、レーダーの復旧までの10時間というタイムリ ミットがあった。
 バーニーは黒人で耳の不自由な女性であるマリアンナの家に入って助けてもらう。マリアンナを巻き込むまいとするバーニーだが、マリアンナなしでは助か らないと観念する。そして、銃弾を取り除いてもらった後、マリアンナに仲間との緊急の時の待ち合わせ場所になっている倉庫に行ってもらう。
 ジムらは警察官に扮して強制収容所近辺の捜索を開始し、偶然マリアンナの家に立ち寄るが、気がつかずに帰ってしまう。一方、倉庫で見張りをしていた ダナは、マリアンナの姿を目撃し、耳の聞こえないことを確認してジムに報告する。ジムはマリアンナのことに気がつきマリアンナの家に再度向かうのだ。ダ ナの観察眼とジムの洞察力には恐れ入る内容だ。
 従兄弟を殴ってIMFはバーニーとマリアンナを連れてパトカーでヘリコプターに向かうが、従兄弟の証言で追跡されてしまう。しかし、ジムは偽パトカーを止 めて、追跡するパトカーのタイヤを目がけて一撃で追跡不可能にしてしまう。ジムの射撃能力が抜群であることは後のエピソードでも示される。
 パリスは指導者を救出した一味で、銃弾で怪我をした人物ということで薬局を襲ったり、自動車修理工場に出現したりと派手に動き回ったが、肋骨を骨折し てしまう。バーニーの身代わりとして演じて見せたが、珍しく完全な失敗に終わっている。バーニーは、第4シーズンの「死の監房」に続き、マリアンナをアメリ カに連れて帰る。その後の二人の関係については、本シリーズでは一切語られない。
 このエピソードでは、黒人差別に対して一石を投じている。今から30年前は、人種差別を公然と行っていた国もあったくらいで、アメリカにおいても法律上の 建前では人種差別がなくなっていたが、実社会では人種差別が依然と根強く残っていたということだ。バーニーが白人のマスクをつけなければ任務ができな いという敵側国家には明らかに問題がある。この「スパイ狩り」ではそれほど強烈に人種差別は描かれていないが、後のエピソード「暗号名"キタラ"」では、 かなり風刺の利いたストーリーが展開される。


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