スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



121 市長室乗っ取り Takeover
【目的】流血を未然に防ぎ、傀儡政権を操る副市長を永久追放すること
【指令】おはよう、フェルプス君。 副市長チャールズ・ペックは目下来る選挙において彼の傀儡市長スティーヴ・トールマンを知事の椅子に押し上げようと画 策している。ペックは知事選における対抗馬である現職知事も手を焼いた暴力的学生運動を手際よく処理した切れ者市長トールマンというイメージ作りを狙っ ており、そのためプロの煽動屋ビリー・ウォルシュを金で雇い盛んに学生たちをアジらせている。このような政治的乱脈は広く自由世界に対する合衆国の威 信をはなはだしく損なうものである。
 そこで君の使命だが、流血を未然に防ぎ、副市長ペックを永久追放することにある。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: アーサー・ウェイズArthur Weiss
原案: ジェリー・トーマス&アーサー・ウェイズJerry Thomas and Arthur Weiss
製作: ローレンス・ヒースLaurence Heath
監督: ヴァージル・W・ヴォーゲルVirgil W. Vogel
【ゲスト出演】
スティーヴ・トールマン市長:ロイド・ボークナー Lloyd Bochner as Mayor Steve Tallman
チャールズ・ペック副市長:ケン・スウォフォードKen Swofford as Deputy Mayor Charles Peck
ビリー・ウォルシュ:リチャード・ケルトンRichard Kelton as Billy Walsh
ロス警部補:トッド・マーティンTodd Martin as Lieutenant Ross
ダンビー署長:ラッセル・ソーソンRussel Thorson as Chief Danby
役人:バイロン・メイブByron Mabe as First Officer
アレック:ゴードン・デヴォルGordon DeVol as Alec
警備:トム・マクドナウTom McDonough as College Guard
【場所】@指令(媒体):ある店の中にある棚からオープンテープレコーダーを取り出す
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:サンフォード・マイケル
パリス:リチャード・ジョーンズ→トールマン市長に変装
ダナ:ケイト・ジャージ
バーニー:デーヴィス警部→市長室の壁を切る工作
ダグ:ジョン・アンドロス
【道具】@電動のこぎり
A催眠針
B銃弾のトリック
【見所】(06分30秒)ダグの車のトランクからライフルが多数見つかり警官に逮捕されてしまう
(13分50秒)ダナが釈放されると、保釈金は俺が出したとビリーはダナを車に乗せる
(17分20秒)トールマン市長をパリスが呼び出し、市長とエリザベスの間の子供がケイトと言う
(23分10秒)お金を受け取り、さよならお父さんとダナは市長に言い残して出ていく
(24分10秒)ロス警部補がパリスを逮捕し、パリスはケイトと市長の関係を喋ってしまう
(31分30秒)ダグが市長室に押し入り、パリスとトールマン市長がすり替わる
(35分10秒)学生たちが市長室を占拠したという連絡を受けるペック
(41分50秒)バーニーがビリーを捕らえ、パリスの肩に銃弾の当たった跡がつく
(44分40秒)娘はどうだと心配する市長に、あれもデッチあげと聞かされがっくりする市長
【疑問点】@市長室を不法占拠した学生たちのその後の扱いはどうなったのだろうか?
【粗筋】ダグが信号無視で警官に車を止められ、トランクから多数のライフルが見つかり逮捕されてしまう。警察署で取り調べを受け、ボスの名前は挙げられ ないが、今度の選挙の資金ぐらい何とかしてくれるとダグが言うと、ロス警部補はダグを釈放する。ジムは副市長ペックに会い、5万ドルの資金提供を示唆す る。ダナはビルに侵入して火をつけようとしたところを逮捕されるが、釈放されたところを、ビリーが保釈金は俺が出したとダナを車に乗せ、アジトに案内して 仲間に引き入れようとする。一方、パリスはトールマン市長を呼び出し、市長とエリザベスの間の子供がケイト(ダナ)であると言い、1万ドルで娘に会わせる と持ちかける。そして、父と娘の対面が実現するが、顔の面影はあるが母親と態度は全然似ていないと言う市長に、口止め料としてお金が欲しいとダナが脅 し、市長がお金を渡すと、さよならお父さんと言ってダナは市長に言い残して出ていってしまう。その後すぐにロス警部補がやってきてパリスを逮捕し、パリス は市長とダナの関係を喋ってしまうのだ。ロス警部補はビリーに殺害する標的はデーヴィス警部(バーニー)であることを告げる。ジムはトールマン市長に今 度の選挙に100万ドルの資金提供の話をした後、ダグが市長室に押し入り、市長とパリスがすり替わる。一方、ジムはトールマンが無能で知事選はペック 自ら立つべきとおだてるが、ペックは固辞する。そこへ学生たちが市長室を占拠したという連絡が入り、ジムとペックは市庁舎に向かう。ビリーは学生たちを 市長室に閉じ込め、ドアに爆薬をセットする。市長に扮したパリスは中に娘がいるとペックに言うが、仕方ないと冷たくあしらわれる。市長が学生たちの言うこ とは正しいとして歩み寄ろうとするのを見て、ビリーに市長を狙えとペックは指示を出すが、バーニーがビリーを取り押さえ、パリスの肩には銃痕がつく。そし て、すべてがペックの陰謀であるとパリスが告発し、これがTVで中継されてペックは逮捕されてしまう。市長は中継を見て"こんなこと誰も信じるもんか"と反 論するが、"これはどう見てもあんただよ"と言われ、知事は本当のことを証言したら逮捕しないと言っていることを聞かされ、市長は屈服するのだ。さらに、市 長は娘がどうだと心配するが、あれもデッチあげと聞かされがっくりするのであった。
【解説】この「市長室乗っ取り」の舞台となる市では、副市長がすべての実権を握っており、市長は副市長の言いなりに動く単なる飾りにすぎない。また、警 察も腐敗しており、賄賂がまかり通ってしまう。そんな社会に対して学生たちも暴力的行為に出るというのも理解できなくはない。
 IMFの常套手段となる市長と副市長の間に亀裂を生じさせる作戦として、ジムは大富豪として副市長に接触して、多額の選挙資金の提供を申し出る。そし て、無能な市長ではなく、副市長自らが立候補すべきだとおだてるのである。一方、パリスはダナが市長の元恋人との間に生まれた娘と紹介するが、ダナ は市長に口止め料を要求して受け取ると、さようならと言って去ってしまう。ここのところのダナと市長のやりとりは笑える。
 市長室で市長とパリスがすり替わった後、学生たちが市長室を占拠した連絡を受けて副市長が駆けつける。パリスは中に娘がいると副市長に言うが、仕 方ないと冷たくあしらわれる。パリスは、学生たちは正しいと言って歩み寄るところを銃撃されて肩に弾痕がつくのである。そして、すべてが副市長の陰謀で あることをテレビ中継で暴露してしまうのだ。
 市長のトールマンについては、悪人ということになっているが、全く悪人らしく描かれていない。娘のダナに口止め料を払っても、娘の安否を気遣っており、I MFにはめられたと気づいた後も、まだ、ダナのことを自分の娘と信じているところなどは、本当は純真な人物でそこを副市長にいいようにされただけというの がよくわかる。そんな市長に対して、IMFも知事と交渉をして、市長が真実を証言したら逮捕しないと最大限の思いやりをみせるのだった。


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