スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド5



123 暗号名"キタラ" Kitara
【目的】自由運動のリーダーである人物を救出し、大佐の人種差別の圧政に終止符を打つこと
【指令】おはよう、フェルプス君。 ジョン・ダーシー、それは暗号名を「キタラ」という人物で、過去一世紀以上にわたる厳しい人種差別政策に喘いでいるアフ リカの植民地オカモにおける自由運動のリーダーである。ところがそのダーシーが、非情と圧政をもって鳴る地方長官コーラー大佐に捕まってしまった。もしコ ーラー大佐の苛烈な追求によってダーシーの正体が明らかになれば、自由運動はその指導者を失って挫折のやむなきに至らざるをえない。
 そこで君の使命だが、ダーシーを救出しコーラー大佐の圧政に終止符を打つことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺され ても当局は一切関知しないからそのつもりで。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: マン・ルービンMann Rubin
製作: ローレンス・ヒースLaurence Heath
監督: マレー・ゴールデンMurray Golden
【ゲスト出演】
アレックス・コーラー大佐:ローレンス・ドブキンLawrence Dobkin as Colonel Alex Kohler
マックスフィールド大尉:レックス・ホルマンRex Holman as Captain Maxfield
ジョン・ダーシー:ロバート・ドクーRobert Doqui as John Darcy
ホーン:ジェーソン・ウィングリーンJason Wingreen as Hawn
祖父:ケン・レナードKen Renard as Grandfather
警備:バック・ホランドBuck Holland as First Guard
【場所】@指令(媒体):電気技師を募集しているかと庭を掃いている掃除夫に声をかけて、オープンテープレコーダーを受け取り、聞き終わるとドラム缶の火 の中に投げ込む
A舞台:オカモ(南アフリカ)
【役割】ジム:サモス大佐
パリス:ブラッドワースの古物商主人→マンコイアに変装
ダナ:ダンカン(雑誌記者)
バーニー:大佐の部屋の工作→レイモンド・トールマン
ダグ:レディック軍医
【道具】@薬
A日焼け装置
B写真:マンコイアの顔を黒人に細工したもの
C塗り薬:白人のマンコイアを黒人にしてしまう
D催眠針
【見所】(08分10秒)コーラー大佐はトラックが盗まれた翌日にキタラを捕まえたと自慢する
(13分10秒)ジェームズ・ビルの白人から黒人の姿になってしまったという話をダグがする
(16分20秒)朝起きて自分の顔が黒くなっているのに驚くコーラー大佐
(24分10秒)バーニーが箱の中でダーシーに信号を送っているのを警備兵に見つかってしまう
(27分20秒)ブラッドワースの古物商で、大佐の写っている写真が見つかったとダナが大佐に知らせる
(33分30秒)大佐の持参した写真の祖父マンコイアの顔に薬品を塗り、白人から黒人にしてしまうパリス
(39分30秒)マックスフィールド大尉がブラッドワースの古物商にやってきて、大佐を逮捕しようとする
(42分40秒)大佐が隠れていた藁小屋から盗まれた金塊が発見される
(44分00秒)逮捕されたコーラー大佐にキタラかと言うマックスフィールド大尉
【疑問点】@ふつうの日焼けなら1週間で落ちることはないと思うが、何か特殊な薬品でも使ったのか?
【粗筋】金塊のトラックを盗んだダーシーを捕らえたコーラー大佐は、日中箱の中に放置して拷問を続ける。ジムは中央から派遣された大佐として、ダグは医 師としてやってくる。コーラー大佐はダーシーをキタラと決めてかかり、トラックが盗まれた翌日にキタラを捕まえたことを自慢するのである。ダナは外国人記 者として入り込み、ジム、ダグ、コーラー大佐らに人種問題について取材する。ダグはジェームズ・ビルの話を引き合いに出し、ある日突然白人から黒人の姿 になってしまい、財産を没収されたということを話す。一方、バーニーは大佐の部屋に細工をし、その後泥棒ということで逮捕され、ダーシーと同じ箱の中に入 れられる。翌朝、自分の顔が黒くなっているのに驚くコーラー大佐は、水で何度も顔を洗うが黒味が取れない。そして、会議に欠席することになるコーラー大 佐は、電話でマックスフィールド大尉に指示を出し、ダグがダーシーにする検診を許可する。外の小屋ではバーニーがスワヒリ語のモールス信号をダーシー に送って情報を得るが、警備兵に見つかってしまう。ジムはバーニーを尋問して、暗号によりスガノに金塊があると聞き出す。一方、ダナはブラッドワースの 古物商の写真を大佐に見せ、ブラッドワースに一緒に行くことになる。ブラッドワースの主人であるパリスは、大佐の持参した写真の老人の顔に薬を塗って白 人から黒人にして見せるのである。そして、ダナが催眠針で大佐を眠らせ、パリスが祖父のマンコイアに変装して、お前を白人にしてやったという芝居を見せ るのだ。その後、マックスフィールド大尉がブラッドワースの店にやってきて、コーラー大佐を逮捕しようとした矢先、パリスが銃を大尉に突きつけ、大佐とパリ スは逃走する。大尉らは大佐を追跡してスガノに追い込み、隠れていた藁小屋から金塊が発見されてコーラー大佐は逮捕されてしまう。そして、大佐に向か いキタラと呟くマックスフィールド大尉である。その後、ジムは取り調べが終わったらダーシーとバーニーをすぐ返すと大尉に伝えてくれと言って二人を救出す る。"大佐はいつ頃まで黒いんですか?"とダーシーが聞くと、"1週間ぐらいで、その後大佐も大尉も赤くなったり青くなったり"とダグは答える。さらに金塊も 持って返るようにとテレタイプが入ったと大尉から指示されるのであった。
【解説】このエピソードは、人種差別をテーマにしており、人種差別をしている者がIMFの策略により、最後に人種差別をされる側に立たされるという皮肉を描 いている。古典的な寓話にもありそうなストーリー展開で、最後に教訓めいたものを視聴者に印象づける。当時のアメリカで、まだ根強く残っていた人種差別 について一石を投じて、人種差別問題を痛烈に批判したものである。
 自由主義運動のリーダーのキタラが人種差別主義のコーラー大佐に逮捕されてしまう。IMFはコーラー大佐に、ある白人が突然黒人になってしまって財産 を没収された話を持ち出す。バーニーはシャワールームに紫外線ランプを設置した後、逮捕されてキタラの隣の小屋に入れられ、モールス信号を使ってキタラ から金塊の隠し場所等の情報を得るのだ。
 翌朝、大佐が目覚めると顔が真っ黒に変色しており、顔を一生懸命になって洗うのだが、黒味が落ちないシーンはなかなか面白く描かれている。人前に出 るのも憚り大佐は仮病を使うのだ。ダナは大佐の秘密を知る古物商のパリスの店に大佐を連れていき、パリスは写真の人物を白人から黒人にしてみせる。 そして、大佐を眠らせてパリスが大佐の祖父に変装して、夢うつつの大佐にお前を白人にしてやったという芝居を見せる。夢の中でこのような芝居を見せる のは、第2シーズンの「イメージをダブらせろ」と同様の手法である。
 パリスの店に大佐の部下の大尉がやってきて、大佐を逮捕しようとするのをパリスが助け、金塊の隠してある場所まで大佐を連れて行く。そこで、再び大 佐は大尉に見つかり、金塊も見つかったことから、大佐がキタラと大尉は断定して逮捕してしまうのだ。ここでも、IMFがよく使う手法が用いられている。それ は、一旦、大佐を敵に渡そうとして、それを奪って逃げ、再度、敵に渡すという手法である。
 最後に、釈放されたキタラが大佐はいつまで黒いのかと聞くシーンがあるが、ダグが、1週間ぐらいと答え、さらに続けて、その後大佐も大尉も赤くなった り、青くなったりと冗談を言うところは、なかなか面白く表現されている。当然のことながら、1週間後の大佐と大尉の行く末については、劇中では語られない が、ぜひとも見てみたかったシーンのうちの一つである。


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