スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



116 死体は一切関知しない Catafalque
【目的】第二のキューバ危機を招く恐れのある条約書を入手すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 南米サンパスカルの首相ミゲール・フェーゴとその甥で彼の後継者と目されているラモン・フェーゴは、このたび敵性国家か ら核ミサイルを導入しわが国の東半分を狙うという核武装条約に密かに調印した。これを許せば第二のキューバ危機を招く恐れは充分あり、それを避けるた めには核ミサイル導入以前に条約内容を広く世界に公開するしかない。
 そこで君の使命だが、この条約書を入手することにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないから そのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ポール・プレイドンPaul Playdon
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: バリー・クレーンBarry Crane
【ゲスト出演】
ラモン・フェーゴ:ジョン・ヴァーノンJohn Vernon as Ramone Fuego
ミゲール・フェーゴ首相:ウィル・クルヴァWill Kuluva as Premier Miguel Fuego
ロドリゲス大佐:ラモン・ビエーリRamon Bieri as Colonel Rodriguez
ヴィクトリオ・フェーゴ:サム・アーヴィンSam Irvin as Victorio Fuego
職人:トニー・デコスタTony DeCosta as Operative
警官:ミゲール・リヴァMiguel Riva as First Policeman
ナン:アーライン・アンダーソンArline Anderson as Nun
男:ジョン・カルドーザJohn Cardoza as Man
警備主任:ジョニー・ベンチJohnny Bench as Captain of the Guards
【場所】@指令(媒体):ある店の奥にあるセルフ写真機の下部からオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:南米サンパスカル
【役割】ジム:ボルテス少佐(秘密警察)
パリス:アルフレッド・サンチェス→マルティン・サンチェスに変装
ダナ:ロクサン・フェリーテ
バーニー:遺体安置場から棺を吊り上げる
ダグ:ポール→遺体安置場から棺を吊り上げる
【道具】@テーブル:ボタンを押すと銃がすり替わる
A催眠針
Bロープとフックとリール
Cヴィクトリオそっくりの人形
【見所】(09分40秒)無茶をするなと車を出そうとしているダナに怒鳴るフェーゴ
(13分00秒)ダナとフェーゴのラブシーン中にダグが押し入り、フェーゴがダグを射殺してしまう
(17分10秒)監獄でダナはフェーゴが一方的にダグに銃を向けて撃ったと証言する
(22分30秒)ワイヤーが傾き、花輪が棺から落ちそうになる
(29分30秒)パリスを押しのけて、秘密の穴に閉じ込め、自分一人で脱獄するフェーゴ
(36分50秒)マルティン・サンチェスがどこに書類を隠したか見当がついたと言うフェーゴ
(42分40秒)警察がフェーゴを指名手配する中、フェーゴはでかい秘密が首相官邸にあると言う
(44分00秒)フェーゴが金を探している隙にパリスは書類を持って逃げ、そこへ大佐と首相が入ってくる
【疑問点】@守衛が見張っている中、天井からワイヤーで棺を上げ下げするという大胆な作戦であるが、守衛が寝ていない限りは、気がつくのではないだろう か?
【粗筋】ヴィクトリオ・フェーゴの遺体安置場を下調べするバーニーとダグであるが、守衛が1時間交替なので正味55分で入れ替えを行わなければならないと 報告をする。ダナはラモン・フェーゴに色仕掛けをし、仲良くしている場面をダグに見つかり、フェーゴはダグを射殺してしまうが、警官に扮したジムはフェーゴ を逮捕して眠らせ、監獄に入れてしまう。ダナもフェーゴが一方的にダグに銃を向けて撃ったと証言をし、ジムはフェーゴに供述書にサインをすれば命は助か ると言い残すのだ。ロドリゲス大佐と首相はフェーゴに会う約束をしていたが、時間になっても来ないため捜索を始める。バーニーとダグは遺体安置場の天井 裏からフックとロープを使って棺を持ち上げ、棺の中をすり替えてまた元に戻す。監獄ではパリスがアルフレッドの父マルティン・サンチェスに変装して、フェー ゴの部屋に秘密の穴から出てきてフェーゴを驚かせ、二人は隣の部屋に隠れて脱走をしたと見せかける。その後、看守が見回りにきて脱走ということで騒ぎ を聞き、フェーゴはパリスを秘密の穴に閉じ込め、自分一人で脱獄するのである。途中ジムに見つかるが、背後からアルフレッド(パリス)がジムを倒して、パ リスとフェーゴは逃走する。フェーゴはパリスの父に会い一緒に逃げようとしたが、途中で息絶えたと弁解し、どこに書類を隠したか見当がついたと言い、遺 体安置場のヴィクトリオの棺を壊して書類を入手する。その後、パリスとフェーゴは教会に行きヴィクトリオに会うが、廃人にされた父を見て泣き、この敵を必 ず取ると誓うフェーゴである。ロドリゲス大佐と首相が血眼になってフェーゴを探す中、フェーゴはでかい秘密が首相官邸にあると言って、首相官邸に入って 条約書を取り出し、金も盗もうとした隙にパリスは条約書を持って逃げてしまう。そこへロドリゲス大佐と首相が入ってくるのである。パリスは逃げた後で、三 人は条約書がなくなっているのに気がつくのであった。
【解説】この「死体は一切関知しない」でのハイライトシーンのうちの一つは、バーニーとダグの二人が、ヴィクトリオ・フェーゴの遺体の入った棺が安置されて いる部屋の天井裏からロープとフックと滑車を用いて、棺を天井裏まで持ち上げて中味をすり替えた後、再び棺を元あった場所に戻すという工作をするところ である。棺の周囲には数人の守衛がやや下向き加減で棺に背を向けて立っており、物音をさせたら気がついてしまうという緊迫感溢れるシーンとして描かれ ている。また、1時間交替ということもあり、正味55分間で行わなければならないという時間制限も加わるのだ。しかし、考えてみれば、棺を持ち上げたり、 降ろしたりする際に何らかの音が発生するはずで、何人もいる守衛が誰も気がつかないというのもあり得ない話で、滑稽でもある。
 もうひとつの見せ場は、ラモン・フェーゴの監房の隣にある部屋から出現するマルティン・サンチェスに扮したパリスだろう。パリスは息子のアルフレッド・サ ンチェスを素顔で演じており、親子二代を完璧にこなしている。特に老け役のマルティンでは、何十年も監房に閉じ込められた衰弱しきった老人として、囚人 服と髪の毛を何年も洗っていないような不潔な格好で好演する。結局、そんなパリスを見捨てて監房に閉じ込めてしまい、ラモン・フェーゴは一人で監房から 出て、もう一人のパリス(アルフレッド)の力を借りて刑務所を脱走するのだった。
 クライマックスはやや粗さがあり、惜しまれるところである。バーニーのすり替えたヴィクトリオ・フェーゴの棺の中に日記を見つけたラモン・フェーゴは、でか い秘密が首相官邸にあると言って、パリス同行のもと官邸に入って条約書を取り出すのだ。そして、欲を出して金も盗もうとした隙に、パリスは条約書を持ち 逃げしてしまうというものだ。ラモン・フェーゴのあほさ加減が目立つシーンであるが、普通の泥棒心理としては、回りの様子が気になって当然で、周囲をよく 見回すものだろう。しかし、ラモン・フェーゴの場合は、お金を盗むことに専念してしまって、周囲のことが全く目に入らなかったということだろう。


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