スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド6



138 巨大シンジケートをたたきつぶせ! The Visitors
【目的】72時間後に迫った選挙に先立ち、有権者たちに事実を知らしめること
【指令】おはよう、フェルプス君。 マスコミ界に君臨し比類なき勢力を誇っているエドワード・グレンジャーは、実は強大なシンジケートによって支配されている 傀儡に過ぎない。過去十年間、グレンジャーはシンジケートの推薦する政治家を支持しその擁護につとめてきた。来たる選挙ではシンジケートの公認候補者 たちが、グレンジャーの支配する州で多数当選し揺るぎなき地下帝国を築くと予想される。
 そこで君の使命だが、72時間後に迫った選挙に先立ち有権者たちに事実を知らしめることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるい は殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ハロルド・リビングストンHarold Livingston
製作: ブルース・ランズバリー Bruce Lansbury
監督: レザ・S・バディイReza S. Badiyi
【ゲスト出演】
エドワード・グレンジャー:スティーヴ・フォレストSteve Forrest as Edward Granger
ケロッグ:フランク・ホッチキスFrank Hotchkiss as Kellog
ローレンス医師:リチャード・ブルRichard Bull as Dr. Laurence
レナード:ジャック・ドナー Jack Donner as Leonard
ラルフ・ロバートソン:ジーン・ティバーンGene Tyburn as Ralph Robertson
パイロット:ジェームズ・W・ガヴィンJames W. Gavin as Pilot
警備:トム・マクドナウTom McDonough as Guard
【場所】@指令(媒体):ある部屋の中でオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:アメリカ・キャセル地方
【役割】ジム:グレンジャー宅侵入→ドクター・ゲーラー→ドクター・タウンゼント
ケーシー:看護婦ドルセット
バーニー:マーティ・ディックス
ウイリー:グレンジャー宅侵入
【道具】@特殊な蜂:ケースの中の蜂をファンモーターで室内に放出する
A薬:体の自由が効かなくなる
B解毒剤
Cアンテナ:80キロ四方の電波を妨害する
Dスモッグを出す箱と懐中電灯
E催眠針
F爆破装置
Gカプセルと永遠の命を与える装置
【見所】(01分40秒)ヘリコプターが大爆発を起こし、証拠隠滅を謀るグレンジャー
(08分30秒)栄養剤をグレンジャーに注射するローレンス医師
(13分40秒)蜂に刺されて気を失うグレンジャーにケロッグが駆けつける
(17分40秒)スモッグが立ちこめ窓の外の光を見るグレンジャー
(21分10秒)ケーシーの左手の痣に気がつき驚くグレンジャー
(23分50秒)どうだとケロッグが聞くと、グレンジャーの脈が正常に戻ったと言うローレンス医師
(27分40秒)グレンジャーが白血病ということがわかったとケーシーが車内で伝える
(30分30秒)盗聴器を発見し、仲間のバーニーとともに屋敷から失せろとケロッグに告げるグレンジャー
(40分20秒)カプセルの中でケーシーの姿が変わっていき、元に戻って生き返るのを確認する
(41分50秒)選挙の前に事実を話し、それをラジオで流そうと言うグレンジャー
(44分40秒)ラジオ放送を聞き、駆けつけたケロッグによりグレンジャーは銃で撃たれる
【疑問点】@ケロッグにより銃で撃たれたグレンジャーが死んだのか助かったのかは、劇中で語られない
【粗筋】55歳のグレンジャーは精神異常者でなく頭脳明晰であるから、いかにもっともらしく永遠の命を信じさせるかが問題だとジムは語る。バーニーは刑務 所から出所したばかりのマーティ・ディックスになりすまし、ケロッグのところを頼ってやってくる。ジムとウイリーはグレンジャー宅に侵入し、トリックを仕掛けた 後、12000ドルを盗み、レオを拉致して連れ去る。ケロッグは後任を見つけたとしてバーニーをグレンジャーに紹介する。そして、週に400ドルの給料でバー ニーは雇われることになる。バーニーは屋敷の煙突から蜂を侵入させ、蜂はグレンジャーを刺して意識を失わせるのだ。夜には、バーニーがスモッグを装置 から出し、懐中電灯の光をつけてグレンジャーに見せる。その後、ジムとケーシーがグレンジャー宅に医師と看護婦として突如現れ、体の自由が効かなくな ったグレンジャーに解毒剤を与え、1分で回復すると言って裏口から姿を消してしまう。中の様子が気になり、部屋に入ったケロッグとローレンス医師は、ジム とケーシーがいなくなっており、グレンジャーの脈が正常に戻ったのを確認する。二人はどうしたとグレンジャーが聞くが、医師と看護婦を探すがどこにも見あ たらない。翌日、車の修理中にケーシーが現れ、グレンジャーの車に乗り込み、グレンジャーが白血病であることを告げる。夜にもグレンジャーの部屋を訪 れ、選ばれたあなたに宇宙の神秘を教えると告げて、昨日は永遠の命を授けたと言うのだ。部屋で盗聴器を見つけたグレンジャーは、ケロッグとバーニーに 屋敷から出ていくように命ずる。グレンジャーは"姿も体温もありお前は人間だ、偽物だ、これは罠だ、みんな嘘だ"と信じないが、ケーシーは"あなたを選ん だのは大きな間違いでした、残念です"と突き放し出ていってしまう。その後、ローレンス医師より電話で自分が白血病であることを知るグレンジャーである。 そして、今度はジムが現れると、"話したいことがある、大変な過ちを侵してしまったらしい"と後悔し、車に乗ってケーシーを追いかける。ウイリーはケーシー の車を崖から転落したように爆発させ、ケーシーの遺体が老化しているのをグレンジャーに見せる。その後、ジムはグレンジャーをアジトに連れていき、ケー シーをカプセルに入れて生き返るところを見せる。これを見て永遠の命を与えてくれと頼むグレンジャーに、お前は裏切ったから断るとジムは冷たくあしらう。 そして、グレンジャーは選挙の前に事実を話し、それをラジオで放送するとして、"選挙に立候補している次の者は犯罪シンジケートのご用聞きである"と生 放送で告白するのである。その後、永遠の命をもらおうとするグレンジャーはジムたちを探すが、既に逃げてしまった後で、放送を聞きつけてやってきたケロッ グにより銃で撃たれるのであった。
【解説】このエピソードは、いつもと趣が違ってIMFは敵に永遠の命の存在を信じさせるという現実離れした作戦を展開する。ジムとケーシーが人間離れした 宇宙人のような姿で、敵のグレンジャーの前に現れ、神秘的な能力を披露した後、忽然と姿を消してしまうという演技を見せる。SF色の強いエピソードとなっ たが、永遠の命を扱うものは、第7シーズンの「怪奇!不老長寿の水」でも見られ、両話に共通しているのは、ケーシーが皺くちゃだらけの老女になって死ぬ シーンである。
 IMFの取った最初の作戦は、バーニーがグレンジャーの護衛として屋敷に入り、刺されると意識を失わせる特殊な蜂を煙突から放つ。第3シーズンの「酸 素テントの中」で病原菌を持つ蚊を放ったのと同様の手法である。グレンジャーは蜂に刺されて意識不明となってしまう。バーニーは煙や怪しい光をグレンジ ャーに見せて、ジムとケーシーが医者と看護婦としてグレンジャーに解毒剤を注射した後、裏口より去ってしまう。
 翌日、車の修理中にケーシーが現れ、グレンジャーが白血病であることを告げる。夜にもケーシーが屋敷にやってきて、前日に永遠の命を授けたと告げる が、グレンジャーがこれは罠でみんな嘘だと信じないのを、ケーシーはあなたを選んだのは大きな間違いでしたと突き放してしまう。ここのところのやりとりは 秀逸で、ケーシーのこのセリフで完全にグレンジャーはケーシーの言うことを信じるのだが、時既に遅くケーシーは去ってしまう。
 永遠の命を欲しがるグレンジャーの前にジムが現れてケーシーを追いかけるように促し、車で追いかけるグレンジャーの前で、ケーシーの車が崖から転落 するのを見て駆けつけると、皺くちゃになった老女の顔になったケーシーの死体を目の当たりにするのである。そして、アジトに連れて行かれ、カプセルに入 れられたケーシーが生き返って元に戻るのを見て、自分にも永遠の命をくれと頼む。これに対してジムは断るが、グレンジャーは自ら選挙前に事実をラジオで 放送すると言うのであった。永遠の命とは、全く現実離れした話であるが、IMFの巧みな作戦により、見事に敵がその現実離れしたものに飛びついたという ものだ。


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