エピソードガイド６ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド６

131 ４００万ドルの差し足 Run for the Money

【目的】血で結ばれた同盟組織を崩壊させ、巨額の富がシンジケートの金庫に注ぎ込まれるのを防ぐこと
【指令】おはよう、フェルプス君。　写真はエドワード・トラスクとフランク・メイソンである。メイソンは最近シンジケートの非合法賭博組織の支配権を与えられ、賭け金の計算にコンピューターを導入するとともに全国各地の賭博場を直通電話で結ぶことによって、組織の近代化を成し遂げた。一方トラスクは組織の競争相手を消し去る任務を与えられ、生命・財産を考慮に入れずに忠実にこの任務を遂行している。
　そこで君の使命だが、彼らのこの血で結ばれた同盟組織を崩壊させ、巨額の富がシンジケートの金庫に注ぎ込まれるのを防ぐことにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: エドワード・J・ラクソEdward J. Lasko
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: マーヴィン・チョムスキーMarvin Chomsky
【ゲスト出演】
エドワード・トラスク：リチャード・ジャッケルRichard Jaeckel as Edward Trask
フランク・メイソン：ハーバート・エデルマンHerbert Edelman as Frank Mason
ミラー：ヴァル・デ・ヴァーガスVal DeVargas as Miller
ニック・プレッシー：ウィリアム・ハーマッツWilliam Harmatz as Nick Pressy
ジェファース：ジーン・オティスGene Otis as Jeffers
殺し屋：チャールズ・ナピアーCharles Napier as Thug
技術者：マーティン・ゴラーMartin Golar as Technician
オペレーター：ウォルター・ケリーWalter Kelley as Operator
【場所】①指令（媒体）：ある公園の小さな小屋の鍵を開けて中からオープンテープレコーダーを取り出す
②舞台：アメリカ国内
【役割】ジム：ドナマン
ケーシー：ダイアン
バーニー：賭博場に侵入
ウイリー：調教師
【道具】①磁力妨害装置：ストップウォッチの針を遅らせる
②電動のこぎりときり
③コンピューター基板
【見所】（02分00秒）トラスクが賭博場に爆弾を仕掛けて爆発させる
（09分30秒）ケーシーが帰ってきたところを部屋に押し入って事情を聞き出すトラスク
（13分20秒）賭博場に侵入し、コンピューターの基板をすり替えるバーニーは見つかり逃走する
（18分40秒）タイムをストップウォッチで測るトラスクの隣で磁力妨害装置を作動させるケーシー
（25分00秒）ジムの部屋で待ち伏せしていたトラスクは、レッド・サンドはラッキー・レディだと言う
（30分00秒）ケーシーからの電話で、メイソンはレッド・サンドに６万ドル出すということがトラスクに伝わる
（34分10秒）キング・フレンドに１万ドル賭けるジムをメイソンは奥の部屋に連れていく
（43分00秒）レースでレッド・サンドがキング・フレンドを抑えて勝利する
（44分30秒）メイソンの手下が銃を突きつけられ、４００万ドル全部かすめ取られたとメイソンに報告する
【疑問点】①トラスクのその後の運命は劇中では語られない。
【粗筋】ＩＭＦはラッキー・レディという馬をレッド・サンドと改名して登録をする。ケーシーはレッド・サンドを騙し取られたとジムに突っかかり、それをトラスクが目撃する。メイソンの持ち馬キング・フレンドを欲しがるトラスクはメイソンに売ってくれと頼むが断られてしまう。トラスクは名馬のオーナーになりたがっているのである。ケーシーのことが気になるトラスクは尾行し、ケーシーの部屋に入り込んで事情を聞き出し、ラミネスという人物から譲り受けた馬だということを知る。一方、バーニーはコンピュータールームに侵入して基板を交換するが、見つかり逃走する。ケーシーはトラスクに近づき、レッド・サンドがただものではないと直感したトラスクは厩舎に行き、馬の毛のサンプルを持ち帰る。翌日、調教タイムを測ろうとするトラスクの隣で、ケーシーは磁力妨害装置を作動させてストップウォッチの針を遅らせ、レッド・サンドのタイムがコースレコードより０．５秒早く、キング・フレンドより４馬身も早いと知り驚くのだ。また、採取したレッド・サンドの毛は最近レーザーで脱色したことが判明する。その後、トラスクはケーシーの身辺調査をするが、預金が１２ドルしかなく、バックに男がいると推察するである。ジムの部屋で待ち伏せしていたトラスクは、レッド・サンドがラッキー・レディだと言い譲れと迫るが、ジムはケーシーが４万ドルで買うと言っていると告げると、トラスクは５万ドルで買うと言うのだ。そして、ケーシーはメイソンに会い、背景にいる男がメイソンだとトラスクらに思わせ、ジムに対してケーシーはレッド・サンドに６万ドル出すと電話で連絡するのだ。トラスクの手下はそれを見て、ケーシーの男はメイソンだと連絡が入り、トラスクの手下がケーシーを脅し、トラスクはまんまとジムより５万ドルでレッド・サンドを手に入れる。その後、ジムがキング・フレンドに１万ドル賭けるところをメイソンは奥の部屋に連れていって事情を聞くと、レッド・サンドが現在トラスクの持ち馬となっていることやストップウォッチに細工したことを説明し、メイソンは間抜けなトラスクだよと笑い飛ばす。そこへ、コンピューターの基板が破壊され、レッド・サンドのオッズが４０倍になる仕掛けが発見される。また、トラスクがレッド・サンドに１０万ドル賭けているのが発見され、トラスクとメイソンは馬で勝負することになる。レースではレッド・サンドがキング・フレンドを抑えて勝利をするのだ。全国の払戻をストップさせろと指示を出すメイソンだが、メイソンの手下に銃を突きつけ、４００万ドルをまんまと手にするＩＭＦである。そして、手下からの報告ですべてを悟ったメイソンは、すべての原因はトラスクにあるとして、勝利に酔いしれて喜ぶトラスクを捕まえるのであった。
【解説】このエピソードでは、競馬界の裏方まで突っ込んだストーリー展開になっており、競馬界に興味のある者なら楽しく見れるのではないだろうか。血統にうるさいサラブレッドに対して、ＩＭＦの取った作戦、すなわち、ラッキー・レディとして登録されている馬の毛色を変色させてレッド・サンドという違う馬として登録するのはご法度になっているのは言うまでもないだろう。また、レッド・サンド以外の劇中に登場する馬たちも現役競走馬でなく、引退後に乗用馬などに使用されているものをかき集めたものであろう。
　名馬のオーナーになりたがっているトラスクにレッド・サンドを買わせるために、ＩＭＦはいくつかの作戦を準備する。まず、レッド・サンドを見るトラスクの目の前で、ケーシーが騙し取られたとジムに食いつくのである。ケーシーのことが気になるトラスクは、ケーシーを尾行してケーシーより譲り受けた人物（ラッキー・レディのオーナー）を聞き出す。レッド・サンドがただものでないと知ったトラスクは、厩舎でレッド・サンドの毛を採取して、レーザーで脱色されたことを知る。翌日、調教タイムを計るトラスクの横には、ケーシーが磁力妨害装置を作動させて、トラスクのストップウォッチの針を遅らせる工作をする。これにより、コースレコードより速いレッド・サンドをぜひとも欲しいとトラスクは思うのだ。
　レッド・サンドがラッキー・レディと知ったトラスクは、ジムに４万ドルで譲れと迫るが、ケーシーが５万ドルで買いたいと言っていると告げる。ケーシーにお金がないことを知るトラスクは、手下にパトロンを探らせるが、シンジケートの支配者メイソンと判明し、ケーシーを脅してレッド・サンドを５万ドルで手に入れる。
　ジムがメイソンの馬キング・フレンドに１万ドル賭けたところをメイソンに呼ばれ、レッド・サンドがトラスクの持ち馬になったことや、イカサマをしたことを説明する。また、トラスクがレッド・サンドに１０万ドル賭けているのが発見され、二人は競馬で勝負することになる。
　大きな見せ場は、トラスクのレッド・サンドとメイソンの馬キング・フレンドがレースをするシーンである。１着がレッド・サンド、２着がキング・フレンドということを撮影するのに、他にも何頭か馬が出走しているので、相手が馬だけにすんなりと撮れたかどうか気になるところである。バーニーの仕掛けた基板のおかげで、ＩＭＦは４００万ドルをうまくせしめるのであった。